【指導】森守洋プロ
77年生まれ。静岡出身。米国ゴルフ留学の後、陳清波に学ぶ。02年からレッスン活動を始める。福田真未、香妻陣一朗などのツアープロコーチも務める。
脱力できたら腕が振れてクラブヘッドが走り出す
─── 今回は、脱力のメリットというよりも、どうすれば腕や上半身が脱力できるかにスポットを当ててお伺いします。
森 力んでいる人に「力を抜いて」と言っても難しいですよね。まずは、下半身を不安定にした状態でクラブを振ってみましょう。自然に上半身が脱力できて、腕を速く振れるようになるんです。
─── 下半身を不安定にさせるわけですね。例えば、バランスディスクに乗るなどでしょうか。
森 バランスディスクはいいですが、ほとんどの人が持っていないでしょう。もっと簡単な方法です。切り返しからわざとバランスを崩すように振ったり、両足を閉じて振ってみてください。右足を思い切り後ろに引いてボールを打ったりするのも効果的です。順を追って説明しましょう。
ドリル① 【バランス崩し素振り】思いっきり振ってフィニッシュで1本足
森 下半身をガッチリと固定すると、上半身も脱力できません。バッバ・ワトソンやジャスティン・トーマス、小平智プロもフォローで左足が地面から離れますよね。あの真似ではありませんが、わざとバランスを崩してクラブを振ると、ヘッドスピードが上がります。
ドリル② 【両足閉じ素振り】両足を揃えて腕振りに特化する
森 手首を固めて上体を左右に体重移動させて打つ人は、両足をピッタリそろえた途端、足元がグラついてクラブを振れなくなります。つまり、この状態で振るだけで、手首と腕をやわらかく使う感覚がつかめるんです。
ドリル③ 【右足つま先立ち打ち】足が使えず、腕の振りが良くなる
森 通常どおりに構えたら、右足を後ろに引き、かかとを浮かせます。この構えで実際にボールを打ちます。下半身の動きがロックされ、腕でクラブを振るしかなくなるので、速く振ろうとすればするほど、上体を脱力できます。
ドリル➃ 【ランダムボール位置アプローチ】色々な位置にアジャストするため手首を柔らかく使うようになる
森 バラバラに置いたボールをスタンス位置を変えずに次々とアプローチします。ボール位置や体との距離が一定でない状態で打つには、手首を柔らかくしなければアジャストできません。そのため、自然と脱力が身に付くんです。
ドリル⑤杖を右手に持って、思い切り振る
森 杖を用意して右手1本で速く振るドリルです。これは、ぜひやってほしいですね。杖は100円ショップで買えます。これほどコスパのいい練習はありませんよ。右手首を脱力するほど、速く振れます。
【番外編 ヘッドスピード実験】 杖を振ったらスピードアップした!
アベレージゴルファーのヘッドスピードは、「杖ドリル」で本当に上がるのか実験。右手で杖をめいっぱい振ってもらい、杖を振る前と後でクラブを振った時のヘッドスピードを計測。
森 もともと飛ばし屋の関口さんですが、振りがさらに鋭くなりましたね。
PHOTO/Yasuo Masuda、TEXT/Toshifumi Funayama
週刊GD2018年8月21・28日号より