「フォローとフィニッシュのカタチが毎回微妙に違うんです」by石川遼
タイガーのアイアンは世界一だと思います。何十通りという打ち方があって、それがフォローからフィニッシュの形に出ています。たとえば、アウトサイドインの度合いも1度、2度、3度と1度刻みで変えてるはずです。それも単純に「切っていく」のではなくて、きちんと芯でとらえながら「抜く」からすごいんです。
今年のマスターズ、11番ホールで右の林からスライスをかけてベタピンにつけたショットが頭に残っています。あの場所から、ただ切っていたらフェースに乗らないので上の林に当たって終わりですが、タイガーは「フェースに乗せながら」抜いていました。だから林の下を潜らすことができたのです。
しっかりとスピンコントロールをしているわけで、切ると曲がりすぎるから、その曲がり幅もコントロールしたんだと思います。僕も今、そのスウィングを練習中ですけどね(笑)。
同じカットでも、前にカットするのか上にカットするかいろいろバリエーションがある。ただ共通するのは、基本的に全部フェースに乗せてカットさせている。そこまでフェースに乗せられる選手はタイガー以外ならジャンボさんくらいだと思います。
石川遼が考える、タイガーのここが凄い!
【凄さ①】フェースに乗せつつ抜いていく
インパクト後もしばらくは右手を押し出すようにしてフェースに乗せようとしていますよね。球をつかまえて、そこから逃がしていくんです。どこまでフェースに乗せていくかも微妙に変化をつけることができて、微妙すぎて解説できないくらいです。
【凄さ②】1度刻みで軌道を変えている
ダウンスウィングの軌道も微妙な変化をつけられるのが凄いですよね。1度、2度、3度、4度、5度ぐらいまでは、毎回微妙に下ろす軌道を変えてきている。カットに下ろしても球をつかまえていくのは変わりません。もちろんスティンガーなどのラインを出していくショットも健在です。
【凄さ③】常にフェースに乗せてスピンコントロール
どんなに球を曲げたり、高さを変えたりしても、共通するのは毎回フェースに球を乗せていること。スピンコントロールしないと自分の思い通りの曲線イメージにならないんでしょうね。フェースに乗せて曲げる技術はとても難しくて、なかなかできる選手はいないんじゃないですかね。僕もただいま絶賛特訓中です。(石川遼)
月刊GD2018年12月号より