J・ローズ、T・フリートウッド、S・ガルシアがやっていた「クロウグリップ」
クロウグリップの握り方は、(右利きなら)左手は通常のグリップと同じだが、右手はクラブを握らずに横からあてがうようにするというもの。その特徴やメリットを最新理論に精通したスウィング構築のスペシャリスト吉田洋一郎プロに解説してもらった。
「クロウグリップのメリットは右手を使いすぎないことです。利き手の右手は器用なため、右手単独でインパクトで強弱をつけたり、クラブフェースや軌道をコントロールしようとします。特にノーマルグリップの場合、右手が目標と正対するため、緊張した場面などではまっすぐフェースを出そうとしてインパクトでフェースが開いてしまう緩む動きが出やすい傾向があります。そのような動きを入れにくいクロウグリップはプレッシャーに強いグリップと言えるでしょう」(吉田)
昨年のマスターズ覇者セルヒオ・ガルシアと2位のジャスティン・ローズがクロウグリップでパットしていたが、オーガスタナショナルのような高速グリーンだけでなく、通常の米ツアーよりも遅いとされる今回のグリーン(ル・ゴルフ・ナショナル/仏)でも通用したことから、再度脚光を浴び始めている。
【ジャスティン・ローズのストローク練習】
「クロウグリップのメインエンジンは胸郭にあります。胸郭の回転を左腕を通してクラブ、ボールに伝えることで、再現性の高い軌道とフェースコントロールができます。ローズがよく左手1本でも練習を行っていますが、これは体の動きと左手の動きをシンクロさせるためです」(吉田)
「ローズのように毎回同じストロークを行うためには、できるだけ器用ではない胸郭や左手をメインに使うことが大事になります。アマチュアはそもそも左手を使う意識が薄いですし、体を動かせないうちは、左手だけでストロークすることができないかも知れません。。左手1本の素振りから始め、ボールを打つ練習などをおこなってみるといいでしょう。自分が今まで左手をほとんど使えておらず、右手で打っていたことに気づくと思います。クロウグリップを行う事で、左手8割、右手2割くらいの意識でストロークする感覚がつかめるはずです」(吉田)
【クロウグリップでパッティングする選手たち】
古くはマーク・オメーラやマーク・カルカベッキア、クリス・ディマルコなども取り入れてきたクロウグリップ。
プロの世界ではショートパットに悩みだしてからクロウグリップにチェンジすることが多いよう。
パットにクロウしている皆さんも、クロウグリップにチャレンジしてみてはいかがだろう。
週刊GD2018年10月30日号より