シニアツアーで活躍しながら、「チーム・セリザワ」のトップとして藤田寛之、宮本勝昌、西山ゆかり、木戸愛らにアドバイスを送り、さらに「チーム・セリザワ・ゴルフアカデミー」の校長としてアマチュアのレッスンでも活躍。ゴルフ界きっての理論派でもある芹澤プロが自身のゴルフ技術について語っていきます。

【通勤GD】通勤GDとは‟通勤ゴルフダイジェスト”の略。世のサラリーマンゴルファーをシングルに導くために、月曜日から金曜日(土曜日)までの夕方に配信する上達企画。ワンテーマを3回~6回のシリーズでお届け。帰りの電車内で、もしくは翌朝の通勤中、スコアアップのヒントを見つけてください。

芹澤信雄プロ
1959年生まれ。ジャンボ尾崎に「世界一パーパットが上手い」と評されたパットの名手。1987~2000年にツアー5勝。その後シニア1勝。飛距離優先時代をショットの質で生き抜く。チームセリザワゴルフアカデミー主宰。

ご存知の方もいるかもしれませんが、僕は高校時代はスキーの選手でした。国体に出場したこともあったんですが、スキーで進学するとかプロになることはできずに、高校3年で挫折を味わいました。

そんなわけで目標を失って迷っていた時に、「じゃあゴルフやってみるか」と、当時富士平原GCに所属していた石井隆文プロが声をかけてくださったんです。

僕は16歳の時から、スキーの資金稼ぎのために夏の間は富士平原GCでキャディのアルバイトをしていて、石井プロを始めコースの方々とは面識がありました。

父もシングルプレーヤーでしたし、球を打ったことがないわけではもなかったんですが、実質的にはゼロからのスタート。周りには元プロ野球選手やジュニアで活躍していた先輩もいて、僕は誰にも期待されていなかったんです。

コースとしても、素人の研修生は初めてで「25歳まで面倒見てやるから、ダメならキャディマスターになればいい」という扱いでした。実際、高校3年の9月、部活引退してコースに顔を出すようになって初めてプレーさせてもらった時も、ハーフ63~64叩いたのを覚えています。

手作り練習場で黙々とハーフショットの練習

当時の富士平原GCには、練習場がありませんでした(現在はドライビングレンジあり)。プロや研修生は、箱根コースの1番ホールのティグラウンド横と、9番ホールのグリーン後ろのベアグラウンドで練習するんです。

この御殿場近辺の土は火山灰で、小石も多く混じっていますから、ここで練習しているとアイアンのソールはすぐに削れてしまいます。僕のアイアンは、いつも一番下のスコアラインがリーディングエッジになるくらい減っていました。

僕の師匠の石井プロは、本当によく練習する方でした。僕もその背中を見てきたので、練習だけは人一倍しました。そもそもど素人からのスタートでしたから、やればやるだけうまくなるのも楽しかった。

だから、この場所が僕のゴルフの原点。今でも、クラブやボールを新しくしたら、まずここに持ち込んで打ちます。飛距離や球の転がり、弾道はもちろん、ソールの抜けや打音など、僕にとってのすべての物差しがこの「1番ホールの木の下」にあるんです。

この特設練習場で3ヵ月間、朝晩球を打ち続け、見事、その年の12月27日に「38」のスコアを出すことができました。この時やった練習は2つだけ。7番アイアンでの2種類のハーフショットでした。

1つはスタンスを狭くして、ベタ足で球を打つ練習です。左腕が地面と平行になるトップから、右腕が地面と平行になるフィニッシュまで左右対称のハーフスウィング。これはすべての基本になる腕の使い方を身に付ける練習で、軽いドローが出ればOK。まず最初にこれで腕の振り方、球のつかまえたを覚えることが重要です。

2つめは、ハーフスウィングのトップから、体の回転で球を打つドリルです。これはテークバック3に対してフォローが7くらいの力感で振り、フィニッシュは最後まで振り切ります。ノーコック気味でテークバックし、体の回転でクラブを引き下ろし、目標に「球を運ぶ」感覚を大事にしてください。

思ったよりも地味で泥臭いでしょう? でも、これだけで、ハーフ64だった男が、3ヵ月で38を出せたんです。最初にハーフスウィングをみっちりやったことで、「体でクラブを引っ張り下ろす」感覚が身につき、ミート率も上がりました。

この2つの練習こそが、プロゴルファー芹澤信雄、ひいてはチーム・セリザワの原点なんです。

【通勤GD・今日のポイント】ゴルフの基本はハーフショットにあり

腕使いを覚える/ベタ足インパクトで7番アイアンをハーフスウィング

画像: ボールはスタンスの真ん中。7番アイアンで普段の7割の距離を打つ。軽いドローが出るのが理想

ボールはスタンスの真ん中。7番アイアンで普段の7割の距離を打つ。軽いドローが出るのが理想

体の使い方/ハーフテークバックから体でクラブを引き下ろしてショット

球を「飛ばす」のではなく、下半身でボールを目標へ「運ぶ」が大事。ハーフのテークバックからフィニッシュはほぼフルショットの位置へ。

画像: 小さなトップから体の回転でクラブを引き下ろし、フィニッシュまで振り切る。テークバックはノーコック気味のイメージ

小さなトップから体の回転でクラブを引き下ろし、フィニッシュまで振り切る。テークバックはノーコック気味のイメージ

静岡県の富士平原GC、箱根コース1番ティの横に大きな杉の木がある。芹澤信雄プロは、研修生時代からこの木の根元で球を打ち、腕を磨いた

画像: 芹澤信雄が育った富士平原ゴルフクラブ。池の右側の杉の木がその木(箱根コース・1番ホール)

芹澤信雄が育った富士平原ゴルフクラブ。池の右側の杉の木がその木(箱根コース・1番ホール)

月刊GDより

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