グリーンを狙ったセカンドが惜しくもバンカーにつかまった! そんなときに限って、ややこしいライに止まるのは、ゴルフの”あるある“だ。次のラウンドで起こるかもしれないガードバンカーの大ピンチ、芹澤大介プロが脱出法を教えます。
画像: 【解説】芹澤大介プロ せりざわだいすけ。1964年生まれ。東京都出身。現在はシニアツアーで活躍中。ショートゲームの上手さと甘いマスクはいまも健在。成田ヒルズCC所属

【解説】芹澤大介プロ せりざわだいすけ。1964年生まれ。東京都出身。現在はシニアツアーで活躍中。ショートゲームの上手さと甘いマスクはいまも健在。成田ヒルズCC所属

傾斜に沿って真っすぐ振るだけ

── グリーン周りのバンカーは、アマチュアにとっては悩みの種なのに、そのうえ難しい状況となると、もう大変です。

芹澤 そうですね。だからこそ、いちばん簡単な打ち方を選択するのが、脱出への近道なんです。

── まずは左足下がりです。球を上げにくくて、油断すると手前をダフっちゃいそうです。

芹澤 バンカーでは、左足上がりはアゴに近いですが、左足下がりはアゴから遠いことが多いですよね。つまり、アゴがものすごく高いケースを除けば、球を高く上げなくてもいいんです。

── なるほど。無理にすくい上げようとして失敗しそうですが、その必要はないんですね。

芹澤 そうです。それと、バンカーショットは、フェースを大きく開いて、スタンスをオープンにしてというセオリーもありますが、実はフェースもスタンスも振りやすい程度、少し開けば十分なんです。腕と体の動きを同調させて、体のターンで振ることができれば、ピン方向に真っすぐ振るほうがやさしく確実に脱出できますよ。

CASE1 左足下がりのバンカーショット

【ポイント①】 砂を取る大きさは大入り袋くらい

芹澤 砂を取る面積でいうと、10センチ×20センチくらい。封筒や大入袋、お札などの大きさです。どこにヘッドを入れるかではなく、この範囲の砂を薄く削り取るイメージで振ります。

画像1: CASE1 左足下がりのバンカーショット

【ポイント②】 厚さ2センチで砂を削り取る

芹澤 傾斜に沿って、厚さ2センチを目標に砂を削り取っていきます。インパクトは点ではなく、線です。腕と体を同調させてスウィングすれば、線のイメージで振ることができます。

【ポイント③】 下半身は傾斜なり上半身は真っすぐ

芹澤 アドレスで大切なのは、いかに傾斜に沿って立つか。下半身は左足体重ですが、上半身は真っすぐ鉛直にします。これで傾斜なりに立ちながら、球も低くなりすぎない構えができあがります。

画像2: CASE1 左足下がりのバンカーショット

【ポイント④】 傾斜に沿って上から下に振る

芹澤 傾斜に沿って構えても、平らなライに較べて、“ダフリトップ”になりやすいので、ヘッドの動きは上から下です。振る方向は、ピンに向かって真っすぐ。体の回転を使って、フォローでヘッドを低く出すことを忘れずに。

左足下がりショット

CASE2 バンカーの縁に近くスタンスを取りにくい

── 次は、バンカーの中にスタンスが取れないケースです。最後のひと転がりで“バン入”するとなっちゃいますね。

芹澤 この状況では、ヘッド軌道の確保が大切です。足がジャマになるなら、足を後ろに引いて構えますが、スタンスの向きとは関係なく、上半身はスクェアにするんです。腰を戻すように回すこの動きを、僕は“アクティブサス”と呼んでいます。上と下をつなぐサスペンションです。下半身がどの方向に向いても、上半身はスクェアで、スクェアに振る。これが、難しいライから上手く打つコツなんです。

【ポイント】 上半身をスクェアに構える

芹澤 スタンスがバンカーの外に出るライは、傾斜がきつく、スウィングのとき左足や右足がジャマになることがあります。そのため、スタンスをオープンやクローズにしますが、上体はスクェアにして真っすぐ振ります。

画像1: CASE2 バンカーの縁に近くスタンスを取りにくい
画像2: CASE2 バンカーの縁に近くスタンスを取りにくい

CASE3 足が外のバンカーショット

【両足とも外①】超ワイドスタンスで腰を落とす

芹澤 ボールが低い位置にあるため、超ワイドスタンスにして、さらに腰を落とします。腰を曲げるのではなく、ひざを曲げて重心を下げます。

画像: 【両足とも外①】超ワイドスタンスで腰を落とす

【両足とも外②】重い物を振るつもりでスウィング

芹澤 手先を使わず、体の回転でスウィングします。ちょうど重たいボールを、体を使って投げるようなイメージがピッタリです。

画像: 【両足とも外②】重い物を振るつもりでスウィング

【両足とも外③】フィニッシュまで両ひざを伸ばさない

芹澤 腰を低く落としたままスウィング。そのためトップもフィニッシュも小さくてOKです。フィニッシュまでひざの高さをキープします。

画像: 【両足とも外③】フィニッシュまで両ひざを伸ばさない

CASE4 左足が外の場合

【左足が外①】右足に乗って上体だけ少し傾ける

芹澤 右足にしっかり体重をかけ、バランスよく立ちます。傾斜に沿って振りやすいように、上体だけ少し右に傾け、逆“くの字”に構えます。

画像: 【左足が外①】右足に乗って上体だけ少し傾ける

【左足が外②】左足を引いてオープンにする

芹澤 フォローで左ひざがジャマにならないように、左足を後ろに大きく引いておきます。ただし、上体はスクェアにして、振る方向に向けます。

画像: 【左足が外②】左足を引いてオープンにする

【左足が外③】インパクト以降、左ひじを抜く

芹澤 上体を右に傾けたまま、傾斜に沿って振ります。インパクト以降、ヘッドがアゴに当たらないように、ひじを抜き、ヘッドを持ち上げます。

画像: 【左足が外③】インパクト以降、左ひじを抜く

CASE5 右足が外の場合

【右足が外①】左足にしっかり乗って構える

芹澤 大切なのは、バックスウィングの確保ですので、土手がジャマにならないように、左足にしっかり体重をかけ、傾斜に沿って構えます。

画像: 【右足が外①】左足にしっかり乗って構える

【右足が外②】右足を引いてクローズにする

芹澤 バックスウィングで右足がジャマになるようなら、後ろに大きく引いておきます。このときも上体はスクェアに向けるのがポイント。

画像: 【右足が外②】右足を引いてクローズにする

【右足が外③】親指方向にコックして上げる

芹澤 バックスウィングで、ヘッドが土手に当たらないように、親指側にコックして上げます。打つ前に、素振りでヘッド軌道を必ず確認します。

画像1: 【右足が外③】親指方向にコックして上げる

芹沢プロバンカーレッスン後編に続く

画像2: 【右足が外③】親指方向にコックして上げる

PHOTO/Yasuo Masuda

週刊GD2019年6月18日号より

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