スキーとゴルフで”日本一”に輝く
2017年の日本ミッドシニアゴルフ選手権で優勝した田村敏明さんが本格的にゴルフを始めたのは、30歳になってからだという。「ずっとスキー競技の選手をやっていて、ゴルフは付き合い程度。ヘタクソだったんですが、競技生活が長かったもので、遊びでやっていても面白くないなと」。
実は、田村さんは法政大学のスキー部出身。全日本学生スキー選手権の男子滑降で優勝という輝かしい実績があり、卒業後はプロスキーヤーとしても活躍していたそう。
ハイレベルな勝負の世界で生きてきた田村さんにとって、競技ゴルフへの挑戦は必然でした。「本格的に始めてから2~3年後には競技に出られるようになりました。ハンディがシングルになったのも、ちょうどその頃。すぐに結果は出ませんでしたが、試合の緊張感が楽しかった。それからですね、御ゴルフの面白さにはまったのは」。
ゴルフで第2の競技人生を始めてから約33年。65歳にして、田村さんは日本の頂点に立った。
「1週間前の日本シニアゴルフ選手権で4位に入賞できて、調子が良い状態で日本ミッドシニアに臨めたんです。特にドライバーの調子が良かったですね」。
という田村さんだが、一昨年まではドライバーの不調に悩んでいたのだとか。
「人間、歳を取ると、どうしても楽しようとするんでしょうね。トップの位置が低く、フラットになっていることに気づいたんです。それで意識的にトップを高く、アップライトに上げるようにしてから、ドライバーの調子が戻ってきたんです」。
フェアウェイキープ率が上がったことで、コース攻略が楽になり、それが悲願の日本タイトル奪取に繋がった。
「ショットの安定には、土台となる下半身がしっかりしていないとダメ。冬場は今でもスキーを楽しんでいるので、それも役立っていると思います。スキーの脚使いはゴルフのスウィングと共通する部分も多いんです。もちろん、毎朝ランニングしたり、かかとを上げ下げして、ふくらはぎの筋肉を強化したりしています」。
65歳にして250Yの飛距離は。この強靭な下半身が支えているのだ。
関東シニア優勝が、今年の最大の目標
日本ミッドシニアでは初日2オーバー、最終日1オーバーと、実に安定したゴルフを展開。それを支えていたのが、得意というグリーン周りのアプローチだ。
「ウチのコースには、アプローチもOKの広い練習グリーンがあるんです。お客様が帰られた後、そのグリーンでアプローチの練習をひたすらしています。たまにコースに出て、ショットの練習をすることもありますが、基本的にはアプローチの練習をすることが多いですね」。
基本のピッチ&ラン、足を使って寄せるアプローチ、そしてフワッと上げる球と、3種類のアプローチを徹底的に磨く。
「スキーの繋がりで、以前から芹澤信雄プロと親しくさせていただいているんです。以前、一緒にラウンドしたときに、実戦的なアプローチの打ち方を教えてくれました。長いラフや逆目のアプローチが苦手だったんですが、上手く打てるようになりました」。
今年は日本ミッドシニア連覇、そして昨年4位と検討した、日本シニアのタイトルが目標だが、「もうひとつ、どうしても優勝したい試合があるんです」と田村さん。それが関東シニアゴルフ選手権。
実は昨年の大会で、田村さんは2位に3打差のトップでホールアウトしながら、過少申告のスコア誤記で失格となってしまったのだ。
「本当に悔しい思いをしたので、今年の関東シニアでぜひ、そのリベンジを果たしたいですね」。
月刊GD2018年7月号より