「本球と安物ボールで打ち比べたら、果たしてどれだけの差があるか…」。今週の通勤GDは、高松志門プロと奥田靖己プロによる名師弟「一行レッスン」です。その第二十五話。

【通勤GD】通勤GDとは‟通勤ゴルフダイジェスト”の略。世のサラリーマンゴルファーをシングルに導くために、月曜日から金曜日(土曜日)までの夕方に配信する上達企画。帰りの電車内で、もしくは翌朝の通勤中、スコアアップのヒントを見つけてください。

ゴルフ芸人 高松志門
1951年生まれ。橘田規に師事し水平打法から独自の理論を展開。多彩な技から‟ゴルフ芸人”の異名をとる。
志門流一番弟子 奥田靖己
1960年生まれ。絶妙な寄せ技を武器に93年日本オープンで尾崎将司を退け優勝するなどツアー6勝、シニア2勝

画像: 【通勤GD】高松志門・奥田靖己の一行レッスンVol.25「道具を替えても自分は変えるな」ゴルフダイジェストWEB

高松 クラブもボールも、新製品はどのメーカーのも良さそうやね。メーカーの人の話だけ聞くと。

奥田 僕もドライバーを最新型に替えてみたんです。この丸っこいヘッドの。

高松 大体昔からそうや。性格がとげとげしい奴は角ばったヘッドを持つし、そうやない奴は丸いヘッドを選ぶ。

奥田 いや、丸いほうが飛ぶ言われて…。

高松 それは誰が打っての話や。自分の感性を一番大切にせないかんが、そんなもん信用してどないすんねん。

奥田 たしかにしょうもない宣伝文句だけが頭に残って、ちょっとでも飛ぶクラブとかボールが欲しくなる。

高松 雑誌じゃなかなか意味が伝わりにくいけど、道具はなんぼのもの。

奥田 クラブやボールを替えて、実際、一番変化してるんは自分、ということに気づけ、いうことですね。

高松 そう。昔、俺がコースの練習場でドライバーの練習しよった時にな、最後に球拾いに行ったんよ。そしたら、真新しいコースボールもあったのに、一番飛んどったのは変色した古い”イーグル”っちゅうボールやったわ。

性能の差よりも、自分が変わってしまうことが危ない

奥田 今かて、普通の800円のボールと安売り用の安物ボールとでは、飛距離が30ヤードくらい違うと普通の人は思うてますもんね。

高松 ほな、次の売店で安物ボール買うて、自分のと打ち比べてみようか。(※高松プロのボールは2発とも同じ弾道でほぼ同じ場所へ。奥田プロは自分のボールは右に曲げ、安物ボールはフェアウェイど真ん中へ)

画像: 安物ボールと自分のボールを打ち比べ

安物ボールと自分のボールを打ち比べ

奥田 僕、安物の方がええですわ(笑)。

高松 何を言うとんねん。奥ちゃんは自分のと安物がどっちかわかって打ったんやろ。やっぱりそこで気持ちになんらんかの変化が起きとんねん。

奥田 先生のは凄すぎますわ。50センチしか離れてへん。

高松 同じように打たんとテストにならんがな。でも、ボールの値段の差なんてちょっとの工程の差よ。その工程が性能とどんな関係があるかいうたら、僅かな個体差だったり、塗料だったり、飛距離なんか関係あるかっちゅうたら…。

奥田 50センチの差ですか。もちろん思い切り叩いたら、高いボールが一番飛ぶんでしょうけど。

高松 こうやって実際のコースで本球として打ったら、一体どれだけの差があるかっちゅう話やね。でも、皆は一番飛んでるボールが古いとか安いと、これは何かの間違いやと思うてしまう。そら、アマチュアの人が練習場でロストボールだけ最後に残しとるのと同じ状態や。

奥田 全部ただの思い込みですね。

画像: 2つとも同じ所へ

2つとも同じ所へ

高松 結局、新しいから飛ぶとか、欲をかいて飛ばしにかかるとか、そういう瞬間に自分が変化して、化け物になってしまう。新しいクラブやボールを持っても、欲や打算抜きでおれるかどうかや。

奥田 自分が変化した瞬間に球は曲がるもんなんですね。ちなみに、先生にとって道具って何ですか。いつも「頭と棒があったらええ」とかいうてますけど。

高松 単なる道具というほどぞんざいでもないわ。というより、一歩間違えたら、道具の路線にはまってしまう自分をよう知っとるんよ。

奥田 でも、道具にこだわるなんて路線には絶対行かへんですよね。

高松 自分が後戻りしている気がするからね。わずかな飛距離とか止まり方とか知らんけど、そんなことのためにずっと気持ちのもつれが始まる。それが嫌なんよ。

【通勤GD・今日のことば】飛ぶとか飛ばないとか、道具に思い込みを持つと、自分がこじれる

月刊GDより

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