「ショートパットはラインを消して真っすぐ強く打つ」というのはパッティングの基本だが、経験を重ねてくると、それができなくなってくるのだという。シニアツアーの選手たちはみな多少なりともイップス傾向が出始め、名手と言われた芹澤プロでさえその例にもれず、「打てない」ことに悩んでいるという。

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芹澤信雄プロ
1959年生まれ。ジャンボ尾崎に「世界一パーパットが上手い」と評されたパットの名手。1987~2000年にツアー5勝。その後シニア1勝。飛距離優先時代をショットの質で生き抜く。チーム芹澤ゴルフアカデミー主宰。

シニアの世代はみんなパッティングに悩んでいる

みなさんシニアツアーを見に行ったことがありますか? シニアツアーって長尺、中尺パターの使用者がすごく多いんです。というのも、長年トーナメントで戦い続けていると、みんな多かれ少なかれイップスの兆候が出始めるからなんです。

シビアな場面で重ねてきたミスの記憶が積み重なって、だんだん手が動かなくなってくる。そして、人によっては、何かのきっかけで重症のイップスを発症します。

そんなとき、クラブ全体が重くて、振り子のようにストロークできる中尺、長尺のパターは、イップスの症状が緩和できるんです。イップスというのは不思議なもので、他人から見ていると冗談みたいですが、本当に始動できなくなって、アドレスの状態で何分も固まってしまったりするんです。

なんとか始動してみたものの距離感が全く出せずに1メートルのパットを3メートルも4メートルも打ってしまうようなこともあります。こうなったら、ツアープロとしては致命的です。

そうなる前には兆候があって、ボールをしっかり打てなくなってくる。1メートル未満のショートパットなんかは、プロはラインを消してガツンと強く打って決めるものですが、そういう打ち方ができなくなってしまうんです。

シニアのパッティング見ると、みんな距離を合わせるような弱弱しい打ち方ばかりで、見ているほうがどきどきしてきちゃいますよ(笑)。

「しっかり打つ」ことがパッティングの真髄

パッティングは強く打ってなんぼ、というのは僕がシニアで初勝利を挙げた2010年の富士フイルムシニアの時に改めて実感しました。あの時はショットのキレが抜群で、調子は最高によかったんですが、出だしのホールで4パットしてしまったんです。7メートルのファーストパットを2メートルオーバーして、その返しを1メートルオーバー。

さらにその1メートルを外す始末。こりゃ参ったなと思いましたが、逆にこれで開き直れたんですね。「よし、今週は絶対ショートだけはしないぞ!」って決めたらもう「打つと入る」状態。

そのときのグリーンコンディションがよかったのもありますが、しっかり打つとラインが消えるので直線的にガンガン打てたんです。本当に「しっかり打つ」って大事なんだなと改めて思いました。でも、それがわかっていても打てなくなってしまうから困っているんですけどね。

「しっかり打つ」には自分に合ったパターを使うことも大事です。どんなパターが自分に合っているかを見つけるのは難しいのですが、気持ちよく構えて気持ちよく打てることが一番だと思います。自然体で構えた時にピタリと収まるパターは入ります。

僕はスコッティ・キャメロンのピン型を使っています。古いアンサーとは違ってエッジがシャープですが、作りが丁寧でスクェアに構えやすいんです。打感もソリッドで、距離感も出しやすい。

でもこのソリッドな打感は諸刃の剣で、打てなくなってくるとあの金属的な打球音が、強く打ちすぎた感じがしてビビってしまうんです。僕も時々ドキッとすることがあるんですが、頑張って使い続けています。「パット名手・芹澤」ってイメージもありますからね。ラクなほうに逃げてばかりじゃなく、こういうやせ我慢も大事かななんて思っています。

【通勤GD・今日のポイント】自分なりに自然な構えを見つけよう

【ポイント①】パターなりに構える
自然に構えた時に、長さやライ角があっているパターを選ぶ。逆に、パターを自然にセットした状態に合わせて構えた時に違和感があるものは避けよう。

画像1: 「しっかり打つ」ことがパッティングの真髄
画像2: 「しっかり打つ」ことがパッティングの真髄

【ポイント②】適正ロフトで芯で打つ
芯で打つためにはロフトも大事。理想はわずかにロフトが付いた状態で打つことなので、ハンドファーストに構える人はロフト多めにするなどの配慮が必要だ。

画像3: 「しっかり打つ」ことがパッティングの真髄

月刊GDより

画像4: 「しっかり打つ」ことがパッティングの真髄

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