【原英莉花】
はらえりか。1999年2月生まれ。横浜市出身。173㎝の長身を活かした飛距離が魅力。ステップツアー2勝。レギュラーツアーでは3度ベストテン入り、賞金ランク55位。初勝利が期待される大型選手(成績は9月25日現在)
切り返しの捻転差は超一級! 体を屈曲させ剛性を高める by石井忍
注目したいのが積極的に屈曲を使った体使いです。バックスウィングでは左わき腹、ダウンスウィングで右わき腹をグッと縮め、体を左右に屈曲させてスウィングします。
背が高く手足の長い選手はクラブがインサイドに上がりやすいのですが、この動きによって正しい軌道に導いてます。
切り返しからダウンでは、上体を置き去りにしたまま下半身を戻し、体を右に屈曲させることで、強い捻転差を作り出しているのがわかります。
この動きによって大きなパワーが生まれ、腕とクラブのムダな動きを抑えつつ、インパクトの剛性を高めているのです。剛性が高いほど、球に体重を乗せやすく、ミスヒット時のエネルギーロスも少なくなります。
ダウンで前傾が深まるのも、右ひじを曲げたままインパクトを迎えるのも剛性の高い選手の特徴。いま若手ナンバーワンの超高剛性スウィングと言えるでしょう
大きな動作&ブレない軸。飛距離と方向性の両立
正面アングルの特徴は、アドレス時の斜めの軸(首の付け根から左足首にかけてのライン)が、インパクトまでキープされているところです。
スウィング中、この斜めのラインが維持されていると、再現性が高くなるだけでなく、ラインを軸に体を高速回転させることが可能になるのです。
切り返しで前傾が深まる、インパクトで左脚を蹴り上げるなど、体は大きなアクションを起こしていますが、軸はしっかりと安定。飛距離を出せる要素(大きなアクション)と、曲がらない要素(安定した軸)が共存したスウィングと言えるでしょう。
この斜めの軸ををキープすることは、地面からの反力を利用し、大きなエネルギーを生むためにも重要なポイントになります。
皆さんがこの動きを参考にする場合、アドレス時に軸をわずかに右に傾けて構え、左ほほの位置をキープしたままスウィングする意識を強めるといいでしょう。
スウィング中、左ほほが目標方向に寄ってしまうと、軸の傾きがなくなってしまうので注意してください。
上半身を置き去りにしたまま、下半身が捻転していく過程に注目
パワーを生み出す意味でも、正確性を高める意味でも、原プロのスウィングは非常に理にかなっています。
ショートゲームの精度が上がれば、常時優勝争いに加わる力を持っている。そんな伸びしろたっぷりの選手と言えそうです。
【解説】石井 忍
プロコーチ。薗田峻輔、安田彩乃らのコーチを務める。週刊GDで『考えないショートゲーム』連載中
PHOTO/Yujiro Kawatani、 Tadashi Anezaki
週刊GD10月9日号より