【解説】佐久間馨
さくまかおる。1955年神奈川県生まれ。ゴルフスウィングのメカニズムを科学的、合理的に研究、解明している。戦略やメンタル面のレッスンにも長ける。2010年GDレッスン・オブ・ザ・イヤー受賞
バンカーショットはアプローチと同じ
─── まず「バンカーが苦手」というゴルファーが多いのですが、なぜ苦手になってしまうのでしょうか?
佐久間 簡単です。何度もバンカーでミスをしているからです。
─── なぜミスをするのでしょう?
佐久間 これも答えは簡単。打ち方が間違っているのです。多くのゴルファーは、バンカーは特別な打ち方が必要だと考えていて、①スタンスはオープン、②フェースを開く、③ボールの手前に打ち込む、という3点セットをやろうとします。それで上手くいかないと、もっとフェースを開いたり、もっと強く打ち込もうとして、よけいに上手くいかなくなり、バンカーが苦手になっていくのです。
─── フェースを開いたり、上から打ち込むやり方は間違っているのですか?
佐久間 それで上手く打てている人はいいのですが、「バンカーが苦手」という人は、先ほどの3点セットを忘れましょう。
アプローチでダフらないコツがわかれば、バンカーからも脱出できる
![画像: バンカーショットはアプローチと同じ](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783386/rc/2018/09/28/0708401b0fb4080e7a78720fbd94b8908d6c1da7_xlarge.jpg)
─── 違う打ち方を試しましょうというわけですね。
佐久間 はい。バンカーだからといって特別な打ち方をする必要はまったくありません。このような(上写真)アプローチと同じ打ち方で簡単に脱出できます。やってみましょう。
![画像1: 【バンカー】サンドウェッジが「ボールの2センチ下」に確実に入る打ち方! 佐久間馨師範が伝授するバンカー苦手克服法(レッスン・オブ・ザ・イヤーの名レッスン)](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783386/rc/2018/09/28/bd3bbecfc0eafe832b8ea9e3b9f007b454f2a10f_xlarge.jpg)
![画像2: 【バンカー】サンドウェッジが「ボールの2センチ下」に確実に入る打ち方! 佐久間馨師範が伝授するバンカー苦手克服法(レッスン・オブ・ザ・イヤーの名レッスン)](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783386/rc/2018/09/28/48ad5d0d6a129ff7096c5e2fbcfd35466f6eb1f5_xlarge.jpg)
![画像3: 【バンカー】サンドウェッジが「ボールの2センチ下」に確実に入る打ち方! 佐久間馨師範が伝授するバンカー苦手克服法(レッスン・オブ・ザ・イヤーの名レッスン)](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783386/rc/2018/09/28/af03245c15c012e83795bd693b5494cc871d20eb_xlarge.jpg)
![画像4: 【バンカー】サンドウェッジが「ボールの2センチ下」に確実に入る打ち方! 佐久間馨師範が伝授するバンカー苦手克服法(レッスン・オブ・ザ・イヤーの名レッスン)](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783386/rc/2018/09/28/8f58c7a79b2926c832fcdf42338dd532d843c005_xlarge.jpg)
![画像5: 【バンカー】サンドウェッジが「ボールの2センチ下」に確実に入る打ち方! 佐久間馨師範が伝授するバンカー苦手克服法(レッスン・オブ・ザ・イヤーの名レッスン)](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783386/rc/2018/09/28/c024e38624858183902ff0ec322e59086d5f1d54_xlarge.jpg)
ほーらね、バンカーショットに見えないでしょ?
佐久間 ただ1点、ヘッドがボールの2センチ下を通る工夫をするだけ。それを今回は、徹底的に紹介します。
アドレスはアプローチと同じでいい
佐久間 スタンスはオープンにしなくていい。フェースは開かない。上から打ち込んだり、カットに打つ必要はありませんから。
![画像: アドレスはアプローチと同じでいい](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783386/rc/2018/09/28/155d38227aa6418654c5666273e642c7f4c64837_xlarge.jpg)
佐久間 アプローチで、ダフリやトップのミスが出やすい人は、クラブヘッドを高く上げて打ち込む傾向があります。
─── 上から打ち込んでボールの手前に刺さるとダフリ、それを恐れて、砂を薄くとろうとトップするわけですね?
佐久間 そのとおりです。ボールの手前からソールを滑らせながら、横から払い打ちをすればダフリ、トップにはならず、上手くいきます。つまり、クラブヘッドをボールの前後で「低く、長く」動かせばよいのです。
【フェースを開かない理由①】SWはもともとロフトが大きい
![画像: SWにはバウンスがある。あえてフェースを開かなくても、刃が砂に刺さることなく、バウンスから砂に潜ってくれる。またSWは56~58度とロフト角が大きいのでスクェアな構えでも十分ボールは高く上がってくれる](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783386/rc/2018/09/28/4e104418246d8603aaea8bc3914cc0fafd6635d2_xlarge.jpg)
SWにはバウンスがある。あえてフェースを開かなくても、刃が砂に刺さることなく、バウンスから砂に潜ってくれる。またSWは56~58度とロフト角が大きいのでスクェアな構えでも十分ボールは高く上がってくれる
【フェースを開かない理由②】ロフトが増えて飛ばない
![画像: ロフト58度のSWのフェースを開くと、リアルロフトは60度以上に。そのぶん飛距離が落ちる。「飛ばそう」と思う気持ちが強まって打ち込みやすくなる](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783386/rc/2018/09/28/7f1d5f09710d816cf2f28e7380d29630e8794669_xlarge.jpg)
ロフト58度のSWのフェースを開くと、リアルロフトは60度以上に。そのぶん飛距離が落ちる。「飛ばそう」と思う気持ちが強まって打ち込みやすくなる
【フェースを開かない理由③】砂の抵抗でフェースが開く
![画像: フェースを真っすぐ構えていても、バンカーはインパクトで砂の抵抗を受けるので、フェースはわずかに開いて当たる。最初から開いておく必要はない](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783386/rc/2018/09/28/1dd66e220debbbfe19b8d93d94bdcbba84ffd59e_xlarge.jpg)
フェースを真っすぐ構えていても、バンカーはインパクトで砂の抵抗を受けるので、フェースはわずかに開いて当たる。最初から開いておく必要はない
佐久間 上記3つの開かない理由も踏まえ、SWはもともとロフトが大きいので、ふつうに打てばボールは高く上がります。そのSWを使うのだから、考え方はバンカーショットも同じです。
佐久間 ヘッドは横から入れて、ボールの2センチ下を滑らすように動かす。ボールは勝手に高く上がり、自動的にバンカーから脱出できます。
─── ただ、バンカーショットの場合は砂の抵抗があると思うのですが……。
佐久間 SWのソールにある「バウンス」を利用すればいいのです。アドレスでは、そのバウンスを使いやすいようにややハンドレート気味に構えます。あとはボールの位置も重心のかけ方も、スタンスの向きも、全部アプローチと同じです。
ポイント① ボール位置は首のつけ根の下
![画像: スウィングは円運動なので支点(円弧の中心)を作ったほうがいい。この場合、首の付け根だと考える。首の付け根の真下にボールをセットし、付け根が左右にブレないようにスウィングすれば、ボールだけをとらえやすい](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783386/rc/2018/09/28/0dc3da8f73250ad4a7aa077adc118380d0114d64_xlarge.jpg)
スウィングは円運動なので支点(円弧の中心)を作ったほうがいい。この場合、首の付け根だと考える。首の付け根の真下にボールをセットし、付け根が左右にブレないようにスウィングすれば、ボールだけをとらえやすい
ポイント② ハンドファースト厳禁
![画像: ヘッドが砂に刺さりやすくなるため、ハンドファーストに構えるのは厳禁。写真はNGの見本。バウンスを生かすためにもややハンドレートがよい](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783386/rc/2018/09/28/fb385ae33eae7d922c2e3e6137a96c2ed03a0771_xlarge.jpg)
ヘッドが砂に刺さりやすくなるため、ハンドファーストに構えるのは厳禁。写真はNGの見本。バウンスを生かすためにもややハンドレートがよい
ポイント③ 足場は作らない
![画像: アプローチと同じ打ち方のため、踏ん張ったり下半身をがっちりさせなくてよい。そのため足場を作って、下半身を固める必要はない](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783386/rc/2018/09/28/4c9fdc982012e0b33a0e1712ad51fd27d5c9a16d_xlarge.jpg)
アプローチと同じ打ち方のため、踏ん張ったり下半身をがっちりさせなくてよい。そのため足場を作って、下半身を固める必要はない
佐久間 正しいアドレスがわかったらあとは、ヘッドをボールの2センチ下に通すやり方を詳しく説明しましょう。
2センチ下にクラブを入れる
佐久間 SWのソールには「バウンス」があります。このバウンスを上手く使うことで、ヘッドが砂に潜り、ボールを飛ばしてくれるのです。
ボールの下2センチまで潜りこませるのが理想
![画像: 2センチ下にクラブを入れる](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783386/rc/2018/10/02/635df4d924ad18f042d1fbaa1ddb0446fe21141a_xlarge.jpg)
─── では、バウンスをどのように使うのでしょうか?
佐久間 先ほども言いましたが、まずはアドレスでハンドファーストに構えないこと。ロフトが立つので、刃から砂に刺さりやすくなります。体の真ん中に手をセットし、まずはバウンスが使える構えを作ってください。バンカーではソールできないので、そのとき、両ひじがじゃっかん曲がった状態になるはずです。
─── 打ち方は?
佐久間 簡単に言うと、アドレスで曲がっている両ひじをインパクトで伸ばすだけです。
アドレスで曲げておいたひじをインパクトで伸ばす!
![画像: 左)ひじを曲げたアドレス、右)ひじを伸ばしたインパクト](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783386/rc/2018/10/02/bb6e5c344e4139de34d67c09f860d146950dbb24_xlarge.jpg)
左)ひじを曲げたアドレス、右)ひじを伸ばしたインパクト
─── 両ひじを伸ばす?
佐久間 スウィングの円弧を大きくするのです。両ひじが曲がった状態のまま振るよりも、(ダウンスウィングから)インパクトで両ひじを伸ばすと、円弧が2センチ大きくなります。両ひじを伸ばしたぶんだけヘッドが砂に潜ってボールを飛ばしてくれます。
ひじを伸ばしたぶん円弧が大きくなり、ヘッドはボールの2センチ下を通る
![画像: 両腕を伸ばしたぶんだけ、ヘッドは砂に潜る](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783386/rc/2018/10/02/7a840e748abf55ccc7cb5aea9dd84ba37d0140bf_xlarge.jpg)
両腕を伸ばしたぶんだけ、ヘッドは砂に潜る
─── なるほど。両ひじの曲げ伸ばしだけなら、深く入りすぎたり、浅く入ってホームランになったりする心配もなさそうですね。
佐久間 そうです。注意してほしいのが、ひざの高さや前傾角度を変えないこと。両ひじで高さを調整しているため、他の箇所を上下動させると、それだけヘッドが砂に潜る深さも変わってきてしまいますからね。
![画像: ひざの高さが変わると、ヘッドが潜る度合いも変わってくるので注意](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783386/rc/2018/10/02/45ef6969da54d4480dd77510874071e8343c3d56_xlarge.jpg)
ひざの高さが変わると、ヘッドが潜る度合いも変わってくるので注意
腕を伸ばすポイント① 首の付け根を支点に、その場で体を回転
![画像: ひじを伸ばしたぶん円弧が大きくなり、ヘッドはボールの2センチ下を通る](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783386/rc/2018/10/02/5ed04244f4f85fb82f72d79d67e83af6030c2207_xlarge.jpg)
佐久間 首の付け根に支点を作って円運動で振るが、体重移動をすると支点がズレてしまい、狙った2センチ下にヘッドを通せなくなる。体重移動せず、その場で回わるようにしましょう。
腕を伸ばすポイント② ダウンスウィングで両腕を伸ばす
![画像: 伸ばすタイミングが大事](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783386/rc/2018/10/02/ea0f0c0a8ffddafdcd24165593ef118d42ed6edf_xlarge.jpg)
伸ばすタイミングが大事
佐久間 両ひじを伸ばすタイミングはインパクト直前がよいが、慣れないうちはダウンスウィングの途中で伸ばし、徐々にタイミングを変えていくといいですよ。
雨上がりの固い砂の対処法
─── 今の季節は雨が多く、砂が硬いときがよくあります。そんなときはどうしたらいいですか?
佐久間 砂が硬いバンカーでは、ボールの手前でヘッドが弾かれ、トップしやすくなります。インパクト直前に左手首を伸ばし、ヘッドをボールの下に強く押し込むようにします。
左手で強く押し込めば湿った硬い砂でも簡単脱出
![画像: 左手の甲を目標に向けるように左手首も伸ばす](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783386/rc/2018/10/02/16b31302f568c09d720796a219e6f7789d79c249_xlarge.jpg)
左手の甲を目標に向けるように左手首も伸ばす
![画像: フィニッシュは小さくまとまる](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783386/rc/2018/10/02/f26e1886115f38005db832deaa206a450a851b85_xlarge.jpg)
フィニッシュは小さくまとまる
砂の抵抗に負けないように、インパクトでグリップを強めに握るのもあり
![画像: 雨上がりのバンカーは砂が締まって抵抗が大きい。そう感じたらインパクトでグリップを強める](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783386/rc/2018/10/02/d10e64bcbbb2218fe76035a782849499479aeb42_xlarge.jpg)
雨上がりのバンカーは砂が締まって抵抗が大きい。そう感じたらインパクトでグリップを強める
佐久間 それ以外は基本的に、説明してきたバンカーショットと同じです。複雑に考えたり、あえて特殊な打ち方をする必要はありませんよ。
TEXT/Kenji Takahashi
PHOTO/Tadashi Anezaki、Tsukasa Kobayashi
![画像: 雨上がりの固い砂の対処法](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783386/rc/2018/10/05/7695359e7ff379ac7467b4a1369b85c44715ef08_xlarge.jpg)
週刊GD2018年10月9日号より