ドライバーは、頻繁に買い替えたり、リシャフトなどカスタムして使っていても、フェアウェイウッドは買ったままとりあえず……、という人が多いのでは。気づかないうちに他のクラブとのバランスが崩れ、とくに「重さの階段」がおかしくなっている可能性があると指摘するのは、ギアに精通した堀越良和プロ。ではフェアウェイウッドをリシャフトする場合、どんなところに気をつければいいのか、そのポイントを教わった。
画像: 【解説】堀越良和プロ 週刊GDの連載「ギアログ」でもお馴染みの試打キング。あらゆるクラブの試打経験が豊富でギアの性能を的確に見抜く

【解説】堀越良和プロ
週刊GDの連載「ギアログ」でもお馴染みの試打キング。あらゆるクラブの試打経験が豊富でギアの性能を的確に見抜く

FWが苦手なのは、"重さ"が合っていないからかも

14本のクラブセッティングを打ちやすいものにしたければ、番手間の「重量フロー」は無視できない。

「重量フロー」とは、クラブが短くなるにつれて一定の割合でクラブを重くしていく"重さの階段"のこと。この階段がきちんと整っていると、全部の番手をほぼ同じフィーリングで打つことができ、ミスが出にくいセッティングにできるためだ。

「アマチュアで特定の番手だけミスが出やすいという人の場合、その部分で重量フローが狂っている可能性が濃厚です。とくにフェアウェイウッドは、もっとも階段を踏み外しやすいゾーンと言えます」(堀越プロ)

ドライバーよりも長く使うケースが多いフェアウェイウッドは、重量フローがズレてしまいやすい。フェアウェイウッドが苦手という人は、一度、ウッドの重量をチェックしてみるといいだろう。

【重量フローの目安】
ドライバー:300g
3W・5W:325~335g
ショートウッド:340g
番手間の「重量フロー」は1インチ短くなるごとに13~15g重くするのが目安。3Wは43インチが普通なので仮にドライバーが45インチなら30g弱の重量さが必要

【軽すぎのデメリット】
仮にフェアウェイウッドがドライバーに「近い重量」の場合、切り返すタイミングが早くなりやすく、それが様々なミスを誘発する。ダウンスウィングで体が浮いてシャフトが寝てしまう人やインパクトで手元が浮いてトップやチーピンが続く人は"軽すぎ傾向"を疑うべき

FWの買い替え以外に、"リシャフト"で解決する手がある

仮に「重量フロー」が乱れていても、ウッド全てを買い替える必要はない。鉛などで重量調整するか"リシャフト"という手がある。ウッド用のシャフトはドライバー用よりもリーズナブルなので、わりと手軽に行える。リシャフトする際に注意すべき点を堀越プロに聞いた。

「重視すべきは『振り心地』。それも単独の振り心地ではなくてドライバーとの兼ね合いが必要です。もしドライバーを気に入っているなら、それと似たような振り心地になるよう重さやシャフト、フレックスを選ぶ必要があります」

それなら気にいっているドライバーと同じシャフトを選べばいいのでは? と思いがちだが、それでは同じフィーリングにならないことが多いという。

「ドライバーとまったく同じシャフトをフェアウェイウッドに装着する場合、長さ調節のために先端部分を2~3インチカットする必要があります。そのためフルレングスのシャフトと比較すると先端部分が硬く感じられ、まったく違うシャフトになってしまうケースがあるんです」

画像: 地面から打つフェアウェイウッドのシャフトは、ドライバーのシャフトと違う性能が求められる

地面から打つフェアウェイウッドのシャフトは、ドライバーのシャフトと違う性能が求められる

そもそもティアップしたボールを打つドライバーと、地面のボールを打つフェアウェイウッドでは、求められる性能が違うという。

「フェアウェイウッドの場合、いかにボールや地面との衝突に『当たり負けしないか』が重要です。そこで、少し先端剛性が高めのものを選ぶのがおすすめです。これにはヘッドが動きすぎないというメリットもあり、ミート率の向上やインパクトロフトの安定なども見込めます」

では自分に合ったシャフトは、どう見つけたらいいのか?

「フェアウェイウッドは"飛ばすクラブ"ではないということ。大切なのはイメージ通りの高さ、距離、球筋が打てることで、安定感こそが最も重要なんです。振り心地のいいシャフトの中から、そのうえで『球が上がらない』、『方向性が悪い』といった自分の課題(悩み)に合ったシャフトを探せばいいでしょう」

【先調子よりも手元調子がおすすめ】
ドライバー用のシャフトは「先調子」が人気だが、フェアウェイウッドではヘッドが暴れやすい傾向があり、打点がバラつきやすい。手元調子のほうが安定感は高い

【飛距離よりも安定感を優先する】
同じ「先調子」でも先端剛性が高めのものや全体のしなり方がおだやかなものが、フェアウェイウッドに合う。試打する場合は、飛距離よりも方向性のよしあしを見よう

球を上げたいなら「アッタス」、方向性重視なら「ディアマナ」

最新シャフトを堀越プロに試打してもらい、その特性を分析してもらった。フェアウェイウッドのシャフト選びの参考にしよう。

画像: 球を上げたいなら「アッタス」、方向性重視なら「ディアマナ」

正確に運びたい人には、「ツアーAD VR」(グラファイトデザイン)

画像: 正確に運びたい人には、「ツアーAD VR」(グラファイトデザイン)

ドライバーのリシャフトで人気があるモデル。「先端に強度があり、なおかつ手元側がしっかりしています。ある程度のヘッドスピードがないと手強いが、動きが少ないわりにつかまりもよく、操作性が非常に高いです」

スライスが出る人は「ディアマナ BF」(三菱ケミカル)

画像: スライスが出る人は「ディアマナ BF」(三菱ケミカル)

"弾き系"でドライバーに装着すると飛距離アップが期待できるモデル。「全体的に動きが多いので、シャフトのしなりを感じて振りやすい。先端に重量を感じるが動きはよく、つかまりを重視するタイプに向いています」

球が上がらない人は「アッタス クール」(USTマミヤ)

画像: 球が上がらない人は「アッタス クール」(USTマミヤ)

「弾き感が強く、先端をカットしてもヘッドが走り、ドライバーに近い感覚。地面からでも強い球が打てます。いろいろなタイプの人が使えますね。ただし、ラフから打つ場合は芝の抵抗を受けて、弾道がやや不安定になる可能性も」

スピン量で上げてくれるFW専用シャフト「スピーダー エボリューションV FW」(フジクラ)

画像: スピン量で上げてくれるFW専用シャフト「スピーダー エボリューションV FW」(フジクラ)

先端の「走り感」で人気のモデルをフェアウェイウッド専用に設計。「いい意味で"何もしないよさ"があります。スピン量が多くなる設計なので最高到達点が高く、3番、5番どちらも安定した球筋が得られます」

上記のコメントを参考に、「重さの階段」を揃えて選ぶのがポイント。苦手なフェアウェイウッドを強い味方にカスタムしよう。

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