右肩を痛めてスウィングが変わった。「7割」で振れば飛んで曲がらない!
まさに“ケガの功名”
シニアアマの頂点、2017年全日本ミッドシニア選手権のチャンピオンである島田崇さんをアクシデントが襲ったのは全国大会決勝の約1カ月前。
「ラウンド中に足を滑らせて転倒しちゃって。右肩を打撲してしまったんです。痛みがなかなか引かなくて、しばらくはクラブも振れない状態でした」
まともに練習もできないまま時間だけが過ぎていく。試合まで1週間を切って、島田さんは右肩の状態を確かめるため、ラウンドに出掛けた。
「これでまともにボールが打てなかったら、出場を辞退するつもりでいたんですが、思ったほどは痛みもなくて、そこそこ打てたんです。これならなんとかなるかなって」
2017年全日本ミッドシニアアマチュアゴルファーズ選手権(10月11・12日)65歳以上の男子ゴルファーが対象。東日本地区・中部日本地区・西日本地区の予選を経て、コート・ベール福島ゴルフクラブで決勝が行われた。
フルショットはムリだが、70 %ぐらいの力加減なら痛みはない。「コースは以前に試合でラウンドしたことがあったし、悪い印象も ありませんでした。スコアは 77 で トップと3打差の5位タイで初日を終えることができたんです」。島田さんのゴルフに、これまでとは違う〝変化〞が起きていた。
力を使わなくても、ボールは真っすぐ飛んでくれる
「70%の力でしか振れないから、飛距離は出ない。その代わり普段は 30 %ぐらいのフェアウェイキープ率が60〜70%までア ップしたんです」
優勝を狙える位置でスタートした2日目最終日も、島田さんの快進撃は止まらない。
「前半で1アンダーが出たんです。でも、こんな状態のスウィングで、そんなマグレがいつまでも続くわけないと。だから、優勝争いをしているプレッシャーは、まったく感じなかったんです」
終わってみれば、2位に1打差をつけての逆転優勝。
「試合を戦いながら、以前にある先輩トップアマから言われた言葉を思い出しました。“ゴルフはフェアウェイから勝負するゲームだよ”って。どんなに遠くに飛ばしても、グリーンを狙えない場所にいったら意味がない。少しぐらい距離が残っても、フェアウェイにボールを置くことが大事だということを、改めてこの試合で学びました」
100Y以内でもピンを狙わない!
徹底してリスクを避け、しぶとくパーを拾う。これが島田さんのスタイルだ。その徹底ぶりは突出している。
「たとえ残り100Yでも、私が狙うのは花道の方向で、エッジとグリーンの境目です。そこにキャリーで落とすことだけを考えます。ピンがどこに立っていようと、そこを狙うと決めているんです」
狙いどおりエッジとグリーンの境目に落とせれば、少し転がってグリーン手前に乗る。思ったより飛んでしまっても、グリーン奥まで行くことはないし、ショートしても花道からのやさしいアプローチが残る。当然、パーをセーブできる確率はアップする。
グリーン上のパッティングでは、 絶対にカップをオーバーさせず、ジャストタッチで打っていく。
「カップ手前の淵でボールが止まったりすると、みんな悔しがるじゃないですか。でも、私はヨシッと思うんです。グリーンに乗ったら、絶対に3パットを避けて、 確実に2パットで収める。これもスコアを崩さないコツなんです」
カップに入れば100点で、淵に止まったら 99 点。こんな考え方で、全日本ミッドシニア最終日のパット数は 21 。これも日本一のタイトル奪取の要因になった。
「この年齢になって、ゴルフというゲームの本質が、少しだけ分かってきた気がするんです
島田さんの13本。きついし、曲がるから、3Wも5Iも入れないんです
TEXT/Toshiyuki Funayama、PHOTO/Yasuo Masuda、THANKS/呉羽カントリークラブ、古沢ゴルフクラブ (※島田さんはボランティアとして協力していただきました)
月刊GD2018年8月号より