この秋、アコーディア・ゴルフ習志野CCを舞台にPGAツアートーナメント「ZOZOチャンピオンシップ」(国内ツアーとの共催)が初開催される。タイガー・ウッズが参戦表明し、注目必至の大会だが、さかのぼること約1年半前、PGAツアー副社長(ヴァイスプレジデント)のタイ・ヴォータウ氏が語っていた未来予想図が現実になろうとしている。いま改めて、ヴォータウ氏との2018年初頭に行ったインタビューを振り返る。
画像: 【インタビュー再録】日本でPGAツアー初開催。1年半前、PGAツアーの副社長は何を考え、語ったのか。(2018年2月 タイ・ヴォータゥ氏)

タイ・ヴォータウ(Ty Votaw)
PGAツアー取締役副社長(グローバル ビジネス アフェアーズ担当)
1962年オハイオ州生まれ。1999年~2005年には米LPGAツアーのコミッショナーを務める。2006年からはPGAツアーの要職を歴任すると同時にIGF(国際ゴルフ連盟)の副会長も務め、ゴルフのオリンピック復帰にも尽力した

共同開催は2019年からスタートしたい

── まずはJGTOとの提携の経緯と目的を教えてください。

タイ・ヴォータウ氏(以下タイ) 我々PGAツアーは、これまでもアジアやオーストラリア、南アフリカなど、世界各国のツアーと協力関係を築いてきました。JGTOとの提携もその一環で、ツアーの強化を目指すものであり、世界中のゴルフツアーを盛り上げることが目的です。世界のツアーが盛り上がることが、PGAツアーの強化につながると考えています。

── 今回の提携にはいくつかの項目がありますが、日本のゴルフファンの関心が高いのは、やはり「共同開催です」。

タイ 日本で共同開催する大会については、現在JGTOと協議中です。共同開催を実現するためにはスポンサーを見つけなければなりませんし、日程を調整することも必要です。しかし、我々はできれば2019年には共同開催の大会をスタートしたいと考えています。

── 現在PGAツアーでは秋にアジアで3試合開催していますが、そのアジアシリーズに組み込まれるのでしょうか?

タイ 日本での大会を含めて、アジアシリーズを4週間にできれば理想的だと思います。

── 秋には日本ツアーにも大きな大会がありますが、共同開催は新規の大会なのでしょうか? それとも既存の大会を格上げする予定ですか?

タイ この件についてはJGTO、そしてスポンサーとも相談する必要がありますが、我々は共同開催によって日本のツアーに新たなエネルギーと熱狂を創造できると信じています。基本的には新規の大会を考えていますが、いずれにしてもJGTOのためになることが重要ですので、JGTOから要望があれば既存の大会も検討します。

画像: 共同開催は2019年からスタートしたい

── 昨年(2017年)はPGAツアー・チャンピオンズ(シニア)の大会ですが「JAL選手権」が日本で初開催されました。

タイ シニアの大会を開催できたことは大変うれしく思っています。選手たちも試合を楽しんでくれたようです。チャンピオンズでも次のステップを検討しているところです。

── PGAツアーでは中国、カナダ、ラテンアメリカでもツアーを開催していますね。

タイ そうです。これらのツアーからウェブドットコムツアー(PGAツアーの下部ツアー)へのパイプラインができたことは大きな意義があると思います。実際、今季のPGAツアーではPGAツアー・チャイナの卒業生が2人もツアーカードを手にしています。これは素晴らしい成果です。

── 今季(インタビューした2018年初頭)のツアーカードを持っているのは日本では松山英樹だけです。

タイ ええ、でも彼はトップクラスです(笑)

QTを下部ツアーに移行したのは大成功。日本でも大きな成果が得られるはず

── 日本の男子ツアーでは、人気選手の松山英樹や石川遼が海外を主戦場としていたこともあり、視聴率やギャラリー数の減少など、人気が低迷しています。

タイ プレーヤーはいつの時代も世界の強豪たちが集まる舞台で戦いたいと思うものです。PGAツアーには世界中から強豪が集まっていますから、松山選手や石川選手が戦いたくなるのは自然なことです。しかし、日本の選手がPGAツアーで活躍すれば、より素晴らしい選手として日本でプレーすることになり、ツアーへの関心やゴルフへの興味も高まりますので、JGTOにとってもいいことだと思います。

── 欧州ツアーでもコミッショナーが変わってから、6ホールの大会や選手の登場曲を流すなど、若者を取り込むための新たな試みに積極的に取り組んでいますね。

タイ 素晴らしいことだと思いますし、PGAツアーの選手たちもそう思っているようです。欧州ツアーの取り組みは、ゴルフを若い世代にアピールすることに成功していると思います。我々もそうししたことはとても大切だと思っており、そのひとつの例がフェニックスオープンの16番ホールです。

── QT(予選会)をPGAツアーから下部ツアーへ以降したのはどんな理由からですか?

タイ 新規のシステムではPGAツアーでプレーするための準備として、下部ツアーで1年間プレーして結果を出すことが求められます。その経験は選手たちがPGAツアーで戦う上でも重要ですし、PGAツアーで戦う資質を判断する上でも1年間のプレーのほうがQTの1週間の結果よりもいいのは明らかです。JGTOでも同様のシステムで大きな成果が得られると思います。

── PGAツアーでは試合数も増え、賞金額も年々増加していますが、この成功の秘密はどんなところにあるのでしょうか。

タイ PGAツアーのブランド力を高めたことだと思います。そのブランド力は選手たちのクオリティによるものです。PGAツアーではアメリカの選手に加え、24か国から89名の選手がプレーしています。そして我々はツアーをよりよいものにするための改善を継続的に行ってきました。決して現状に留まることなく、常に新たな試みやシステムを考え、導入してきました。これが一番大きな成功の要因であり、PGAツアーのフィロソフィでもあります。(終了)

この時のインタビューで、ブランド力を高めることがツアー繁栄の礎になり、ブランド力を高めるには選手たちと試合のクオリティに尽きると語ったタイ・ヴォータゥ氏。そして、1年半後有言実行のままに、千葉の習志野CCで、世界一のクオリティをもつ選手たちの大会が開かれる。期間は10月24〜27日の4日間だ。

ZOZOチャンピオンシップ
会場:アコーディア・ゴルフ習志野カントリークラブ
日程:2019年10月24(木)~27日(日)
賞金総額:975万ドル(約11億円) 優勝賞金:175万ドル(約2億円)

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