「高打ち出し」「高弾道」がハイロフトUTの強み。ヘッド速度が遅い人ほどアイアンよりも武器になる
内海 まず、ロフト25度のUTと5番アイアンを同じヘッドスピードで打ち比べてみましたが、その結果を見るとUTのメリットがよく分かります。UTはドライバーやフェアウェイウッドのような、スピン量の少ない"棒球"が特徴。そのぶん球が高くなり、高さで止められます。飛距離も5番アイアンより9.6ヤード伸びました。
【UTvs5I 25度ロフト比較スペック】
UTは全試打クラブの中から、25度モデルだけのテスト結果を抽出した平均値。HSは1Wのヘッド速度42m/s相当の振り感でテスト。数値は5球打った平均値。試打ボールはテーラーメイドTP5x。計測にはフライトスコープを使用
5番アイアンはピンのハーフキャビタイプを使用。
内海 低めに打ち出されスピンで上がる弾道でしたが、UTよりは低め。スピンで止めるイメージですね。
内海 同じロフトのアイアンと比べて、飛距離が出せて、ミスへの寛容性も高いです。各メーカーからさまざまなモデルがリリースされ、球筋やつかまりやすさで選べるとなれば、ハイロフトUTは、今や有効な武器だと考えるべきです。
【ハイロフトUT試打】球をつかまえやすい5モデル
G400ハイブリッド(PING)
「楽に振れて球が上がる。極薄クラウンと複合素材ボディにより球が上がりやすく、抜けも抜群。球も散りません。目標に対してスクェアに構えやすく、安心感もあります」(内海)
スリクソンZ85ハイブリッド(ダンロップ)
「球の高さでピンを狙える。高い打ち出しと安定したスピン性能でダイレクトにグリーンを狙えます」
GXユーティリティ(ミズノ)
「風に負けない強弾道。フェース直下とソール後方にウェートが配置されており、スピン量を抑えた球が打てますね」
818H1(タイトリスト)
「ヘッド形状なのか、ヘッドが走りそうな印象です。ソールのフェース側にある溝がたわみを生み、高初速かつ低スピンを実現しています」
ROGUE STARユーティリティ(キャロウェイ)
「絶対に右へ行かない! という印象が強いです。ドライバー同様のジェイルブレーク構造で、たわみが抑制され、ボース初速が向上しています」
はじめてのハイロフトUT Q&A
Q1.ボールの位置は?
Q2.どのくらいのラフまで打てる?
Q3.どう打つの?
【ハイロフトUT試打結果】ストレートボールが打ちやすい9モデル
JGR HY(ブリヂストン ツアーB)
「飛距離性能に特化。クラウンをウェーブ上にたわませることで、初速と打ち出し角をアップさせていますね」
RSユーティリティ(プロギア)
「低重心ヘッドが特徴。"芯"の部分の反発性能が高く、飛距離が出ます。アイアンライクな見た目で構えやすいです」
TW747 UT(本間ゴルフ)
「前作よりも明らかにカンタンになっています。低重心化したことで、球が前作より上がります。安心感が増した顔の良さも特徴です」
CU218(フォーティーン)
「フェースがボールにくっつく感じがアイアンっぽい。シャローヘッドならではの低重心と深い重心深度で、高打ち出し・低スピンが際立ちます」
ゼクシオ テン ハイブリッド(ダンロップ)
「とにかくオーソドックス。高い打音が気持ちいいですね。番手によって設計が違い、H5は上下の慣性モーメントを上げることでコントロール性能が高まり、ミスに強いです」
EZONE GT ユーティリティ(ヨネックス)
「ヘッドが超小ぶり。球が前に飛ぶ力がすごいです。低重心×重ヘッドで力強い弾道と飛距離に特化しています」
RMX UT(ヤマハ)
「フェースにくっついて運ぶ感じが好きです。ラウンドソールで抜けが良いのもポイントです」
M4 RESCUE(テーラーメイド)
「つかまえに行く感じで打つと飛距離が出ます。ヘッドのトウとヒールに重量を配分し、スイートエリアが広いです。打感と打音はマイルド」
パワートルネードUTウェッジ(キャスコ)
「球がとにかく上がりやすい。ピンが手前でも狙えそうです。ヘッドが大きく安心感もありますね」
「球を低く抑えたいケース」の応用テクニック
球を低く打つには短く持って水平回転
風が強い時や方向性重視で"抑えた"球を打ちたいときは、思い切り短く持つ。
内海 振り方は変えず、シャフトに触れるくらい短く持つ。これで10メートルくらい球が低くなりますが、飛距離は5ヤードくらいしか落ちませんよ。
最後に、内海プロが総論として、「アイアンよりもラクに上がって飛距離も出てピンが狙えることに加え、もうひとつ、ミスがミスになりにくいのがハイロフトUTの良さです。スコアメークするうえで、この優位性は大きいですよ」と付け加えた。
月刊GD2019年1月号より