本間ゴルフが発売した新ボール「TW-X」は、ツアー仕様でありながら、1ダース約4000円というお手頃価格が魅力。プロボールとは価格ほどの性能差があるのか? 差があるとすればどこがどう違うのか? ドライバーと7番アイアン、アプローチで、ギア試打調査のスペシャリスト堀越良和プロと比較検証してきた。
画像: 【試打・解説】堀越良和プロ 週刊GD誌"ギアログ"でおなじみ。ドライバーからパターまであらゆるクラブを試打するスペシャリスト

【試打・解説】堀越良和プロ
週刊GD誌"ギアログ"でおなじみ。ドライバーからパターまであらゆるクラブを試打するスペシャリスト

ツアープロが使う、いわゆる「プロボール」の一般的な価格は1ダース6000円以上と、かなり高額。最高のパフォーマンスが約束されているとしてもアマチュアにとっては、価格のハードルが高いといわざるを得ない。

しかし、新発売(11月下旬~)された本間ゴルフ「TW-X」をはじめ、性能的にはプロの仕様も視野に入れつつ、価格は抑えた「セミツアーボール」と呼べるものが、各メーカーのラインナップに存在する。

いずれも価格は、1個350円から450円前後とプロボールと比べるとかなり割安。これで性能が良ければむしろこちらを選ばない理由がない。代表的な4モデルをコースで試打検証してみた。

テストするのは、この4モデル

画像: 【ギア分析】TW-X、スネル、AD333ツアー、JGR、プロボールより低価格な「セミツアーボール」。コスパの良さはどれほどか? ドライバー、7番アイアン、アプローチで試打検証

ツアーワールドTW-X(本間ゴルフ) 
ウレタンカバー/3ピース構造/3800円(税別)

MTBブラック(スネル) 
ウレタンカバー/3ピース構造/4200円(税別)

AD333ツアー(スリクソン)
ウレタンカバー/3ピース構造/4800円(税別)

ツアーB JGR(ブリヂストン)
アイオノマーカバー/3ピース構造/5400円(税別)

①ドライバーでの試打結果「TW-Xは安定した飛距離が出ます」

画像: 「JGRとAD333ツアーは直進性が高く、飛距離特化型ですね」(堀越)

「JGRとAD333ツアーは直進性が高く、飛距離特化型ですね」(堀越)

画像: ※ドライバーのスピン性能は低スピンほど、星マークが多い。TW-Xはスピン量多めで安定した飛距離が出る

※ドライバーのスピン性能は低スピンほど、星マークが多い。TW-Xはスピン量多めで安定した飛距離が出る

堀越 TW-Xはやわらかめでフェースに食いつきますね。出球は低めでも空中に飛び出してから浮いていく弾道。スピン量はやや多めで、最大飛距離よりも安定した飛距離を求める人に向くでしょう。

画像1: ①ドライバーでの試打結果「TW-Xは安定した飛距離が出ます」

堀越 MTBブラックは、この4モデルの中で最もソフトな打感です。プロボールとも遜色ないレベルですね。タイトリストの初代「プロV1」の開発者が作ったボールだけに、プロボールと似た性能を持っていますね。

画像2: ①ドライバーでの試打結果「TW-Xは安定した飛距離が出ます」

堀越 AD333ツアーは弾き感のある打感でライナー性の弾道。勝手に高さが出て、キャリーを稼ぐというより、バチンと強く叩ける人がしっかり飛距離を出せる性能。弾きがいいのでヘッドスピード40m/s前後でもランがよく出ました

画像3: ①ドライバーでの試打結果「TW-Xは安定した飛距離が出ます」

堀越 JGRの打感は少し硬めですが、かなり飛びます。高初速が感じられる打ち出しと、空中での安定感があり、飛距離性能は高いです。打音が高く、打感はやや硬めに感じますが、弾きの良さを求める人はむしろ心地よく感じる打感で気にならないはずです。

「セミツアーボール」は高初速コア、機能性インナーカバー、スピン性能の高いアウターカバーという構造的にはプロボールと同じ組み合わせでできているので、どのボールも一定レベル以上の高性能を発揮しているのだろう、と堀越プロの分析。

堀越 とくにドライバーの飛距離に関しては、アマチュアが使う場合、プロボールと同等かあるいは飛距離が出る可能性が高いでしょう。プロボールと差が出るのはアイアンの止まり具合やアプローチのスピン性能の部分ですが、各社ともウレタンカバーを採用することで(JGRはアイオノマーカバー)その差は小さくなっています。

②7番アイアンで試打「MTBブラックとTW-Xはコントロール性が抜群」

画像: 「AD333ツアーはソリッドな打感で高さと適度なスピンで止めるボールです。TW-Xはドライバーに引き続き、距離のコントロールがいい、1ダース3800円でこの性能なら、コスパ価格ありますね」

「AD333ツアーはソリッドな打感で高さと適度なスピンで止めるボールです。TW-Xはドライバーに引き続き、距離のコントロールがいい、1ダース3800円でこの性能なら、コスパ価格ありますね」

画像: ※アイアンのスピン性能は、7Iでの適正スピン量で判断

※アイアンのスピン性能は、7Iでの適正スピン量で判断

堀越 TW-Xはイメージ通りの弾道と高さが得られます。ドライバーよりも空中での高さが抑えられて、タテの距離をコントロールしやすく、イメージ通りの球筋に近いです。打感は軟らかく「重み」があるので打っていて安心感があります。

画像1: ②7番アイアンで試打「MTBブラックとTW-Xはコントロール性が抜群」

堀越 MTBブラックの弾道はかなりプロボールと近いです。インパクトが重く、フェースに乗る感覚が強いです。柔らかい打感の通りにスピンが効いてくれるので止まり方もかなりいい印象です。

画像2: ②7番アイアンで試打「MTBブラックとTW-Xはコントロール性が抜群」

堀越 ソリッドな打感で高さと適度なスピンで止めるボールですね。球離れが少しだけ早く、操作性よりも直進性を重視しています。

画像3: ②7番アイアンで試打「MTBブラックとTW-Xはコントロール性が抜群」

堀越 JGRは飛距離が出てしっかり止まります。カバーの違いで4モデルの中では打感は硬めですが、弾道はディスタンス系の雰囲気ではなく、完全にプロボール寄りでしっかり止まりますね。

最後に"上りと下り"のアプローチで試打

ツアーボールとそれ以外のボールで、いちばん差を感じるのは「打感」と、ショートゲームでの「スピン性能」だ。最新のセミツアーボールはその部分をどう強化しているのだろうか。

画像: 「TW-Xの打感とスピンはプロボールにかなり近い感覚」

「TW-Xの打感とスピンはプロボールにかなり近い感覚」

画像1: 最後に"上りと下り"のアプローチで試打

堀越 TW-Xは出球の高さが適正で高くも低くも狙えますね。打ち出しが高く出て重い感じでストンと落ちる。ショットの時のようなフェースにくっつく感じはなくなり、高さと重力で止まるような感覚。スピンは適度で「止まっちゃう」ことは少ないはず。

画像2: 最後に"上りと下り"のアプローチで試打

堀越 MTBブラックはボールが低く出るのでラインを出しやすいですね。4モデルの中でも打感は明らかにソフト。フェースにくっついている時間が長いので、低く打てるのです。

画像3: 最後に"上りと下り"のアプローチで試打

堀越 AD333は強めのスピンでピタッと止められます。スピンは効きますが、ファーストバウンドで適度にほどける印象。キャリーとランの割合が安定していてワンパターンの打ち方でも寄せやすいです。

画像4: 最後に"上りと下り"のアプローチで試打

堀越 JGRは打ち出しが高く、ピッチショットに合いますね。フェースの溝がきちんとカバーにひっかかってくれる印象。打ち出しは4モデルの中でいちばん高いので、低い弾道でスピンを効かせる打ち方は苦手です

【結論】操作性重視なら「TW-X」と「MTBブラック」。飛距離重視なら「JGR」か「AD333」

堀越 打感に関しては、本間ゴルフの「TW-X」とスネルの「MTBブラック」がとくに柔らかく、アプローチでもショットでもフェースにくっついて、乗る感覚があります。スピン性能に関してはライがいい所からのショット、アプローチであれば、アマチュアにはプロボールとの差をほとんど感じないレベルだと思います。

堀越 ただし、ラフから下りのグリーンに向かってアプローチするなどというように、条件が過酷になってくるとプロボールの優位性が出てきますね。

つまり、アマチュアにとっては、自分の力量の範囲内で寄せられる状況であれば、セミツアーボールは申し分ないということ。使わないのはもったいない話だ。

堀越 プロがもしセミツアーボールを使うことになっても、慣れれば試合でも問題なく使えるでしょうね。普段プロボールを使っているシングルクラスの腕前の方も、使いやすいと感じるはずですよ。

上記の性能に加えて、価格が一段安いのが魅力。セミツアーボールは、コストパフォーマンスボールとも言えそうだ。

画像: 【結論】操作性重視なら「TW-X」と「MTBブラック」。飛距離重視なら「JGR」か「AD333」

週刊GD2018年12月25日号より

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