
【指導】齊藤かおり
飛距離342ヤードの日本記録をもつドラコンクイーンであり、ゴルフの指導者。多くの人に飛ばしの力を伝授。ETGSインストラクター
飛距離406ヤードの世界記録を持つメティ・フィルス選手は、身長186センチで"ドラコン世界大会"出場選手の中でもっとも長身で、体重もパワーもあるプロゴルファーです。世界チャンプに6度輝いたサンドラ・カルボルク選手も180センチ以上の体格の持ち主です。
同じミート率であれば、身長が高い人は位置(重力)エネルギーも使えますし、腕が長ければ、それがシャフトだと思えば有利なのは確かです。
でも、一番安定して飛ばしていた予選一位のガーナ・クロエ選手は176センチで、ドラコン選手の中では小柄なほう。体重も私より軽いはずです。ただし、元ウェートリフティングの選手なので瞬発力が半端じゃない。これでスピードを出して飛ばしていたんです。
R・マキロイのねじり力と、J・トーマスの瞬発力。両方使えたら最高!

(左:R・マキロイ、右:J・トーマス)「トップまでは地面を踏みしめ、ダウンからは蹴る。こうして生まれたエネルギーが腹筋に集められて末端のヘッドに一気に伝わる。これが瞬発力。筋力がない人は捻転力も使って、スピードアップさせたい」(齊藤)
体重については、重いほうが地面を踏みしめる力が大きくなるので、エネルギー自体は生み出せます。でも、体のキレが落ちてしまったら飛距離は変わりません。
そういったことを鑑みて、結局、体格に勝るのは「スピード」だと考えました。重要なのは回転スピードを生み出す筋力と柔軟性です。

スピードを出すには下半身が大事。足の左右の母指球から腹部までの内側で地面を蹴って、クラブは振られるイメージ。「足の内側を踏ん張るとお尻までつながる。また、お腹はエネルギーを逃がさないために重要。この連動した動きがしっかりできるように、お尻とお腹の筋力を鍛えるんです。自然に下半身全体も鍛えられますよ」
回転スピードを上げるために、特に重要なのが下半身の力
スピードを生むには、地面を踏みしめ蹴って生じる力を逃がさず末端まで伝えていくことが大切。そのためのポイントがお尻とお腹。また適度な柔軟性があれば十分な捻転差を作ることができて、しなり力も使えてよりスピードがでるんです。
理想は"チーター"のような、しなやかで強い動ける筋力!
では、飛ばせるボディになるためには、どんなトレーニングが良いのかというと……。
まずは適度な柔軟性と筋力を高めること。柔軟性はねじりの力を生みますし、クラブの重さを感じる能力も引き出します。筋力は瞬発力を生む源です。体の各部位を個別に鍛え上げるというよりは、動きの中で全体の筋力を高めていくことが、動ける筋肉をつけるために効果的です。
【齋藤流、飛ばせる体を作るトレーニング】
レベル① ツイスト運動

腕を振りながら上半身と下半身を逆に動かす。少しジャンプを加えてもOK。地面反力を使いながら回転スピードも上げる。10秒間、自分ができる範囲で速く行いましょう
レベル② 反復横跳び

腕を振りながら左右に思い切り飛ぶ。体を大きく動かしながら、なるべく速く行うこと。瞬発力、下半身の筋力、腹筋、肩関節の柔軟性などが鍛えられる。10回以上
レベル③ サイド腹筋

ひざから曲げた足と上体を浮かして、状態を左右にひねる。腕も同時に動かしスウィングにつなげる。瞬発力、腹筋、肩関節の柔軟性などが鍛えられる。50回(できれば速く)
レベル④ ゴム跳びくぐり

ゴムや紐を張って、それを①跳び越えて、②重さを受け止め、③左足で踏み込みながらくぐり、④またすぐに跳ぶ。なるべく速く行うこと。瞬発力、股関節周りの柔軟性、腸腰筋を鍛えられる。15回×3セット
これが齊藤かおりの300ヤード超えスウィング!
斎藤かおり
www.youtube.comPHOTO/Yasuo Masuda
週刊GD2018年9月4日号より