L字の形にロマンが詰まる
L字パターの収集家でコレクター界では"パターマン"として有名な岩尾廣昭さん。集め始めたきっかけは「知人とゴルフに行ったときに『もっと入るパターを買うわ』と言ったのが始まり。そこからジャンボや二クラスへの憧れと、見た目のカッコよさに魅かれました」
L字の魅力を聞くと「L字とひと口にいっても形状が微妙に異なり、ネックやヘッドの形状からその時代に流行ったパターができあがった歴史を感じることができるんです。それが楽しくて集めるのがやめられないんです」と熱く語ってくれた。
L字を集めて35年。その数200本
マグレガー
トミーアーマーIMシリーズ
グースネックの「IMG」、ストレートネックの「IM」、スワンネックの「IMGN」。長さも35インチの「5」、34インチの「L」、36インチの「6」と兄弟モデルが多い。ちなみに「L」はレディスモデルの頭文字
ウイルソン
デザイン・ド・バイ・アーノルド・パーマー 88シリーズ
クリーブランドやその他のメーカーからも「デザイン・ド・バイ」は発売されていますが、やはりオリジナルのウイルソンが一番。その流れを汲む88シリーズもカッコいい。
ジョージ・ロー
ウィザード シリーズ
ゴルフを始めたのが二クラスの全盛期なのでジョージ・ローは本当に憧れ。ブリストル社製は手に入ったのですが、やはりスポーツマン社のオリジナルが欲しいですね。
「ザ・L字」といえば、この3本
とっておきのお宝①
重要文化財クラスの貴重品⁉
京都CC記念パター
戦前にあった京都CC山科ゴルフ場のクラブチャンピオンか、大会の優勝者に贈られたパター。おそらくスターリングシルバー製だと思います。その当時の国産L字パターで残っているのはこれ1本じゃないかな。
とっておきのお宝②
かつては「10」の刻印がパターだった
マグレガー ベン・ホーガン
L字はアイアンに似ているといいますが、これはまさにその成り立ちが分かる1本だと思います。調べてみるとパターが10番でウェッジが11番という時代があったんです。
とっておきのお宝③
ボビー・ジョーンズのグランドスラムを支えた
スポルディング カラミティ・ジェーン
いわずと知れたボビー・ジョーンズのパター「カラミティ・ジェーン」。もちろん複製なのですが、ヘッドが薄く、まさにL字。こちらの兄弟(親子?)モデル「ライナーライト」はソール部に肉が付き、少し現代的です。
ほぼ100年前のパターも所有
A.G.スポルディング&ブロス
HBパター
HBは「HOLLOW BACK(後ろが窪んだ)」の略。この大きなえぐれがIMの原型といわれる由縁です。
今回はゴルフ史に残る名器を紹介して頂きました。次回はいよいよ現代の技術を搭載した最新L字パターを紹介します。第3話につづく
週刊GD2019年7月23日号より