下半身から上半身へと、体を正しい順序で回していく動きを覚え込ませるのに最適な練習法が、前回紹介した「ロープ素振り」。今回はその応用編を教えてもらった。今週の通勤GDは「Dr.クォンの反力打法」。第24話。

【通勤GD】通勤GDとは‟通勤ゴルフダイジェスト”の略。世のサラリーマンゴルファーをシングルに導くために、月曜日から金曜日(土曜日)までの夕方に配信する上達企画。ワンテーマを3回~6回のシリーズでお届け。帰りの電車内で、もしくは翌朝の通勤中、スコアアップのヒントを見つけてください。

【語り手/クォン教授】
ヤン・フー・クォン。テキサス女子大学教授。専門はバイオメカニクス。生体力学的に理に適ったスウィングを研究。教え子にタイガーの元コーチ、クリス・コモらがいる
【聞き手/吉田洋一郎プロ】
よしだ・ひろいちろう。D・レッドベターをはじめ、世界の名だたるコーチのもとを訪れ、最新理論を直接吸収。日々探究・研鑽に余念がないゴルフスウィング研究家

太めのロープを2つに折って素振り。動きの順序が向上

クォン 前回話したロープ素振りは、もちろん普通にブンブン振るだけでも効果があるが、「ステップ」を加えると、より効果が倍増する。

吉田 以前教えてもらったステップ・スウィングを、クラブの代わりにロープを持って行うということですね。

前回のお話し↓

画像: 船の係留などに使うロープ。直径20ミリ程度の太めのものを、2メートルほどの長さに切り、それを半分に折って使う

船の係留などに使うロープ。直径20ミリ程度の太めのものを、2メートルほどの長さに切り、それを半分に折って使う

クォン そう。クラブのようにロープを握ったら、右足を上げ、下ろすのと同時にバックスウィングを開始。そしてバックスウィングの途中で左足を上げ、下ろしたあとにダウンスウィングを開始する。

吉田 左に振ったら、続けて右、と左右交互に連続で振っていくんですよね。

クォン 何度も言うようだが、決してトップからクラブを振り下ろしたあとに左足を着いてはいけない。左足を踏み込むのは、トップに到達する前。プロや上級者でも、足を踏み込むタイミングが遅い人がいるが、それではクラブヘッドを最大限に加速させることができない。

画像: ロープを使って、右足、左足とステップ素振り。連続で!

ロープを使って、右足、左足とステップ素振り。連続で!

吉田 左足を踏み込むタイミングが早いと、トップでロープが体に巻きつく前にダウンが始まってしまうからすぐにわかります。

クォン 足を踏み込むタイミングと、正しい軌道を描けているかを同時にチェックできる、とてもいい練習法なんだ。さらに応用として、「斜め前ステップ・ロープ素振り」がある。

吉田 斜め前ステップ?

クォン 通常はその場で足踏みするだけだが、左足を半足分ぐらい前方(つま先側)に踏み込みながら連続素振りするやり方だ。

素振りしながら前に進む。体の開きが抑えられる

吉田 ちょっとずつ前方に移動していく感じですね。これはどういう効果があるのですか。

クォン これも腕前を問わず見られることだが、体の開きが早すぎる人が少なくない。

吉田 たしかに、体の開きが早いために振り遅れたり、ダウンで右サイドが前に出て軌道がアウトサイドインになるケースは多いです。

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クォン 体の開きというのは、具体的にいうと頭の上から見たときの「骨盤」と「胸郭」の角度。これがダウンの早い段階で左を向きすぎてしまうことを指す。それを防ぐのが、「斜め前ステップ」だ。

吉田 なるほど! 左足を斜め前に踏み込むことで、上体がある程度閉じた状態でダウンを迎えられる。腰を切るタイミングも自然と適正になるんですね。

クォン 体は開いていいのだが、大事なのは開くタイミング。このドリルでぜひつかんでもらいたい。

「斜め前」に踏み込むことで上体の開きが抑えられる

通常のロープ素振りにステップ(足踏み)を加えることで、反力を最大限に生かせる体重移動のタイミングをつかむことができる。さらに応用編として、左足を踏み込むときに、元の位置より少しつま先側に着地させることで、上体の早すぎる開きを抑えることができる。

画像: ロープ素振りに足踏みを加えるドリル。(生徒はセキ・ユウティン選手)

ロープ素振りに足踏みを加えるドリル。(生徒はセキ・ユウティン選手)

ILLUST/Kazuhisa Uragami

週刊GDより

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