引っかけの原因を、パターセンサー「CAPTO」で解明!
ショートパットは「打ち出す方向だけを考えればOK」と言われているが、言うは易し、行うのは難し。「これを入れれば……」という重要な局面となればなおさらだ。そんなときに限って出るのが「引っかけ」のミス。心理面のプレッシャーはパットの動作にどう表れるのか? 今回はツアーで活躍中のトッププロも活用するというパット解析システム「CAPTO」を使い、橋本真和プロに「カップイン」と「引っかけ」を比較しながら、解説してもらった。
パッティング解析システム「CAPTO」
パット動作を3次元でとらえる解析システム。専用のセンサーをシャフトに装着し、PCやiPadなどのアプリと連動して使用。合計16項目の解析データが1打ごとに表示される
実験方法
1メートル50センチのストレートラインで「カップインした球」と「カップの左に外れた球」を計測
まずは、今回計測したデータを確認してみよう。「引っかけ」は、「カップイン」に比べ、インパクトでフェースがクローズになっていて、軌道もアウトサイドインの度合いが大きい。
さらにインパクトでのシャフト角度やヘッドの入射角、インパクトロフトなどのデータでは、引っかけたときは明らかにダウンブローの度合いが大きくなっていた。
「これらのデータからわかるのは引っかけたときは、体が前のめりになっているということです。『入れたい』という気持ちにより、上体がカップ側に突っ込んでいる。だからダウンブローも強くなり、アウトサイドイン軌道でフェースが左を向く、ということです」
さらに「引っかけ」は、パットプレーンも影響すると指摘する。パットプレーンがアップライトに近いほど、ヘッドがストレートに動くエリアが長くなり、引っかけるミスも出にくくなる。
「前傾姿勢が深く、パットプレーンが寝るほど、ヘッドがアーク軌道を描きやすくなり『引っかけ』の確率も高まります。ヘッドがストレートに動くゾーンが短く、フェースもかぶりやすくなります」
今回計測したデータは「入れたい」という気持ちが強すぎると、手や体の余計な動きにつながるということを示しているようだ。
「ショートパットはとくに、カップも視界に入るので、利き目が右目の人は、ルックアップもしやすい。ストローク中、右肩をかぶせたり、フェースを閉じようとしたりと、パッティング動作にも影響してくるわけです」
ひっかけ撲滅レッスン
下半身の余計な動きを抑え、肩でストローク
勝負どころで引っかけないためには、どうすればいいのか。データをベースに、橋本プロにアドバイスをもらった。
上体が突っ込まないためには、まずは下半身の固定が重要なポイントと指摘する。「両足でボールを挟んで、足の動きを固定してパッティングをしたり、アライメントスティックなど の棒を体の正面側のベルト穴に通してパッティング練習をすると効果的です。
「とくに棒を使ったドリルは、体の“動き”の最終的なセルフチェックにもなります。ショートパットでは棒がおへそを中心に“上下”にわずかに動く程度が理想です」
下半身を固定することによってパット時に起きる腰やお尻の回旋動作を矯正することができ、これが上半身の突っ込みを抑えるうえで大きな効果があるという。
「ヘッド軌道は“ストレート”が理想です。上体が突っ込んで、引っかける人の多くは、ヘッドをストローク始動時に“イン”に引きすぎる傾向があります。アライメント棒を目標へスクェアにセットして、パターのシャフトがその棒を“擦る”ように動かしましょう。この動きを身につけるとヘッドの軌道がストレートになります。肩だけで、始動からフォローまでを動かす意識が大事です」
肩でストロークすることで自然と前傾姿勢が浅くなる。ヘッドの軌道がストレートに近づいてくることで、インパクトでの“かぶり”もなくなるというわけだ。
体の突っ込みによって起きる“引っかけ”も、このドリルを繰り返せば克服することができそうだ。あわせて今回のデータを頭に入れておけば、次回のラウンドは「勝負弱さ」を返上できる。
週刊GD2019年7月2日号より