2018年6月に日本デビューを果たした、3代目となるMercedes-Benz(メルセデス・ベンツ)CLSクーペ。サルーンの快適性/機能性と、クーペの美しいスタイリングを合わせた「4ドアクーペ」という、いま世界的に流行のジャンル生み出したクルマだ。今回は話題の3リッター直6ターボエンジンとISGを搭載した CLS 450 4マティック スポーツを試乗する。
メインカラーは艶を消したマットなダークシルバー系。ワイルドな風格
CLSが最初にお披露目されたのは2003年のフランクフルトモーターショー。クーペのダイナミックなフォルムにサルーンの快適性を兼ね備えたスタイリッシュなボディラインを身にまとい、4ドアクーペという新たなジャンルをもたらした。
それは3代目となった新型でも変わらない。また、このモデルはメルセデス・ベンツが掲げるブランドエッセンス「アルティメイト ラグジュアリー」を基に誕生したモデルでもある。
目の前に現れた新型CLS、そのメインカラー「セレナイトブレーマグノ」に目を奪われた。そう3代目のメインカラーは、艶のないマットカラーなのだ。これまでの華麗なイメージからは想像できないほどワイルドな風格だ。
![画像: 全幅1895mmに対し、全高は1425mm。ワイド&ローのスタイリッシュなスタイリングだ](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783396/rc/2018/11/14/040a900ddf6c17e82f1596369c7a0470001347af_xlarge.jpg)
全幅1895mmに対し、全高は1425mm。ワイド&ローのスタイリッシュなスタイリングだ
エクステリアも大幅に刷新された。2代目にあったフロントからリアにかけてのサイドキャラクターラインや大胆に膨らんだマッシブなリアフェンダーなどは廃され、緩やかな曲面を用いた新たな手法で構成されている。
乗る者を魅了するインテリアは、まさに“メルセデス・マジック”
ドライバーズシートに座った途端、そこに広がる魅惑のインテリアに引き込まれてしまう。トーンを抑えたシックなベンガルレッドのレザーに包まれたコックピットにグレーアッシュウッドのインテリアトリム、明暗を巧みに使い分けたカラーコーディネートの中にスポーティとラグジュアリーを見事に表現する手法はメルセデス・マジックだ。
![画像: キャラクターラインを廃し、緩やかな曲線で美を表現](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783396/rc/2018/11/12/3d44519250877e84c9c24fd7ce61f5259e7d4f31_xlarge.jpg)
キャラクターラインを廃し、緩やかな曲線で美を表現
![画像: 左ハンドル仕様はCLS450 4マティックスポーツのみに設定される](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783396/rc/2018/11/12/4c9ca0a959d6fa1218ea78fbb9d235f64f754e37_xlarge.jpg)
左ハンドル仕様はCLS450 4マティックスポーツのみに設定される
![画像: 「スポーティ」「クラシック」「プログレッシブ」の表示モードを設定](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783396/rc/2018/11/12/416498143543e177c9302e1e4ab73e03e1921be9_xlarge.jpg)
「スポーティ」「クラシック」「プログレッシブ」の表示モードを設定
パワーユニットはマイルドハイブリッドとディーゼルの2種
CLSに用意されるラインアップは、ISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)と48V電気システムを採用した3L直6ターボエンジンを搭載する「CLA450 4マティック スポーツ」、2L直4ディーゼルターボを搭載する「CLS220dスポーツ」の2モデルの構成。
今回試乗したモデルは前者の「CLA450 4マティック スポーツ」、このモデルのみ選択できる左ハンドル仕様だ。
「20年ぶりに復活した直列6気筒エンジンは、どのようなサウンド聴かせてくれるのだろうか」。そんな期待を胸にスタートボタンを指先で軽く触れると、ボンネットの奥の方で微かに鼓動を感じるくらい静かに迎えてくれた。
低速時に動力補助として作動する電気モーターは、オルタネーターとスターターとして機能するが、従来のスターターより高出力モーターとなったことで、エンジン始動時の振動抑制にも大きく貢献している。
500Nmを発生する完全バランスの直6ターボエンジンは、1950kgのボディを軽快に走らせる。低速時には電気モーターがアシストしているのだが、それを体感できるようなチープな味付けなど微塵も感じさせない。
![画像: ISGと48V電気システムを採用した直6ターボエンジンは367ps/500Nmを発生](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783396/rc/2018/11/12/39ef07ee6b6b37b71ed284712a0e82041911f175_xlarge.jpg)
ISGと48V電気システムを採用した直6ターボエンジンは367ps/500Nmを発生
そして、ひとたびアクセルペダルを深く踏み込むと、強烈な加速とともに“至高のグランツーリスモ”の一面を覗かせる。しかし、常に“優雅”であり続ける。そう思わせるのは、「エアボディコントロールサスペンション」に他ならない。
このサスペンションは、EクラスとSクラスで体感しているが、久しぶりに乗ってみると改めてその素晴らしい乗り心地に感銘を受けた。不快な突き上げなど皆無で、カーブやブレーキングではロールやピッチングをしっかりと抑制してくれる。これならパッセンジャーカーとしても十分に役目を果たしてくれるだろう。
新しいデザインテイストを取り入れたエクステリアに始まり、12.3インチのダブルディスプレイに広がる最先端のインフォテインメントシステム。そして20年ぶりに復活した直6ターボエンジン+ISGのパワーユニットなど、話題は尽きない。
ディーゼルモデルも気になるところだが、やはりこのクラスのメルセデス・ベンツは6気筒以上のガソリンエンジンで優雅に乗りたいものだ。
![画像: オプションのエクスクルージブパッケージ仕様のレザーシート。前席には快適なベンチレーター機能も備わる](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783396/rc/2018/11/12/3b8b967e12a9b6e21940e7f125cc4393d2856b4d_xlarge.jpg)
オプションのエクスクルージブパッケージ仕様のレザーシート。前席には快適なベンチレーター機能も備わる
![画像: リアシートもバケットシート風でホールド性が良い。乗車定員は5名となる](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783396/rc/2018/11/12/b4576434bff7f1b7acd9c44c59bd7a6192051593_xlarge.jpg)
リアシートもバケットシート風でホールド性が良い。乗車定員は5名となる
メルセデス ベンツ CLS 450 4マティック スポーツ 主要諸元
●全長×全幅×全高=5000×1895×1425mm ●ホイールベース=2940mm ●車両重量=1950kg ●パワーユニット=直6DOHCターボ+モーター ●エンジン排気量=2996cc ●エンジン最高出力=367ps/5500-6100rpm ●エンジン最大トルク=500Nm/1600-4000rpm ●モーター最高出力=10ps ●モーター最大トルク=250Nm ●トランスミッション=9速AT ●駆動方式=4WD ●車両価格=1038万円
Text/Kenichi Kuroda