【解説】時松隆光
ときまつりゅうこう。5歳から「桜美式」を学ぶ。12年プロ入り、16年ダンロップ・スリクソン福島オープンで初優勝を飾る。通算3勝。18年賞金ランク8位
【解説】篠塚武久
しのづかたけひさ。72歳。福岡市で「桜美ゴルフハウス」主宰。桜美式「OSゴルフ理論」で多くのジュニアが結果を出す。“虎の巻”ノートや手作り器具も使って熱血指導
ヘッドが“昇る”から「ライジング」
── 時松プロは、パッティングの際に何を意識してますか?
時松 パットは「打つ」のではなく「転がす」意識で、ヘッドを下から上へと引き上げ、ボールに順回転をかけてあげます。昔からこのスタイルですね。
「左ひじを抜く動作で順回転をかけます」(時松)
篠塚 左右の手を重ねて両手合体型グリップで握り、「振り子のように打つ」パッティングが常識でした。首を中心にして、両わきを締め、両腕をなるべく使わず、両肩の入れ替えで打つ。しかし、このストローク方法では、ヘッドが最下点を通過する一点で打点を合わせるしかなく、しかも器用な右手が殺されているグリップだから、押し出しや引っかけのミスが出てしまうんです。
時松はパットもテンフィンガーグリップ
篠塚 「振り子」でヘッドを斜め上に上げ、それを下ろして「打つ」のではなく、小さくテークバックして「転がす」。ヘッドの動きは、真っすぐ引いて、真っすぐ出して、インパクト以降は自然と斜め上へ抜いていきます。
時松のヘッドは美しく動く
時松 自分のパットは、最初からボールに純回転をかけるストロークです。出だしで芝の上を飛んでいったり、ボールが芝に食い込んでしまうミスもありません。「転がり」に不安がないので、意識するのはグリーンの状態と距離感・タッチだけなんです。
「技術ではなく、パットを物理で考えるんです」(篠塚)
【ライジングパット】フェース面がブレないから再現性が高い
ヘッドが上がるときにはフェースは開閉しないという現象を利用。両ひじを折り曲げ、シャフトが常に地面と垂直な状態を保ちながらボールを「転がす」。飛行機にたとえると「離陸」の動き。
【従来型振り子パット】ねじる動きが入りやすい
首を中心とした振り子の動きでボールを「打つ」。グリップとヘッド、2つの動きを気にする必要があり、フェース面がねじれやすく、誤差につながる。飛行機でいうところの「タッチアンドゴー」の動き。
「フェース面が変わらない。だから、何度でも入る」(篠塚)
篠塚 「振り子パット」は、ヘッドを複雑に動かしすぎています。テークバックとフォローでフェース面の角度を変えてしまっているし、しかも両肩を入れ替える動作によってフェースの開閉まで加えてしまっている。これではインパクトで正確にボールをとらえることなど難しい。
── 「ライジング」を体に染み込ませるドリルがあるとか。
篠塚 ボールの先に2つのボールを置いて打ちます(下の写真参照)。自然に身につくまでやってみましょう。
誰にでもすぐできる。「桜美式パット」ドリル
球を置いたインパクト地点の少し先に、球が1個通過するぶんの間隔を空け、2つの球を並べる。2つの球に当たらないよう、ヘッドを上に、左ひじを縦(上)に抜きながら転がす。
~後編へ続く~
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