古の名手・杉原輝雄プロをはじめ、過去にインパクトで腕が五角形になっていたトッププロは確かに存在した。しかし、いずれの選手も方向性重視タイプで、言い換えれば飛距離が出せない打ち方とされていた。それがクラブの進化とボールの直進性の向上により、「五角形インパクトこそがもっともエネルギー効率の高い打ち方になった」と説くのは、2018シーズンにブレイクした松田鈴英プロのコーチを務める黒宮幹仁プロ。飛距離を伸ばすスウィングのコツを黒宮コーチに解説してもらおう!
画像: 【解説】黒宮幹仁コーチ くろみやみきひと。1991年生まれ愛知県出身。現在は松田鈴英などのコーチを務める。愛知県で「KUROMIYAGOLF ACADEMY」主宰

【解説】黒宮幹仁コーチ
くろみやみきひと。1991年生まれ愛知県出身。現在は松田鈴英などのコーチを務める。愛知県で「KUROMIYAGOLF ACADEMY」主宰

左ひじも曲げた「五角形インパクト」はボールを長く押せる

ボールが遠くに飛ぶ条件は“高打ち出し低スピン”。そして、そのために必要なのが低く長いインパクトであり、最下点からゆるやかに上がりはじめたところでヒットすること。これができれば“高打ち出し低スピン”の理想的な弾道が生まれる。

これを実現させやすいのが「五角形インパクト」だと黒宮コーチは言う。

黒宮 理想的なアッパー軌道を実現するために必要なのがハンドファーストインパクトです。ロフトを立てながら当てることができるので、低スピンになります。

画像: 「五角形とそうでない人はインパクトする位置に大きな違いがあります」(黒宮)。最下点の「右」とは手前のこと。「左」は最下点の先のこと

「五角形とそうでない人はインパクトする位置に大きな違いがあります」(黒宮)。最下点の「右」とは手前のこと。「左」は最下点の先のこと

黒宮 両腕を五角形にしておくことで、ヘッドをフォローサイドに低く長く出すことができるのです、円軌道の最下点の先でボールをヒットできる。だから打ち出しを高くできるわけです。

五角形インパクトが‟高打ち出し”のワケ 最下点の先でボールをとらえやすい

画像: 五角形のインパクトを作るとどれだけ左にあるボールでも届かせることができる。低く長いインパクトはボールを長く押せるので、エネルギーが逃げにくい

五角形のインパクトを作るとどれだけ左にあるボールでも届かせることができる。低く長いインパクトはボールを長く押せるので、エネルギーが逃げにくい

黒宮コーチは、「多くのゴルファーのインパクトは最下点よりも右、つまり手前になっている」と説明を続ける。

黒宮 結局、右に置くと当たる感じがするので置いてしまうわけですが、それだと入射角が鋭角になりすぎて、スピンが増えてしまいます。「五角形インパクト」の人はどれだけ左にボールがあっても届かせることができる。それだけインパクトゾーンが長いということです。

五角形インパクト‟低スピン”のワケ ロフトを減らしながら当てられる

画像: ハンドファーストに当てるとロフト(フェース面)は立ちながらボールにヒットする。これが低スピンになる当たり方。コックがほどけると、ロフトが増えてボールが高く上がってしまう

ハンドファーストに当てるとロフト(フェース面)は立ちながらボールにヒットする。これが低スピンになる当たり方。コックがほどけると、ロフトが増えてボールが高く上がってしまう

五角形インパクトは『ギッタンバッコン』で身に付ける

打ち出しを高くするためにはインパクトゾーンを長くしなければならない。効果的な方法があると黒宮コーチ。

黒宮 ゴルフのレッスンで、よく「ギッタンバッコン」という表現がありますが、これを利用します。一般的には悪い動きだと思われがちですが、ギッタンバッコンを意識することで五角形インパクトに必要な「タテの動き」を手に入れることができるのです。

画像: 横の回転だけだと体と手の動きがバラバラになりやすい。ギッタンバッコンだけでも横の回転だけでもダメ。両方をミックスさせることがポイント

横の回転だけだと体と手の動きがバラバラになりやすい。ギッタンバッコンだけでも横の回転だけでもダメ。両方をミックスさせることがポイント

画像: 回転だけで打つと横の動きになり、ギッタンバッコンできない

回転だけで打つと横の動きになり、ギッタンバッコンできない

── タテの動きとは?

黒宮 多くのアマチュアはヨコの回転だけでスウィングしようとしています。それだと五角形をキープすることはできません。二次元ではなく三次元でスウィングを考えると左に置いてあるボールに対して、低い位置からヘッドを入れることができます。

やってみよう! ギッタンバッコンを回転に加えると、打点が“最下点の左(先)”へ移動する

画像1: 五角形インパクトは『ギッタンバッコン』で身に付ける

黒宮 アドレスの状態からまずはギッタンをすると、左肩が下がった状態になります。そこから体を回すと左肩が自然に深く入り、理想的なトップポジションができあがります。

画像2: 五角形インパクトは『ギッタンバッコン』で身に付ける

黒宮 ダウンはインパクトからフォローにかけてバッコンを入れます。すると右肩が下がった状態になり体の軸が傾きます。そこから体を回すことで最下点より先にインパクトポイントがくるようになります。

ギッタンバッコンで得られるのは体の傾きで、肩を横ではなくまず縦に動かす。そこから従来の体の回転を入れることで、立体的にクラブを振ることができる。結果、インパクトゾーンでヘッドは低く長く動くようになるわけだ。

フェース面でボールに圧をかけるイメージ

五角形インパクトに近づくと、「ボールをとらえる位置が良くなり、ロフトが立ってインパクトできる。つまり、インパクトゾーンが長くなる」と黒宮コーチ。では、具体的にどうやってロフトを立てていくのか。

黒宮 手の形だけをやろうとしても無理です。それではボールを押せないからです。大事なことはボールに圧をかけること。左手で雑誌などを持ち、その面をターゲット方向に出すように動かします。この時、両腕を五角形にしているのと、三角形にしているのとで比較すると、五角形の形のほうが面を意識しやすく、さらに押しやすいはず。抵抗を感じるはずです。

画像: 手先だけで押しても抵抗は感じられない。抵抗は体で感じるもので五角形にしておくと手先のフィーリングが体にフィードバックされる。この感覚があると、いくらでも強く押せる感覚で出てくる

手先だけで押しても抵抗は感じられない。抵抗は体で感じるもので五角形にしておくと手先のフィーリングが体にフィードバックされる。この感覚があると、いくらでも強く押せる感覚で出てくる

黒宮 雑誌の面を地面に向ける意識で動かすとハンドファーストも自然にできます。これがロフトが立つ左の抑え込みの動きです。

ポイントは“左手甲が地面を向く”

画像: 左ひじを曲げた状態でインパクトすると左手の甲が地面を向いているはず。これを三角形の腕でやろうとするとヘッドが遅れて面が戻りきらない

左ひじを曲げた状態でインパクトすると左手の甲が地面を向いているはず。これを三角形の腕でやろうとするとヘッドが遅れて面が戻りきらない

注意! 体の傾きがないと左手は抑えにくい

画像: フェース面でボールに圧をかけるイメージ

黒宮 右肩がダウンスウィングで下がる動きはダメなものだとされてきましたが、「五角形インパクト」ではむしろ体の軸は傾けた方がいいんです。縦の動きが入ってボールを押す時間が長くなります。ぜひ試してみてください。

週刊GD2018年12月4日号より

こちらもチェック!
「五角形インパクト」の実力者、今平周吾と稲森佑貴はどんな意識で振っている?

This article is a sponsored article by
''.