「ゴルフの基本は回転運動。だから軸を意識したほうがいい」と湯原。アマチュアのスウィングを見ると「回転を妨げる不要な動きや誤解がまだまだある」とも言う。ミスターベーシックこと湯原はインパクトの誤解とテークバックを上げる速さに着目し、基本を説く。今週の通勤GDは「迷ったとき、ユハラに帰れ」、その第10話。

前回第9話のお話

【通勤GD】
通勤GDとは‟通勤ゴルフダイジェスト”の略。世のサラリーマンゴルファーをシングルに導くために、月曜日から金曜日(土曜日)までの夕方に配信する上達企画。帰りの電車内で、もしくは翌朝の通勤中、スコアアップのヒントを見つけてください。

【湯原信光プロ】
ツアー7勝、シニアツアー1勝の日本を代表するショットメーカー。とくにアイアンショットの切れ味は、右に出るものはないと言われた。現在は東京国際大学ゴルフ部の監督も務め、後進の指導にも力を注いでいる。

GD アマチュアのスウィングを見ていて、体を揺する以外に何か、回転の妨げになっている要素はありますか?

湯原 誤解をしているなと思うのは、インパクトポイントですね。

GD インパクトポイントとは?

湯原 インパクトポイントとは、フェースとボールがコンタクトするポイントで、一定の長さがあるインパクトエリアよりも点に近いものです。そこの誤解が大きい。多くのアマチュアは体重移動を大きくしようと、テークバックで右へスライドしてしまいます。そうすると、ダウンスウィングからインパクトでは元に戻さなければならないわけです。体重移動の意識そのものは正しいと思いますが、体重を左へ戻す際にインパク卜ポイントを元に戻せていないように見受けられるんです。

GD 体を揺さぶってしまう。体重移動しようとするあまり、スウェイしているのでインパクトポイントがズレるという解釈ですか?

画像: インパクトは右もも前が正解

インパクトは右もも前が正解

湯原 そうです。それからもう一つ。ほとんどの人が左ももの前でボールを打とうとしているんですよ。本来はそこじゃないのに。

GD えっ!  左ももの前じゃダメなんですか?

ステイ ビハインド ザ ボール

湯原 アドレスしてバックスウィングからインパクトするまで、一体はずっと回転しているわけですから、インパクトは右ももの前になるのが自然じゃないですか。

GD なるほど。アマチュアはドライバーのような長いクラブだと、ボール位置は左かかとの線上というのが一応の目安になっています。左へ回転していくせいか、どうも左のほうで打つ意識になってしまうんですね。

湯原 アプローチで悪いライから打つとき、左つま先あたりにボールを置いて、コックを使わないで当てにいくことがあります。これは、なるべくボールを飛ばした< ないから、わざと力を集めないようにしているのです。インパクトポイントを左ももの前にするのもそれと同じで、力を集められない体勢です。

画像: 頭を後方でキープし体を正しく回転させる

頭を後方でキープし体を正しく回転させる

GD 多くのアマチュアが、ドライバーなどの長いクラブでも力を集められないインパクトをしているということですか。

湯原 体重移動のイメージを大きくすると、どうしても左ももの前で打とうとするから、体をそちらにずらして、ダウンスウィングからインパクトにかけても揺さぶる動きになります。その結果、体が開いてインパクトしてしまうんです。体の回転は止まり、シャフトはしならず、ヘッドが走らなくなってしまうんです。

GD インパクトポイントは右ももの前だと考えると、下半身が先行するせいか、確かにダウンスウィングで上体が開きにくくなる感じがしますね。

湯原 スウィング軸をぶらさず、体が正しく回転すれば、誰もが右ももの前でインパクトを迎えられるはずなんです。スウィングの大原則に「ステイ・ビハインド・ザ・ボール」というのがありますよね。ボールに対して頭は絶対に後方でキープするというものですが、右ももの前でインパクトすれば自然とそういう形になって、ヘッドがビューンと走るんです。

「上げる」と「下ろす」は同じ軌道ではない

GD 右もも前でインパクトポイントを迎えるためには、どこに注意を払えばいいのでしょう?

湯原 軸に対して体を正しく回転させれば、その位置に手もヘッドも持っていきやすくなります。ところが、左へ左へいこうとすると、ダウンスウィングの軌道がズレてしまつて、ヘッドは下りてこないし、スピードも上がらなくなってしまうんです。これでは、プロのダウンスウィングのような、左腕とシャフトによるアングル(いわゆるタメの形)は生まれませんよ。

GD 右もも前インパクトはダウンスウィングでのタメを作るのにも有効なんですね。

湯原 ええ。前も言いましたけど、クラブヘッドというものは、バックスウィングよりもダウンスウィングでは体に近い軌道を通って下りてきます。つまり、短い距離で下りてくるのです。だから加速してヘッドが走るんです。

画像: クラブは体よりも遠くを通って上がる

クラブは体よりも遠くを通って上がる

画像: ダウンスウィングではクラブヘッドは体の近くを通るのが正解

ダウンスウィングではクラブヘッドは体の近くを通るのが正解

GD 左ももの前がインパクトポイントだと思うと、ヘッドが遠回りしてしまうんですね。それはやはり、体重移動は大きくなければ駄目だと考えるからでしょうか。

湯原 体重移動のイメージを大きく持つと、どうしても左ヘズレる傾向になるし、インパクトポイントも左寄りになります。体を揺らさないと当たらなくなってしまう。要するに、飛ばない形になってしまうんです。

GD やっぱり、体重移動より体の回転が最優先なのですね。

湯原 人間の体がやることですから、左へ振ろうとすれば、体は多少左ヘスライドします。でも、そのスライドもほんのわずかなものなんです。むしろ体重移動はそれぐらいで十分でしょう。それよりも前回も言ったように、体のなかにコア(湯原の場合は丹田の辺り)を意識して、そこを中心にブーンと回ることが大切です。

GD アドレスするときも、バックスウィングを開始するときも、コアの意識と右ももの前でインパク卜する準備をしておいたほうがいいということですね。

湯原 もちろんです。

週刊GD2013年より

This article is a sponsored article by
''.