【通勤GD】
通勤GDとは‟通勤ゴルフダイジェスト”の略。世のサラリーマンゴルファーをシングルに導くために、月曜日から金曜日(土曜日)までの夕方に配信する上達企画。ワンテーマを3回~6回のシリーズでお届け。帰りの電車内で、もしくは翌朝の通勤中、スコアアップのヒントを見つけてください。
打つときには“距離感”だけに集中しよう
パッティングは“距離感”と“方向性”が一致して、はじめてカップインするわけですが、ラウンドしていると「方向に気を取られて、タッチ考えてなかったー」とか、その逆で「距離はいいのに、どこを狙ってるんだよ」といった声が聞こえてきます。
しかし、これらはある程度仕方のないこと。方向性を意識する、距離感を意識する、人間はこの2つを同時にはなかなかできないからです。まずは、距離感を優先することが大切です。
曲がるラインであれば、どこに仮想カップを設定するかは打つ強さ(距離感)によって変わってきますし、ストレートなラインでも、適切な距離感がなければ届かなかったりカップに蹴られたりしてしまう。
世界一のタイガー・ウッズでさえ、方向性はボールに書いたサイトラインにまかせ、打つときには距離感だけに集中しているのです。とはいえ、なかなか距離感が合いづらいという人もいるでしょう。そういう人はパッティングを見ていると、“リズム”が感じられません。
サッと上げてゆっくり下ろしたり、またはその逆だったり。これではその都度距離が安定しないので、正しい情報がなかなか身につかないのです。そうならないためにも、“重力”を感じて振ることです。リズムが乱れやすい人のほとんどは、腕力を主体に振っています。
これではリズムが一定しませんし、その日の体調によっても変化してしまいます。でも、重力は1年中を通して不変です。どっちを生かして振るほうが安定感に勝るかは明らかだと思います。
もし重力がなかったらパットはとてつもなく難しい
重力があるから、安定してスウィングやストロークになる。仮に重力がない状態で常に一定にクラブヘッドを動かそうとすれば、ヘッドがふらつくなど非常に難しい作業になる。「振り子」運動のもとになる重力を感じながら一定のリズムを身につけよう。
体重移動を使うと重力を味方につけられる
目指すは、重力によって振り子(ヘッド)が一定に動けば極めて安定したパッティングになる。ではどうすればいいのか。振り子ですから、まずは支点を作ることです。支点は首のつけ根、手首、この2つを設定します。
手首を支点にテークバックし、ダウンスウィングからは手首の角度はそのままに、首の付け根を支点にして振っていく。こうすることで、繊細な手先の感覚を生かしてパターの重さや腕の重さ(重力)を感じながら、インパクトにかけては大きな筋肉でブレを防ぐことができるからです。
それに加えて、体重移動を使って打つことです。とはいえ、上体を左右に揺らすようにするのではなく、逆に止めておく意識。上体ではなく下半身で体重を右→左と乗せ換えていきます。
具体的には左ひざを軽く右に動かすようにテークバック、そこから右ひざを左に寄せるようにしてインパクト。上体や腕で動かそうとしなくても、ひざの横方向への動きでクラブヘッドが自然についてくることが分かると思います。
するとどうでしょう、重力を使えてリズムよくストロークできていませんか? トップではしっかりと切り返しの“間”も取れていると思います。これが“重力”を使ったパッティングということです。
距離感を身につけるためには、腕や手だけで振らずに、まず2支点の振り子を意識すること、そしてひざを左右に動かすようにして体重移動を入れること。これにより、不変の力である“重力”を味方につけ、パッティングの精度が上がるのです。
【通勤GD/今日のひとこと】同じ振り幅でも体重移動すると転がりはよくなる
【科学の広場】歩くリズムをストロークに生かしましょう
前回の科学の広場で「間」が大切とお話ししました。重力を感じるとリズムが安定するからです。ちなみに歩くリズムでストロークすると平均0.7秒のストロークでボールをインパクトします。
例えば、テークバックとフォローが1対2の割合のストロークで全体の振り幅が45センチとすると、切り返しから加速して15センチでボールをインパクトして、その後減速しながらフォローを30センチ取り停止する動きになります。
この運動方程式を解くと、インパクト時にヘッドスピードは約1.3m/sとなり、それに伴いボール初速は2.4m/sとなります。8フィートの速さのグリーンでは約2メートルの距離を打つことができます。
【即効ドリル】上りは重力に負けずに積極的に“体重移動”
(左)上りのパット
上りは重力に逆らうようにして体重移動を強める。あくまでも腕の力ではなく、体重移動を意識。
(右)下りのパット
下りでは重力に流されて思ったより転がることを防ぎたいので、重力に対抗するように振っていこう。
上りではよりボールに勢いを出したい、下りでは逆に勢いを殺したい。この場合、それぞれ重力が足かせになるので、体重移動により目を向ける必要があります。上りではより積極的に体重移動、逆に下りでは体重移動を抑えるようにストロークしてください。
Illust/Shigehisa Kitatani
月刊GDより
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