【通勤GD】
通勤GDとは‟通勤ゴルフダイジェスト”の略。世のサラリーマンゴルファーをシングルに導くために、月曜日から金曜日(土曜日)までの夕方に配信する上達企画。ワンテーマを3回~6回のシリーズでお届け。帰りの電車内で、もしくは翌朝の通勤中、スコアアップのヒントを見つけてください。
パットで大切なのは「方向性」より「距離感」だ
パットが上手い人と下手な人では何が違うのか。それは入るパットの理屈を知っているのか知らないか、それだけです。「俺、パットのセンスないからなぁ」なんて諦めている人がいるなら、そんな必要は全くありません。
いまでこそ30パット打つことはほとんどありませんが、パットの仕組みを理解するまでは私も平気で40パット叩く“パット下手”ゴルファーだったんですから。どうかご安心を(笑)。
パットが下手な人はストロークに特徴があります。「大きくバックスウィングして減速しながらインパクト」、あるいは「非常に小さなバックスウィングでボールを押し出すように打つ」、このいずれかです。
どちらも感覚だけでヘッドスピードを調節しようとすることで起こる動きで、ボールを打つ強さが毎回バラバラになるため、打ちすぎたり、弱すぎたりで“微妙なタッチ”が出せないのです。ここまで話して分かる通り、パットは“距離感”が何より大切です。
知ってました? パットの支点って2つあるんです
“振り子”で打てれば調子の波に左右されない
距離を打ち分けるために必要なことは何か。それがタイトルにもある“振り子”の動きを利用することなのです。パターヘッドを錘とした振り子運動を目指せば、ヘッドスピードが一定になり、ボール初速を正確にコントロールできます。
パット下手な人は、せっかく「振り子の原理」で自然に戻ろうとする力を無視して自分の力でパターを振るので、感覚のいい日と悪い日の差がものすごく大きくなってしまうんです。でも重力って一年中変わりませんよね(笑)。どちらが距離感が出るかは明らかです。
振り子には、“支点”がありますが、振り子パットにおける支点はどこだと思いますか? 手首でしょうか? それとも首の付け根? 研究の結果、これら2つを“支点”としたときに最も球の転がりがよく精度が高いことが分かりました。「支点が2つ?」と思うかもしれませんね。ではご説明しましょう。
バックスウィングは「手首」を支点にしてクラブを上げ、トップからは手首の角度をキープしたまま支点を「首の付け根」に移して振る。これが2つの支点を使うということ。バックスウィングでは、繊細な感覚を持つ右手(右利きの場合)でコックを使ってパターの重さをしっかり感じます。
ダウンでは手首をリリースせずに右手首の角度を保ったまま、首の付け根を支点に大きな半径の振り子を使って打っていきます。こうすることで手首だけを支点にして打つよりもヘッドの“ブレ”が抑えられ、かつ首の付け根だけを支点にして打つよりも繊細なタッチが出せるようになるのです。(※長いパットはバックスウィングで手首と首の付け根の支点を併用)
手首をロックしたまま、首の付け根だけを支点にした方が安定感があるのでは? と思うかもしれませんね。プロですらその方がいいと思い込んでいることもしばしばです。
しかし、パターの重さ(約500ブラム)+腕の重さ(約5キロ)を背中などの大きな筋肉で動かすのですから、一番先端のパターヘッドの動きをコントロールすることはとても難しい。専門的には「SN比」といいますが、例えば手先を使うから細かな絵を描けるわけで、これを手先は動かさずに背中の大きな筋肉で描け、といわれたらとてつもなく難しい。
SN比っていったい何?
直径43ミリ、重さ46グラムの小さなボールを、腕とパターを合わせた重さ5.5キロの振り子で打つより、手首を支点にして約500グラムのパターの重さを手に感じながら振るほうが、細かな距離の打ち分けができることは間違いありません。
振り子の再現性を活用しながら、そこに自分の感覚をいかに入れていくかが本物のパット。ここを理解するだけで、あなたの“パット上手”への第一歩は既にスタートしているのです。
【通勤GD・今日のポイント】パットは手首と首の支点を使った振り子運動がいい
振り子の動きをおさらいしよう
錘を持ち上げていくと、重力により錘は下に落ちようとします。このとき接線方向の力と復元力が働き、錘は元の位置に戻り、さらに反対方向にほぼ同じ高さまで上がる。この自然の力をパットにも活用することが大切です。
【即効ドリル】「半分の距離をしっかり打つ」不思議と距離感がビタッ!
5メートルくらいまでのパットの場合、実際の半分の距離に仮想カップを作り、そこに向かって“しっかり”打ってみましょう。不思議と実際のカップに距離感が合います。普段、狙いに行って“大オーバー”するような人に効果的です。
Illust/Shigehisa Kitatani 月刊GDより