メジャーチャンピオン、ジェイソン・デイのアプローチは、手首の動きを最小限に抑えているのが特徴。「アマチュアにこそおすすめ」というこのテクニックをプロコーチ中井学が解説する。

ジェイソン・デイ(Jason Day)
87年生まれ。オーストラリア出身。米ツアー12勝。15年には全米プロを制覇、同年世界ランク1位となる。2018年9月10日現在、賞金ランクは8位、世界ランキングは11位。

画像1: 【ジェイソン・デイ】グリーン周りが苦手な人お試しあれ。デイの“ノーリストアクション”アプローチ。ビギナーもお手本に

まずは質問。どちらがバックスウィングでしょう?

AとBの写真は、一方がバックスウィングで、もう一方がダウンスウィングです。さて、どちらがバックスウィングか、わかりますか?

  • Aだと思う

    正解です。こちらがジェイソン・デイのアプローチ時のバックスウィングです。

  • Bだと思う

    残念、不正解。こちらはダウンスウィングの動きです。

  • Aだと思う
    62
    685
  • Bだと思う
    38
    421

手首のアクションが限りなくゼロに近い

上はJ・デイがカットロブ(ふわっと上がる球)を打ったときのバックスウングとダウンスウィングの写真です。

2つがほぼ同じ形、軌道を描いているのは、腕とクラブを体の正面にキープしたまま、リストアクション(手首の動き)を限りなくゼロに抑え、体の大きな筋肉を使ってスウィングした結果です。

通常、バックスウングからダウンスウィングにかけて手首にはタメができるため、バックスウィングよりもダウンスウィングの方がヘッドがインサイドから下りてきます。

しかし、デイにはこのアクションがないため、行きと帰りの形、軌道にほとんど差がないのです。さて、あなたはどちらがバックスウンングの写真なのか、わかりましたか?

多少のミスならケガにならない

デイのアプローチの最大の特徴は、前述したとおりリストアクションを限りなくゼロに抑えたスウィングにあります。

ボールを右に置きすぎず(体の中央が目安)、ハンドファーストの度合いを抑え(ボール1個ぶん程度のハンドファースト)、腕とクラブを体の正面にキープしたまま、体の大きな筋肉を使って打っていく。

このモーションによってクラブの入射角は非常にゆるやかになり、バウンスが効いてソールが滑りやすくなります。その結果、多少のミスをしてもダフリにくく、トップしにくい。

硬いライ、薄いライに強い。再現性が高く、スピンが安定する。ロフトどおりの球が打てるなどのメリットが得られるのです。

これはデイが地面も芝の葉も硬いオーストアリアで育ったことが影響していると思われますが、ツアープロには珍しい、非常にシンプルなテクニックといえるでしょう。

逆に言えば、このスウィングは、アプローチが苦手なマチュアゴルファーにこそおすすめしたいテクニックと言えます。ダフりを恐れてボールを大きく右に置く人が多いのですが、右に置くほどヘッドは地面に刺さりやすく、球も上がりにくくなります。

デイのような「球は右に置かない」テクニックを覚えると、アプローチの苦手意識は克服しやすくなると思います。

【解説】中井学
なかいがく。プロコーチ。米国留学中から、独自に理論を構築。現在は、自らツアーに参戦しつつ、プロ、アマチュアを指導する。

PHOTO/Tadashi Anezaki

週刊ゴルフダイジェストより

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