【指導】日下部光隆プロ
1968年生まれ、神奈川出身。独特のスウィングから繰り出すショットとショートゲームでツアー3勝。東京・世田谷でゴルフスタジオWASSを主宰
美形インパクトの三要素、「スピード」「再現性」「ハンドファースト」
日下部 1本足フィニッシュで話題のチェ・ホソン選手を筆頭に、PGAツアーのベテラン、ジム・フューリックやインドの実力者、ジープ・ミルカ・シンなど、変則スウィングのプロはいますよね。実はボクも“ファニースウィング”なんて言われたことがあります。
日下部 でも、どんなにスウィングが変則でも、みんなインパクトは美しいです。インパクトはボールにパワーを伝えるためにあります。インパクトが美しいということは、ボールに余すことなくパワーを伝えられている証拠です。
日下部 そこで大事になってくるのが、ボールにパワーを伝える“スピード”です。そのほかに‟再現性”の高さも重要です。どんなにスピードがあっても、再現性が低いとせっかくのパワーを逃してしまいますから。
日下部 さらにもうひとつ、“ハンドファースト”でボールをとらえることです。インパクトでロフトが立つことで、ゾーンで捉えられて強い球になる。この3つがそろっていれば、その前後のスウィングがどんなにヘンテコだろうと構いません。
【美しいインパクト①】ハンドファーストでとらえる動きを覚える
日下部 かなり季節外れですが、大きなうちわで、いいインパクトの条件のひとつ「ハンドファースト」を説明しますね。左手でうちわを持ち、うちわの面を変えずに、目標へ押し込むように動かす体づかいが、ハンドファーストにとらえるコツです。
左手甲を低く長く押し込む
確かに、うちわは左手甲でフェース面を意識しやすい。
日下部 実際にクラブを振るときも、左手甲の向きを変えなければ、フェースをスクェアにインパクトできます。ボクの場合、1〜3度のアッパー軌道で飛ばしているので、ハンドファーストでボールをゾーンでとらえ、ロフトを立てることによって飛ばせる低スピンになるんです。
フェースの向きは左手の甲の向き
【美しいインパクト②】左に乗る感覚を養うと「スピードアップ」できる
日下部 スウィングスピードを上げつつ加速状態でインパクトすることが条件の2つ目。左足を踏み込んでスピードを出す感覚を養える「ステップ打ち」がお薦めです。最初は大きくステップして左に乗る感覚をつかみ、徐々にステップを小さくして実戦に近づけます。
日下部 体重が右に残る自覚のある人は、クツ3足ぶんの大きなステップからスタート。右から左への移動が大きくなりますが、最初は左に乗る感覚をつかむことが大事。慣れてきたらクツ1足半、そして半足とステップ幅を狭くして、体の回転で左足に体重を乗せる感覚をつかみます。体重移動ができるようになり、スピードがどんどんアップします
最初はクツ3足ぶんのステップ打ち
慣れてきたらクツ1足ぶんのステップ打ち
【美しいインパクト③】再現性が高まるヘッド軌道を身に付ける
日下部 最後が「再現性のアップ」です。ゴルフではこれが肝心ですよね。そのためにマスターしたいのが、ストレートに近いヘッド軌道です。ヘッド軌道は真っすぐなほど、インパクトがリピータブルになります。ボールの手前と奥にアライメントスティックなどを置いて振ってみましょう。ストレートに近い軌道がどんなものか自分で把握できるはず。さらにインパクトをゾーンでとらえるイメージも湧くはずです。
日下部 ストレート軌道の感覚を覚えたら、そのまま9番アイアンで低く抑えたライナーを打つ練習に移ってください。これで出球を低く抑えるには、インパクトでロフトを立てる動きが必要になります。普段の9Iの3分の1程度の高さで、低いライナーが打てるようになればOK。ハンドファーストでボールをとらえられている証拠です。ストレート軌道のハンドファーストインパクトが身につきます。
日下部 ここまでのドリルを繰り返していけば、誰でも必ず、しっかり真っすぐ飛ばせる「美形インパクト」に近づきます。気づけばスウィングも見違えるようになりますよ!
TEXT/Toshiyuki Funayama
PHOTO/Yasuo Masuda、Tadashi Anezaki
週刊GD11月13日号より