いま世界のスポーツコーチング界の間で最も注目されている「バイオメカニクス(生体力学)」。これをゴルフのスウィングに応用した先駆者であり、第一人者がテキサス女子大学のクォン教授だ。彼の提唱する「反力打法」の本質に、スウィング研究家の吉田洋一郎プロが迫っていく。

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【語り手/クォン教授】
ヤン・フー・クォン。テキサス女子大学教授。専門はバイオメカニクス。生体力学的に理に適ったスウィングを研究。教え子にタイガーの元コーチ、クリス・コモらがいる
【聞き手/吉田洋一郎プロ】
よしだ・ひろいちろう。D・レッドベターをはじめ、世界の名だたるコーチのもとを訪れ、最新理論を直接吸収。日々探究・研鑽に余念がないゴルフスウィング研究家

【バイオメカニクス】
バイオメカニクス(生体力学)とは、生物(Bio)の力学(mechanics)について研究する学問。現在、医療やスポーツの分野への応用が進んでいる。ゴルフのスウィングに関しても、アメリカを中心に早くからバイオメカニクスに基づいた分析が行われ、今では名だたるコーチの大半がクォン教授の理論を学んでいるという

50代半ばのクォン教授が310ヤード!

吉田 はじめて一緒にラウンドしたとき、衝撃を受けました。

クォン 2016年の7月だったね。学会で日本に来たとき、どうしてもゴルフがしたくなったんだよ。

吉田  460Yの長いパー4で、先生のティショットは僕より30Yも前。310Yは飛んでました。さらに驚いたのは、残り150YをAWで打っていたこと──。

画像: 吉田プロより30ヤード先に飛んだクォン教授(当時のシーンを再現)

吉田プロより30ヤード先に飛んだクォン教授(当時のシーンを再現)

クォン プロコーチの人とラウンドすることは多いんだが、みんな必ず同じような反応をするよ。

吉田  だって、50代半ばで、身長は170 センチ程度。トレーニングが嫌いで、筋力が特別あるわけでもない。正直、スウィングも美しいとはいえません。そんな先生に30Yも置いていかれるなんて……。

クォン それは私が「生体力学的の理に適ったスウィング」をしているからなんだ。

吉田  生体力学的に……?

クォン 私の専門である「バイオメカニクス(生体力学)」の重要なテーマは、①有効性(出力の最大化)、②効率性(力の効率的な使用)、③安全性(ケガの防止)の3つ。なかでも私の理論で重視しているのが、②の効率性。

体の外側を使う“反力打法”

吉田  具体的にはどのようなことですか?

クォン たとえば、同じヘッドスピード45の人でも、目いっぱい力んで振っている人と、ラクに振っている人とでは、後者のほうが圧倒的に効率の良いスウィングができているといえる。たとえ見た目にきれいでなくても、力学的に理に適った方法であれば、それは良いスウィングというわけだ。

吉田  筋力も見た目の美しさも、必ずしも必要ではないということですね。

クォン もちろん、筋力アップはひとつの方法ではある。でも、みなさん忙しい。ジムで長い時間をかけて筋トレに励むよりは、スウィングの「動きのパターン」を見直したほうが、はるかに効率良く飛距離をアップできる。そのカギが、私の提唱する「反力打法」。つまり体の内側の筋力ではなく、体の外側の力を使ってやることなんだ。

画像: 体の外側の力を使って飛ばすのが「反力打法」のメインテーマ

体の外側の力を使って飛ばすのが「反力打法」のメインテーマ

吉田  外側の力??

クォン いま踏みしめている「地面の力」さ。これを最大限に活用することができれば、誰でも飛ばし屋になれるよ。

吉田  俄然興味が湧いてきました。次回から詳しく教えてください!

ILLUST/Kazuhisa Uragami

週刊GDより

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