7シリーズ級のパッケージングを与えられた6シリーズ グランツーリスモ
輸入車の車種展開は多彩だ。エンジンのラインナップを見ても、小さな直噴エンジンからディーゼルやハイブリッド、大出力モデルまであり、同じボディでも用途やコストに応じて選択肢が幅広い。
さらにボディラインナップも豊富になっているので色々な組み合わせを考えることも楽しみ。
対して日本車はボディもエンジンもラインアップが限られている。手間がかからない反面、選ぶ面白みが今ひとつ……。
というわけで、今回はそんな多くのラインアップを用意している代表メーカーのBMWに、また新たなモデルが加わった。BMW 6シリーズ・グランツーリスモだ。
現代のグランツーリスモをひとことで言えば、サルーンの高級感に流麗なクーペフォルムと、ワゴンのような使い勝手の良さをあわせ持つモデルのこと。
サッシュレスのドア形状と、大きなリアゲートが特徴的で、このあたり日本車ではやはりなかなか目にしない、輸入車ならではの魅力でもある。
ホイールベースを見ると、5シリーズの2975mm、6シリーズの2965mmに対して、6シリーズ・グランツーリスモは3070mmと長く、これはひとクラス上の7シリーズと共通だ。
エンジンは3L 直6ターボで340ps/450Nmのスペックを持ち、BMWにしては珍しくこの1ユニットのみ。シャシ面においては7シリーズと同様に車高を-10mmから+20mmまで可変する4輪アダプティブエアサスペンションを採用。ネーミング上は「6」だが、基本的には「7」に準じたパッケージングと言っていいだろう。
座席とラゲッジスペースを犠牲にしないクーペスタイル
乗り味はBMWらしい伸びのあるエンジンフィールと、サルーンのようなカドのない走りが特徴的。2000rpmに達しないあたりから雑味のない回転フィール同様、スッとトルクが立ち上がり、それが実にふくよかで滑らか。
ターボならではの太いトルク感を維持しながらも、6気筒独特の直線的な吹け上がりとレスポンスの良さと合わせて、パワーフィールは絶品。ワインディングでも2トン前後ある重さが苦にならない。
路面からの反発を感じさせにくい、しっとりとしたステアフィールが鈍く感じられる時はドライブモードを変えよう。足元はゆるみが抑えられ、ステアフィールも手応えがジワッと上がり、ルーズな運転にも応えてくれる。
一般路面では、細かな振動など受け付けないし、コーナーでもゴツゴツしたツッパリ感がなく、基本的には7シリーズ同様のゴージャスさが持ち味。マイルドな乗り味と環境の変化に対応できるエアサスの懐の深さ。
BMWらしい直6のエンジンフィールによって、高級感と走りの両方を同時に楽しめる。特徴的なボディフォルム同様に多彩な魅力満載。
やっぱり日本車には絶対マネできない。価格が高いといったって、日本車にはマネできない価値のあるグランツーリスモだ。
BMW 640i xDrive グランツーリスモ 主要諸元
●全長×全幅×全高:5105×1900×1540mm ●ホイールベース:3070mm ●重量:2010kg ●エンジン型式・種類・排気量:B58B30A・直6DOHCターボ・2997cc ●最高出力:250kW[340ps]/5500rpm ●最大トルク:450Nm[45.9kgm]/1380-5200rpm ●JC08モード燃費:10.9km/L ●トランスミッション:8速AT ●タイヤサイズ:フロント245/40R20 リア275/35R20 ●価格:1081万円
TEXT/Hitoshi Sezai PHOTO/Mitsuru Tamai