芹澤プロは、テレビ解説として毎年マスターズの会場オーガスタにいっている。オーガスタでのプレー経験もあるという芹澤プロに、プロゴルファーの支点から「オーガスタナショナルGC」について、そして「マスターズ」について語ってもらった。

【通勤GD】通勤GDとは‟通勤ゴルフダイジェスト”の略。世のサラリーマンゴルファーをシングルに導くために、月曜日から金曜日(土曜日)までの夕方に配信する上達企画。帰りの電車内で、もしくは翌朝の通勤中、スコアアップのヒントを見つけてください。

芹澤信雄プロ
1959年生まれ。ジャンボ尾崎に「世界一パーパットが上手い」と評されたパットの名手。1987~2000年にツアー5勝。その後シニア1勝。飛距離優先時代をショットの質で生き抜く。チーム芹澤ゴルフアカデミー主宰。

実は僕、マスターズの舞台、オーガスタナショナルゴルフクラブでは3回ほどプレーしたことがあります。オーガスタは、テレビではちょっとわかりにくいかもしれませんが、高低差がかなりあって傾斜がきついんです。

だから、ラウンドレポーターとして、コース内を歩き回るのって結構大変なんですよ。でもコースとしては、それほど難しいわけではない。試合でも、全米オープンのようにラフを伸ばすわけじゃないし、ピン位置もだいたい毎年同じ。

なのに世界のトッププロたちが苦戦するのは、何と言ってもパトロンたちの醸し出すマスターズ特有の雰囲気にあるんだと思います。たくさんのパトロンが出す熱気、歓声やざわめき、そういったものが「オーガスタナショナル」というコースを「マスターズ」という特別な舞台に変えるんだと思います。

もう一つは、グリーンキーパーたちのコースセッティングの技術ですね。とくにグリーンの締め方、スピードの出し方は、同じ時期に同じコースで繰り返し開催することで蓄積されてきたノウハウあってのものでしょう。

こういうコースは選手を成長させます。選手は毎年出会う特定の状況をクリアするために、特定の技を磨いたり戦略を考えたりする。それがすごくいい経験になるんです。

歴代ウィナーには、マイク・ウィア、フィル・ミケルソン、バッバ・ワトソンといったレフティが名を連ねており、「左打ち有利」は以前から言われています。実際、オーガスタにはレフティ有利と思われるホールがいくつかあります。

例えば、左ドッグレッグの13番パー5のティショットは、右打ちの選手であればドローでホールなりに狙うのがセオリーですが、曲がりすぎると斜面に転がって左サイドのクリークに入ってしまったり、左の木が邪魔になって2打目でグリーンを狙いにくい。

また、ドロー特有のプッシュアウトのミスもあります。しかし、レフティならここをフェードで狙えるので、より精度の高いティショットを打ちやすく、2オンさせてイーグルという可能性も高まるのです。

飛ばない選手にとっては、コンディションが悪くてスコアが伸びないときがチャンスです。日本人選手はこういったところに活路を見出すしかないのかもしれません。

片山晋呉選手が以前出場した際には、5番アイアンを多用したことを覚えていて、マスターズ用に5番アイアン代わりのUTを作った。そのUTが大活躍して、09年のマスターズで10アンダーの4位という好成績を残しました。

男子プロであれば、国内の試合では5番アイアンで事足りるでしょうし、多くの男子プロが5番アイアンを外してUTにすることに抵抗があると思います。でもかれは名より実を取った。そういった客観的で現実的な視点こそが、片山君の最大の強みだと思います。

僕もUTは使っていますし、アマチュアにとっても強い味方。使いこなすポイントはアイアン感覚で打ち込むことですよ。

【通勤GD・今日のポイント】UTはアイアンみたいに打ち込もう

【ポイント①】ボール位置は左足かかとより少し内側
UTは、長さがFWよりも短めでアイアンに近い。ボール位置は、左足かかとよりも少し内側くらいが基準。

画像: アイアンに近い左足かかと内側にセット

アイアンに近い左足かかと内側にセット

【ポイント②】ハンドファーストに打ち込むイメージ
少し上から打ち込むイメージで、ターフをとるくらいの感覚がUTに合ったスウィング。ハンドファーストに打とう。

画像: ボールの先のターフをとるつもりで、アイアン感覚に振る

ボールの先のターフをとるつもりで、アイアン感覚に振る

【ポイント③】右ひじを体の近くを通して下ろす
打ち込もうとするとカット軌道になりやすい。右ひじは体の近くを通し、クラブを立てて下ろしてこよう。

画像: クラブを立てて下ろす

クラブを立てて下ろす

画像: 【通勤GD】芹澤信雄「1番ホールの木の下で…」Vol.14 ユーティリティを味方につけて難コースを攻略。ゴルフダイジェストWEB

月刊GDより

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