「ロングアイアンを抜いてハイロフトUTを入れるべき」というのは、近頃よく耳にするセリフ。とはいえ、UTは初心者や力のない人が使うものというイメージを捨てきれずにいる人も多いはず。だが競技ゴルファーなど上手い人ほど"攻めの武器"として入れていると聞いたらどうだろう? 俄然興味が出てくるはずだ。そこで、25度以上のハイロフトUTが「一般のアマチュアにどれくらいメリットがあるのか?」、「各モデルにどんな違いがあるのか?」という視点で、内海大祐プロに徹底試打してもらった!
画像: 【試打解説】内海大祐プロ EtGS所属プロで千葉校のチーフインストラクターを務める。

【試打解説】内海大祐プロ
EtGS所属プロで千葉校のチーフインストラクターを務める。

画像: ハイロフトUTの実力はいかに?

ハイロフトUTの実力はいかに?

「高打ち出し」「高弾道」がハイロフトUTの強み。ヘッド速度が遅い人ほどアイアンよりも武器になる

内海 まず、ロフト25度のUTと5番アイアンを同じヘッドスピードで打ち比べてみましたが、その結果を見るとUTのメリットがよく分かります。UTはドライバーやフェアウェイウッドのような、スピン量の少ない"棒球"が特徴。そのぶん球が高くなり、高さで止められます。飛距離も5番アイアンより9.6ヤード伸びました。

画像: 「高打ち出し」「高弾道」がハイロフトUTの強み。ヘッド速度が遅い人ほどアイアンよりも武器になる

【UTvs5I 25度ロフト比較スペック】
UTは全試打クラブの中から、25度モデルだけのテスト結果を抽出した平均値。HSは1Wのヘッド速度42m/s相当の振り感でテスト。数値は5球打った平均値。試打ボールはテーラーメイドTP5x。計測にはフライトスコープを使用

5番アイアンはピンのハーフキャビタイプを使用。

内海 低めに打ち出されスピンで上がる弾道でしたが、UTよりは低め。スピンで止めるイメージですね。

内海 同じロフトのアイアンと比べて、飛距離が出せて、ミスへの寛容性も高いです。各メーカーからさまざまなモデルがリリースされ、球筋やつかまりやすさで選べるとなれば、ハイロフトUTは、今や有効な武器だと考えるべきです。

【ハイロフトUT試打】球をつかまえやすい5モデル

G400ハイブリッド(PING)

画像: #5 26度・39.25インチ・353グラム(実測)

#5 26度・39.25インチ・353グラム(実測)

「楽に振れて球が上がる。極薄クラウンと複合素材ボディにより球が上がりやすく、抜けも抜群。球も散りません。目標に対してスクェアに構えやすく、安心感もあります」(内海)

画像: G400ハイブリッド(PING)

スリクソンZ85ハイブリッド(ダンロップ)

画像: #5 25度・39.25インチ・352グラム(実測)

#5 25度・39.25インチ・352グラム(実測)

「球の高さでピンを狙える。高い打ち出しと安定したスピン性能でダイレクトにグリーンを狙えます」

画像: スリクソンZ85ハイブリッド(ダンロップ)

GXユーティリティ(ミズノ)

画像: H6 26度・39インチ・338グラム(実測)

H6 26度・39インチ・338グラム(実測)

「風に負けない強弾道。フェース直下とソール後方にウェートが配置されており、スピン量を抑えた球が打てますね」

画像: GXユーティリティ(ミズノ)

818H1(タイトリスト)

画像: 【ユーティリティ】25度以上のハイロフトUTはアベレージの武器になる! 14モデルの飛距離、弾道、打ちやすさをプロが徹底試打

「ヘッド形状なのか、ヘッドが走りそうな印象です。ソールのフェース側にある溝がたわみを生み、高初速かつ低スピンを実現しています」

画像: 818H1(タイトリスト)

ROGUE STARユーティリティ(キャロウェイ)

画像1: ROGUE STARユーティリティ(キャロウェイ)

「絶対に右へ行かない! という印象が強いです。ドライバー同様のジェイルブレーク構造で、たわみが抑制され、ボース初速が向上しています」

画像2: ROGUE STARユーティリティ(キャロウェイ)

はじめてのハイロフトUT Q&A

Q1.ボールの位置は?

画像: A1.アイアンよりボール1個分左足寄りに。払うように打ちたいのでアイアンより少しだけ左へ。こうするとスピン量も減ります(内海)

A1.アイアンよりボール1個分左足寄りに。払うように打ちたいのでアイアンより少しだけ左へ。こうするとスピン量も減ります(内海)

Q2.どのくらいのラフまで打てる?

画像: A2.半分沈んでいる程度ではラクに打てます。フェース面の下で打っても飛距離は落ちないので、払うように打つだけでいいですよ

A2.半分沈んでいる程度ではラクに打てます。フェース面の下で打っても飛距離は落ちないので、払うように打つだけでいいですよ

Q3.どう打つの?

画像: A3.手をあまり使わず体の水平回転で打ちましょう! リストコックを抑え、肩、腰を水平に回すのがポイントです

A3.手をあまり使わず体の水平回転で打ちましょう! リストコックを抑え、肩、腰を水平に回すのがポイントです

【ハイロフトUT試打結果】ストレートボールが打ちやすい9モデル

JGR HY(ブリヂストン ツアーB)

画像: H5 25度・38.75インチ・349グラム(実測)

H5 25度・38.75インチ・349グラム(実測)

「飛距離性能に特化。クラウンをウェーブ上にたわませることで、初速と打ち出し角をアップさせていますね」

画像: JGR HY(ブリヂストン ツアーB)

RSユーティリティ(プロギア)

画像1: RSユーティリティ(プロギア)

「低重心ヘッドが特徴。"芯"の部分の反発性能が高く、飛距離が出ます。アイアンライクな見た目で構えやすいです」

画像2: RSユーティリティ(プロギア)

TW747 UT(本間ゴルフ)

画像: U25 25度・39インチ・363グラム

U25 25度・39インチ・363グラム

「前作よりも明らかにカンタンになっています。低重心化したことで、球が前作より上がります。安心感が増した顔の良さも特徴です」

画像: TW747 UT(本間ゴルフ)

CU218(フォーティーン)

画像1: CU218(フォーティーン)

「フェースがボールにくっつく感じがアイアンっぽい。シャローヘッドならではの低重心と深い重心深度で、高打ち出し・低スピンが際立ちます」

画像2: CU218(フォーティーン)

ゼクシオ テン ハイブリッド(ダンロップ)

画像1: ゼクシオ テン ハイブリッド(ダンロップ)

「とにかくオーソドックス。高い打音が気持ちいいですね。番手によって設計が違い、H5は上下の慣性モーメントを上げることでコントロール性能が高まり、ミスに強いです」

画像2: ゼクシオ テン ハイブリッド(ダンロップ)

EZONE GT ユーティリティ(ヨネックス)

画像1: EZONE GT ユーティリティ(ヨネックス)

「ヘッドが超小ぶり。球が前に飛ぶ力がすごいです。低重心×重ヘッドで力強い弾道と飛距離に特化しています」

画像2: EZONE GT ユーティリティ(ヨネックス)

RMX UT(ヤマハ)

画像1: RMX UT(ヤマハ)

「フェースにくっついて運ぶ感じが好きです。ラウンドソールで抜けが良いのもポイントです」

画像2: RMX UT(ヤマハ)

M4 RESCUE(テーラーメイド)

画像1: M4 RESCUE(テーラーメイド)

「つかまえに行く感じで打つと飛距離が出ます。ヘッドのトウとヒールに重量を配分し、スイートエリアが広いです。打感と打音はマイルド」

画像2: M4 RESCUE(テーラーメイド)

パワートルネードUTウェッジ(キャスコ)

画像1: パワートルネードUTウェッジ(キャスコ)

「球がとにかく上がりやすい。ピンが手前でも狙えそうです。ヘッドが大きく安心感もありますね」

画像2: パワートルネードUTウェッジ(キャスコ)

「球を低く抑えたいケース」の応用テクニック

球を低く打つには短く持って水平回転

画像: 「球を低く抑えたいケース」の応用テクニック

風が強い時や方向性重視で"抑えた"球を打ちたいときは、思い切り短く持つ。

内海 振り方は変えず、シャフトに触れるくらい短く持つ。これで10メートルくらい球が低くなりますが、飛距離は5ヤードくらいしか落ちませんよ。

最後に、内海プロが総論として、「アイアンよりもラクに上がって飛距離も出てピンが狙えることに加え、もうひとつ、ミスがミスになりにくいのがハイロフトUTの良さです。スコアメークするうえで、この優位性は大きいですよ」と付け加えた。

月刊GD2019年1月号より

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