2019シーズン、フェニックスオープン優勝、ホンダクラシック2位タイ、ベスト5が2回と、前半戦から絶好調のR・ファウラー。その安定感抜群のスウィングをプロコーチ・江連忠が分析する。

リッキー・ファウラー
米国出身。ツアー5勝。ミドルネームの「ユタカ」は、日系2世の祖父に由来。安定したショットとアプローチ&パットを武器に、常に世界ランク上位に入る。ラウンド前には、必ずTwitterで「GoTime!(さぁ、行こう)」とつぶやくことで知られる。

ループが抑えられた

今季すでに1勝を挙げ、安定した成績を残しているR・ファウラーですが、数年前に比べると、クラブを外に上げてインから下ろすループの動きが、かなり軽減されました。とくに❷~❸コマ目を見ると、クラブが外に上がる動きが抑えられているのがわかるのではないでしょうか。

2015年のスウィング

基本的に、どんなプレーヤーであっても、スウィングを修正するときに、「今の自分」よりも複雑な動きを取り入れることはありません。自分が生まれながらにして持っているリズムやタイミングなど、絶対に崩せない部分は残しつつ、ムダを削ぎ落とし、よりシンプルな動き、平均的な方向へと向
かっていくわけです。

現在のスウィング

この「引き算」のチェンジはファウラーも同じで、バックスウィングのプレーンとダウンスウィングのプレーンを近づけることで、よりインパクトのタイミング、間合いが安定する動きを求めたのでしょう。

左ひじにゆとりがあって、ボールを面で捉える

身長175センチ、体重68キロと、決して体が大きいとは言えないファウラーですが、ドライビングディスタンスは305.6ヤード(3月5日現在)と、飛距離は大型選手に引けを取っていません。

その原動力が、強烈に高いミート率です。粘り強い下半身の動き、限りなく抑えられた上下動、安定した目線。それらすべてが、ファウラーの高いミート率を支えているのです。ダウンからインパクトにかけて、左ひじに余裕があるところにも注目してください。

左ひじのゆとりはドライバーが上手く、ミート率の高い選手によく見られる動きです。たとえば、ジョーダン・スピース、リー・ウエストウッド、杉原輝雄さん、今平周吾選手などがこのタイプで、両腕が作る五角形をキープすることで、ボールを面でとらえてラインを出していこうとする意思の表れと言えるでしょう。

レイドオフ(トップでシャフトが目標の左を差した)・フェースシャット(閉じた)・フラットのトップも、ボールストライカーの特徴と言えます。これは決して飛ぶ要素ではありませんが、B・ホーガン、L・トレビノ、G・プレーヤー、S・ガルシアなど、高いミート率を誇ったプレーヤーたちに共通した動きなのです。

このショット力に加えて、アプローチ&パットがずば抜けて上手いのですから、ケガでもしない限り今季も安定した成績を残してくれることは間違いないでしょう。

また、欠点が少ないということは、4大メジャーすべてにおいて勝利のチャンスがあるということ。いまだビッグタイトルのないファウラーですが、今年は期待をしたいと思います。

【解説/江連忠】
えづれただし。多くのツアープロを勝利へと導いた日本におけるプロコーチの草分け的存在。本誌にて『新モダンゴルフ』連載中。

週刊GD2019年3月19日号より

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画像: 左ひじにゆとりがあって、ボールを面で捉える

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