上達には「2つのルートがある」と話すのは南秀樹コーチ。「リズムが特徴のスウィンガー」と「力強いインパクトが特徴的なパンチャー」。決して、どちらかにしなければいけないわけではない。しかし、ゴルファーは悩ましい生き物で、時として隣の芝生は青く見えてしまう。本来、スウィンガーであるはずの人がパンチャーを意識すると、泥沼にはまっていく…。両方やろうとするから上手くいかない。どちらか一つの道を進めば、最短ルートで上達が期待できると言う。
画像: 【解説】南英樹プロ 1974年生まれ。鈴木愛をジュニア時代ら指導。現在は成田美寿々、江澤亜弥など多くのプロを教えている。

【解説】南英樹プロ
1974年生まれ。鈴木愛をジュニア時代ら指導。現在は成田美寿々、江澤亜弥など多くのプロを教えている。

パンチャー&スウィンガー、「自分はどちら」か診断してみる

── スウィンガーとパンチャー、それぞれに上達法があるということですが、そもそも自分がどちらのタイプなのか、見極める方法はありますか?

 一番わかりやすいのは、ボールを手前でさばきたいか、それともボールの先でさばきたいか。ボールの先、要するに「フォロー側に意識がある人はスウィンガー」です。ただ、頭に入れておいてほしいのが、最初からスウィンガーになろうとすると間違いが起きるということです。

── どういうことでしょう?

 理想的なインパクトを作るにはパンチャーの動きが必要です。パンチャーの動きができていないのに、スウィンガーになろうとしたりするとおかしくなる。もちろん、ずっとパンチャーの人だっているし、それが間違いというわけではありません。

── なるほど。ある程度ボールが打てるレベルになって、初めて自分がスウィンガー向きなのか、パンチャー向きなのかを方向づけるべきですね。

 そのとおりです。ボールにきちんと当たらなければ何も始まらないですからね。あとは、パンチャーに関して、決して強振する打ち方ではないということです。スウィンガーは振り感を重視するタイプで、パンチャーは当て感を重視するタイプだと考えてください。

インパクトイメージがフォロー側にある【スウィングータイプ

スウィンガーの特徴①】フォロー側でボールを飛ばす感覚がある

画像: 振り感を重視するタイプのスウィンガー

振り感を重視するタイプのスウィンガー

スウィンガーの特徴②】体の回転スピードで打つ

画像: クラブと体を同調させて振るタイプで、リズムがわりと崩れない。好不調があっても波が小さく、調子が悪いなりにゴルフができる。距離感もよいほう

クラブと体を同調させて振るタイプで、リズムがわりと崩れない。好不調があっても波が小さく、調子が悪いなりにゴルフができる。距離感もよいほう

スウィンガーの特徴③】フィニッシュまでよどみなく流れる

画像: インパクト以降も打って終わりではなく、ある程度力感がスウィング自体に残っている。フィニッシュが自然と決まるタイプ

インパクト以降も打って終わりではなく、ある程度力感がスウィング自体に残っている。フィニッシュが自然と決まるタイプ

自分の右サイドで打つイメージがある【パンチャータイプ

パンチャーの特徴①】ダウンでボールを打つ感覚がある

画像: 当て感を重視するパンチャー。だが、決して強打するわけではない

当て感を重視するパンチャー。だが、決して強打するわけではない

パンチャーの特徴②】シャフトのしなりを上手く使う

画像: ボールへのアジャスト力が高く、ダウンスウィングでシャフトをしっかりしならせて振りたいタイプ。インパクトはわりと強め

ボールへのアジャスト力が高く、ダウンスウィングでシャフトをしっかりしならせて振りたいタイプ。インパクトはわりと強め

パンチャーの特徴③】重力を利用してスウィングする

画像: 自ら強くヒットするわけではなく、クラブの重力を使うタイプ。腕の動かし方がカギになる

自ら強くヒットするわけではなく、クラブの重力を使うタイプ。腕の動かし方がカギになる

パンチャーの道「腕を使って振るが力みは排除」

── パンチャーを極めるには何に注意するべきですか?

 パンチャーは厚いあたりが特徴です。よく、分厚いインパクトといいますが、多くの人はこれを勘違いしています。インパクトを分厚くするには、手先の動きは不要。手で当てに行くと薄い当たりしか出ません。良い「当て感」を磨いてほしいです。

── どうやって感覚を養えばよいのでしょうか?

 当てる感覚を出すには腕の動きが重要です。腕を振る動きを覚えることが、クラブ全体の動きを覚えることになり、当て感(フィーリングコンタクト)を磨くことにつながるのです。腕が柔らかく使えないと「当て感」は出てこないということです。

【ポイント】力を抜いて腕を振るほど「当て感」が向上する

画像: グリップに力を入れると上達が遅れるので、クラブを上げる時は自然と腕を使ってOK。余計な力感が取れる

グリップに力を入れると上達が遅れるので、クラブを上げる時は自然と腕を使ってOK。余計な力感が取れる

── しっかり当てようとすると力みが入りやすくなりますが、対策はありますか?

 力むとそれこそ当てに行く動きになってしまいます。腕は使うけど、力んではいけない。そのために、グリップにタオルを巻いて振ることをお勧めしています。グリッププレッシャーを抜くための練習で、腕でクラブを上げていることを実感できます。力を入れなくてもクラブが上がるということを体感してもらいたいんです。

力みのない腕の振りを覚える「タオル巻き素振り
グリップにハンドタオルを巻き付け、そのまま振る。いつもよりグリップが太くなることで、力みのない振りを覚えることができる。

画像: グリップにタオルを巻きつける

グリップにタオルを巻きつける

重力を利用した腕使いを覚える「軟らかシャフト打ち
レディスクラブなど、軟らかいシャフトを使うと、ダウンスウィングでヘッドが下りてくるのを待たなければアジャストできない。シャフトの正しい動きが覚えられる。

画像: 「軟らかいシャフトを使って振ります。打つものアリです」

「軟らかいシャフトを使って振ります。打つものアリです」

腕振りを覚える「足閉じティアップ打ち
スタンスを狭くした状態で、フルショットと同じくらいの飛距離を出す。狭いスタンスだと腕をしっかり振らないと飛距離を出すことができない。

画像: ティアップして、フルショットと同じ距離を打つ

ティアップして、フルショットと同じ距離を打つ

力むとなぜダメなのか?

【理由①】わきを強く締めると腕が使えない
アドレスでわきを締めると手に力が入る。手に力が入るとクラブが上がらなくなる。「だからアドレスでは絶対にわきを締めることはしないように」

画像: わきをしめずに、ゆるく構える

わきをしめずに、ゆるく構える

【理由②】重力を感じられなくなる
手に力が入っているとクラブの重さを感じにくくなるので、重力を利用できなくなる。切り返すポイントも感じないので手打ちになる。

スウィンガーの道「振り感をもっと磨こう」

── では、スウィンガーの感覚を磨く方法を教えてください。

 パンチャーの「当て感」に対して、こちらは「振り感」を磨きましょう。大事なのは旋回スピードを上げることとバランスよく振ること。

 バランスよく振れているかどうかを体感するには、軽いものを振るのが分かりやすいですね。重さがないものは、フィニッシュが取りづらくなります。フィニッシュで止まれるよう目指すことが、振り感を磨くことになります。

斜めのフィニッシュ」を作る
フィニッシュで体が起き上がると力が逃げて速く回れない。「体が起き上がらないようにするには、右肩低い振り抜きを意識することです」

画像: スウィンガーの道「振り感をもっと磨こう」

── 冒頭で体のキレがポイントになるとおっしゃっていましたが、体のキレを出すには?

 腰の回転の仕方でスピードを上げていきます。横回転なのか、縦回転なのかは個々によって差はあります。ただ、縦の回転は筋力が必要になるので、アマチュアは横回転がおすすめ。注意点は前傾角度に対する横回転であるということ。「もぐって回る」イメージで、体が左に乗るようにする。力が逃げずに速く回れますよ。

右腰をターゲット方向に出す」ように回転
腰を回転させるときは右腰を意識。右腰をターゲット方向に出していくイメージで腰を切る。このとき右足が前に出ると回転の邪魔になってしまう。

画像: 右足が前に出るとスピードダウンするので注意。右足ではなく、右腰を押し込む

右足が前に出るとスピードダウンするので注意。右足ではなく、右腰を押し込む

振るバランスが整う「クラブ逆持ち素振り
クラブを逆さに持ってフィニッシュでピタッと止まることを目指す。最初はゆっくり振って、徐々にスピードアップ。振り感が出てくるとヘッドが走り始める。

画像: 右肩の低いフィニッシュのイメージを持って振る

右肩の低いフィニッシュのイメージを持って振る

速く振るを体感する「マン振りクラブ戻し
「最後まで振り切った後のクラブを体の正面に戻す動きは、バランスよく振れていないとできません」。腕をしっかり使って、マン振り。これができることを目指す。

画像: 戻せたらしっかり腕が振れている証拠

戻せたらしっかり腕が振れている証拠

プロや同伴者のスウィングが気になりだしたら要注意

パンチャースウィンガーを気にし出したら【左足体重を徹底】
「症状としては左足に体重を乗せられなくなるため、左足の土踏まずに体重を乗せたままスウィングする。あとは右ひじを絞ろうとしないこと」

画像: プロや同伴者のスウィングが気になりだしたら要注意

スウィンガーパンチャーを気になったら【右手離し素振りで振る感覚を思い出す】
「強いインパクトを目指してしまうので、よりフォローを意識するためフォローで右手を話す素振りをしましょう。左手をターゲット方向へ出すこと」

画像: 本来の通過点インパクトが取り戻せる。左ひじは引かないよう注意

本来の通過点インパクトが取り戻せる。左ひじは引かないよう注意

週刊GDより

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