【ドライブグルメ】栃木そば街道。「日光例幣使そば街道」と「八溝そば街道」の4店を食べ比べ。やぶ定、観世音そば下の家、松月庵、蕎川庵高瀬

恐るべし栃木の手打ちそば。飾り気はないが、供されるそばはどれも「大当たり」

栃木は名水の地であることからも、本来、日本を代表する「そば処」として名を馳せていいにもかかわらず、最近になってようやく注目されはじめた理由は、その多くが古くから各家庭で消費（そば消費量は全国3位）され、あまり外に出る機会がなかったためだ。店舗数も1000軒近くにのぼるが、そのほとんどの店舗が、県外からのそば通相手ではなく、地元客を対象に営業してきたため、そば処としての栃木の知名度は上がらなかったと考えられる。

ただ、逆を言えば、古くから家庭で「旨い蕎麦」を食べてきた「地場のうるさ型」たちを満足させるため、地元のそば屋はともすれば観光地の比ではないそば打ちの技法を研鑽してきたとも言える。そんなそば処・栃木は、人口あたりのそば屋の数が日本イチ。日光市を中心とする「日光例幣使そば街道」と、那珂川町を中心とした「八溝そば街道」の2エリアが、最近、注目されている。

今回の【ドライブグルメ】は、2つの蕎麦街道から厳選4店を食べ比べ。まず一軒目は、日光市内で明治44年からの老舗「やぶ定」。三代目店主、我妻一義さんに聞くと、「夏と秋の新そばに加え、この辺りでは、秋に収穫した蕎麦を冷水に入れたのち、寒風と日にさらした『寒ざらし蕎麦』も楽しめるので、地元の方からは年に3回旬が来ると言われます」。やぶ定のそばは、京都から取り寄せた抹茶が入り、これが見事に蕎麦の香りを引き立ていた。

2店目は国道121号線、日光例幣使そば街道から「観世音そば下の家」。こちらは自家栽培した玄そばを自家製粉した「外二割」。まさに地産地消の手打ちそばは、味、香り、喉ごしにこだわった「せいろ2枚」が650円という値段も、驚きの地元価格。

【日光例幣使そば街道のおすすめ2店】

そば打ち名人、高橋邦弘が認める「松月庵」の手打ちそば

日光例幣使そば街道に後ろ髪をひかれつつ、国道294号線の八溝そば街道へ……。3店目は農道を奥へ進み、田んぼの真ん中にポツンとある「蕎川庵高瀬」。通りがかりに見つけられるような店でないにもかかわらず、昼時には行列ができるそばは、二八と十割の他に、石臼挽きの十割を選ぶことができる。大抵、昼時をすぎると「売り切れ」となってしまうそうだが、あらかじめ電話をしておけば、取り置きも可能とのことなので、「はしご蕎麦」を楽しむなら、予約を忘れずに。

4店目は、烏山でもっとも歴史のある「松月庵」。ここでそばを打つのは棚橋由香さん。若い女性というのにも驚くが、聞けば「蕎麦の神様」として全国のそば打ち職人から賛美される高橋邦弘さんにその実力を認められたひとり。さまざまなイベントでそば打ちを披露している腕前だ。

【八溝そば街道のおすすめ2店】

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