【クラウン試乗】やんちゃオヤジの先代から見事に変身、スポーティな大人になった新クラウン!

新型クラウンの完成度は高い。スマートな15代目

プロトタイプ試乗会から評判が高かった15代目クラウンについに試乗!

「クラウンの伝統はどこまで引き継がれ、革新部分はどれほどのもなのか?」。その両面から新型と対峙した。

答えは、見事に革新へ舵取りされていた。端的に言えばスマートな若返りだ。

最新のTNGAを用いた新型と三世代使い続けた先代を比べること自体ナンセンスだが、新型クラウンの乗り味はグレードに左右されずすべてがスッキリと軽やかになった。

酸いも甘いもかみわける「やんちゃなオヤジの本音が詰まった最高級セダン」が、軽く20歳は若返った印象だ。

新型クラウンは、グレード構成も大幅に変更。ロイヤルサルーン的な「G」と、アスリート的な「RS」になった。

試乗したのは、カムリと同じエンジンを縦置きした2.5L ハイブリッド（システム総合出力 226ps）の「G」と、3.5L V6ハイブリッド（同359ps）の「G エグゼクティブ」、そして 2L直噴ターボ（245ps）の「 RSアドバンス」の3モデル。

最も軽量な 2LターボのクラウンRSは、当然ながら一番の俊敏性を示した。18インチタイヤを装備しながらも乗り味はリア・パフォーマンスダンパーがしっとりと路面をとらえ、カーブではAVS可変ダンパーが切れ味を与えてくれる。

レクサスLSのように後輪ステアを用いずとも、 2920mmのホイルベースを持てあまさずに軽快な回頭力をあるのもお見事。先代アスリートファンも失望しないはず。

クラウンGもシャシのでき映えが素晴らしく、あえて RSを選ばずとも重量のあるハイブリッドでも重さを感じさせない。1800mmに抑えた全幅も、取り回しに効いている。

パワートレーンは、余裕があるなら断然 3.5Lハイブリッドがおススメ。

性格はトヨタらしいクリーンさを保ちながらも踏めば意外にどう猛で、モーターはアシストというよりも表だって走りに参加している印象。

排気量が多いぶん、日常域とアクセルを深く踏み込む場面での落差が少なく、全域で頼もしさが維持できる。

対して 2.5Lハイブリッドはパワートレーンの存在が黒子的。鞭を入れてもカムリのように突然エンジンだけが回るように感じないのは、クラウンとしての遮音性や、マウント類の上質さが活きているからだろう。

FRらしい上質な押し出し感も、カムリでは得られないポイント。

欧州列強に対峙するには、熟成という課題も……

操縦性は極めて良好だが、ほんのわずかフロント回りの剛性感が足りないように感じたところ。

剛性は質量に直結するため、燃費面で難しい部分があるのかもしれない。それでも、クラウンが意識する欧州列強は、普段の速度域が日本より高いこともあり、超高速域での質感向上を怠らない。

そういう意味では、新型クラウンにも「マジェスタ」や「ロイヤル」が必要かもしれない……。

クラウンは日本の星。今後の熟成にも期待したい!

クラウン G（2.5Lハイブリッド・2WD）スペック

●全長×全幅×全高：4910×1800×1455mm
●ホイールベース：2920mm
●重量：1750kg
●エンジン型式･種類･排気量：A25A-FXS･直4DOHC･2487cc
●エンジン･モーター最高出力：エンジン：184ps･モーター：143ps
●エンジン･モーター最大トルク：エンジン：221Nm･モーター：300Nm
●システム最高出力：166kW [226ps]
●JC08モード燃費：24.0km/L
●トランスミッション：電気式無段変速機
●タイヤサイズ：225/45R18
●価格：562万1400円

TEXT/Kouki Yamada PHOTO/Kousuke Mori