吉田 先生、ありがたいことに、なんと私たちが今年のレッスン・オブ・ザ・イヤーに選ばれました!
クォン 本当にうれしいね。とくに私のような、研究を生業としている者が、このような賞をいただけるとは思ってもみなかった。でも、科学と実践というのは決して別の世界の話ではない。実践のない科学は机上の空論にすぎないからね。その意味で、ヒロイチローが私の考察をリアルゴルファーに〝翻訳〟してくれていることは、とても理想的な形だと思う。
吉田 私も先生と議論したり、一緒に実験をさせてもらうたびに、目からウロコの新しい発見があって、とても良い刺激を受けています。
クォン 今日は改めて、初めて読む方にもわかるように、この「反力打法」で伝えたいことをお話ししたいと思う。
吉田 「反力打法」という名前から、ちょっと誤解というか、単にインパクトでひざをピンと伸ばすことだけが重要だと考えている人が多い気がします。
クォン うむ。あくまで「反力打法」(Ground-up Swing)というのは、バイオメカニクス(生体力学)に基づいた理想的スウィングのひとつの実例にすぎない。それにひざが伸びるのはあくまで地面をプッシュした結果であって、ひざを伸ばすこと自体が目的ではないことを理解してもらいたい。
吉田 先生が追求するスウィングのキーワードは「力学的効率」でした。
クォン そのとおり。具体的には①有効性(出力を最大化させること)、②効率性(力を無駄なく伝えること)、③安全性(ケガをしにくいこと)の3つが大きなテーマになる。
吉田 つまり、いかに力を使わずに、高いスピードを生み出すか。それは結果として体への負担が少ないスウィングであると。
クォン イエス。そのためのひとつの方策が、地面反力を利用すること。体の内側の力=内力ではなく、外側の力=外力を活用することで、効率よく、高い出力を得られるというわけだ。
吉田 地面反力だけでなく、よく登場する「キネティックチェーン」(運動連鎖)という概念も、効率の良いスウィングのための重要なポイントですよね。
クォン いかにも。そして「効率の良さ」がテーマだからこそ、反力打法はプロ・アマ問わずすべてのゴルファーにとって有益なんだ。
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週刊GD4月23日号より
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