【桜見式ゴルフ/OSゴルフ理論】
福岡県福岡市で「桜美式ゴルフハウス」を主宰する篠塚武久先生が福岡大学の大石廸夫教授と作り上げた「OSゴルフ理論」。時松隆光プロを筆頭に、多くのジュニアやトップアマの実績も多数。「テンフィンガーの研究は早20年。今後『左右分担型グリップ』が主流になる時代が到来すると考えています」と話す。
左親指を右手で包むから、クラブの中心がズレてしまう!
初心者のころからオーバーラッピングで握ってきた人は、もはや何のためらいもなく、左手の2本の指(親指と人差し指)を右手で握っているでしょう。でも、いくら自分自身の指といえども、右手のなかに左手の2本の指という、いわば「異物」を挟んでグリップすることについて、私はとんでもなく不自然なことをしているのだと思っています。(篠塚)
シャフトと2本の指をまとめて握っているわけですから、右手の部分を輪切りにしてその断面をみると、「円」ではなく「楕円」のような形をしています。1本の円柱を振ることは、決して難しいことではありません。猿が1本の枝を握って木登りをするように、自然な動きで何も迷うことなくスウィングできます。しかし楕円のようないびつな形状のものを振ることは本能的に備わっていません。不自然な動きになるから、途端に迷いが生じてしまう。
「楕円」状態から自然な「円」へ
断面が「円」のシャフト1本だけを握っているなら、グリップの中心は、もちろんシャフトです。でもそこに左手の指が入り込んできてしまうことによって、グリップの中心がシャフトではなく、左手の親指側へとズレてしまうんです。
オーバーラッピングでは、グリップの中心(軸)が左手の親指側へズレます。そのズレたところを中心にスウィングすると、テークバックで左手の甲が上を向くような動きになり、腕はねじられます。ねじる動作があれば、ねじり戻す動きも必要になります。ねじり戻すタイミングが少しでもインパクトで合わなければ、打球の方向性は定まりません。球が曲がると困っているアマチュアの多くが、球が曲がるようないびつな形のグリップをしている自覚を持ってもいません。
腕をねじり、それをねじり戻すことで、パワーが生まれて飛距離が稼げるのでは、と誤ったイメージを持つ方も多いでしょう。直線的な動きと、ねじる動き、どちらが飛距離につながるか。野球のピッチャーが投げる球でたとえればすぐに理解してもらるはず。直球は指を真っすぐに振り下ろし、変化球のカーブは指にひねりを加えます。球速が速いのは直球ですね。
腕のねじりや、からだのねじりが飛距離に直結するというのは誤解です。それよりも自然で簡単で、考えすぎたり、迷ったりすることのない、再現性が高いグリップのほうが得ですし、ミート率がアップするんです。それが10本の指で直接グリップを握ることだと考えています。
テンフィンガーの場合、右手のなかにあるのはクラブシャフトだけです。左手の親指や人差し指など異物が入り込まないから、利き手である右手の感性を十全に生かして、自然に、簡単に、スウィングできるようになります。人間にとって手のひらというのは、とても重要な感覚機能です。オーバーラッピングはそれを殺してしまい、テンフィンガーはそれを生かすのです。
直接シャフトだけを握れるとグリップの中心がシャフトになります。断面が「円」になっているので、それを振ることになんら迷いは生じません。腕をねじることもなく、トップの位置がいつも安定し、再現性も高くなり、球は曲がりにくくなります。グリップの中身から考察してみると、今までいかに不自然で難しいことをしてきたかに気づいてもらえるでしょう。
これまでは指の配置や指の関節の角度ばかりが重要視されてきましたが、ものを操るときに大切なのは、「手のひら側で何を触れているか」なのです。(篠塚)
10本で握ると動きがシンプルになる。「イメージ」と「実戦」が近づく
もっと知りたい方は篠塚先生の著書10本で握るテンフィンガースウィングをご覧ください!
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