2017年はアマチュアの金谷拓実が日本オープンで2位になり、2016年は畑岡奈紗が日本女子オープンに優勝する(プロ入り後の2017年も連覇)など、JGAのナショナルチームに所属する選手の活躍が目立つが、その立役者ともいえるのが2015年にヘッドコーチに就任したガレス・ジョーンズ氏だ。選手たちからも「もっと早く出会いたかった」と高く評価されるジョーンズ氏に話を聞いた。(週刊GD2018年1月30日号の記事より)

「データは“意見”ではなく客観的な“事実”。納得するしかない」

GD チームの練習に、「SHOTS TO HOLE」というゴルフ専用の統計ソフトを導入して、メンバーそれぞれの得意、不得意を「可視化」しているのも、プレー中のリスク管理の観点からでしょうか。

ガレス もちろんそれもありますし、そのプレーヤーにとってどんな練習に、より時間を使うべきか判断するためでもあります。私がソフトを導入する以前は、そうしたショットの統計分析になじみのある選手は皆無だったので、その意義を理解してもらうのに少し時間がかかりました。しかし、昨年(2017年)はタクミ(金谷拓実)やカズキ(比嘉一貴)が、その前の年に十分にデータの意味を理解していたので、新しくチームに合流した選手に教えてくれたりして、私の考えがスムーズにチームに浸透したと思います。

画像: (左)金谷拓実選手(右)比嘉一貴選手

(左)金谷拓実選手(右)比嘉一貴選手

GD データの意義とは?

ガレス 例えば、自分では5番アイアンが得意だと思っていても、統計を取ってみると、実際はグリーンオン率がそれほど高くないということがよくあるんです。データはウソをつきませんからね。私がもっとロングアイアンの練習をした方がいいと言っても、選手が反発する可能性もありますが、データがあれば納得するしかない。ドライバーからパターまで、自分の感覚ではなくて、実際のショット効率(パット効率)を知ることは選手の可能性を高めますし、時間の節約にもなります。

画像: 最新機器を利用して、感覚的なものをデータとして可視化することも重要。「納得するしかないから時間の節約になる」(ジョーンズ氏)

最新機器を利用して、感覚的なものをデータとして可視化することも重要。「納得するしかないから時間の節約になる」(ジョーンズ氏)

GD 16年に行われた世界アマでは、女子チームが8位、男子チームは23位と、まだまだ世界との差を感じさせる結果でした。一方で、ジョーンズ氏がやはりコーチを務めるオーストラリアのナショナルチームは、同大会での男子チーム優勝だけでなく、その後、チーム出身のキャメロン・スミスがプロ転向して初優勝を挙げたり、カーティス・ラックが16年の全米アマに優勝して17年のマスターズに出場したりと、世界で活躍しています。この差はどこにあるのでしょうか。

ガレス 2人とも自分の長所をよくわかっていて、それを生かしたプレーに徹しているということがすべてではないでしょうか。キャメロン(身長約177センチ)もカーティス(身長約175センチ)もプロツアーの中ではそれほど体が大きいほうではないですが、素晴らしいショートゲームプレーヤーで、自分自身でもそれをわかっているので、周りがロングヒッターばかりでも、それにつられることなく自分のゴルフができるのです。

画像: 「データは“意見”ではなく客観的な“事実”。納得するしかない」

GD 松山英樹選手は日本人としては体格に恵まれていますが、彼が活躍しているのは、その要素が大きいと思いますか?

ガレス アマチュア時代の彼を最初に見たのは、アジア・パシフィック選手権だったと思いますが、その時にやると決めたことをやり通す意志の強さのようなものを感じました。体のサイズよりも、むしろそちらの方が彼の強さを支えていると思います。日本人プレーヤーは日本国内で十分にプロとして生活できるという点で、非常に恵まれています。オーストラリアの場合は、男子ツアーも日本ほど盛んではなく、女子に至ってはないに等しい状態ですから、プロとして生活するには、どうしても世界に出ていかなければいけない。それが逆に、アダム・スコットやカリー・ウェブなど、強い選手が生まれる要因になっていると思います。日本の選手層はプロもアマも厚いですが、世界ではその層が何倍にも厚くなります。日本チームは、そういう選手層が厚くて、1打の重みが何倍にもなる試合での経験をたくさん積むことが、さらなるレベルアップのために必要だと思います。(了)

2019年1月7日発売号の週刊GD誌で、ガレス・ジョーンズ氏の最新記事が掲載されます。

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