大MOIは打点ミスに超強い。反面、返りにくいヘッドをいかに味方につけるか!
芯を外しても。フェースの向きが変わりづらくミスヒットに強い最近のドライバー。まずはクラブの専門家に「上手く使う方法」を聞いてみた。クラブデザイナー・松尾好員さんはこう語る。
「確かに重心距離が長く、重心深度が深いドライバーは、左右MOIが大きくなり、左右の打点ミスに強くなります。とはいえ、そのような重心特性のヘッドはネック軸回りMOIが極大になり、インパクトに向けてのヘッドの返りが遅くなる。スクェアに戻りにくい特性のあるヘッドに対して、プレーヤーがどう対処するかがカギになってくると思います」
ヘッドがブレない、ミスヒットに強い。それが大MOIドライバー
フェースの向きを変えずに、ヘッドを真っすぐ動かす
対処の仕方についてクラブフィッターの鹿又芳典さんは、「だからこそ、ヘッドを直線的に動かすイメージが合うんです。大MOIのヘッドはターンしづらいので、フェースを開閉してヘッドを加速させようとすると、スクェアに当てにくくなります。そうではなく、フェースの向きを変えないようにヘッドをまっすぐ動かすイメージのほうがクラブも出球もコントロールしやすいんです」
人気ドライバーのMOI調査。左右MOIは軒並み4300gcm²オーバー
G410(ピン)
重心が"極長・極深"で、MOIがどちらも"極大"という2019年度の月刊ゴルフダイジェストD-1グランプリ王者。スウィートエリアの広さは折り紙つきだ。
重心距離:45.2mm(非常に長い)
重心深度:45.4mm(非常に深い)
ヘッド左右MOI:5416gcm²(非常に大きい)
ネック軸回りMOI:9527gcm²(非常に大きい)
「2019年D-1グランプリ」はこちら↓
M5(テーラーメイド)
重心深度は標準でネック軸回りMOIが大きすぎず、いまどきの"極大MOI"のヘッドに比べればコントロール性がある。
重心距離:42.3mm(非常に長い)
重心深度:37.3mm(標準)
ヘッド左右MOI:4387gcm²(標準)
ネック軸回りMOI:7492gcm²(大きい)
Mグローレ(テーラーメイド)
重心距離が「極長」でネック軸回りMOIも「極大」。フェースの向きもヘッドを真っすぐに出せば、目標へ飛んでいく。
重心距離:43.5mm(非常に長い)
重心深度:41.0mm(深い)
ヘッド左右MOI:4557gcm²(大きい)
ネック軸回りMOI:8273gcm²(非常に大きい)
TS1(タイトリスト)
ヘッドを軽めにして振り抜きやすくしながら、MOIを大きくして当たり負けを抑えたことが、このモデルのすごいところ。
重心距離:37.8mm(標準)
重心深度:41.1mm(深い)
ヘッド左右MOI:4898gcm²(大きい)
ネック軸回りMOI:7480gcm²(大きい)
エピックFLASHスター(キャロウェイ)
重心位置が「遠く・深い」という、いまではオーソドックスといえる大MOIヘッド。「AIフェース」と「2本の柱」で鬼に金棒。
重心距離:40.9mm(長い)
重心深度:39.1mm(深い)
ヘッド左右MOI:4623gcm²(大きい)
ネック軸回りMOI:7459gcm²(大きい)
RS F(プロギア)
重心距離が長く、ネック軸回りMOIが大きくてフェースが返りすぎないフェードのF。しかもミスヒットの許容性がある。
重心距離:40.9mm(長い)
重心深度:37.6mm(標準)
ヘッド左右MOI:4667gcm²(大きい)
ネック軸回りMOI:7429gcm²(大きい)
スリクソン Z585(ダンロップ)
打点のバラつきをカバーしてくれるカーボンコンポジットによる大型&大MOIヘッド。コンスタントにハイドローで飛ばせる。
重心距離:41.6mm(長い)
重心深度:39.3mm(深い)
ヘッド左右MOI:4608gcm²(大きい)
ネック軸回りMOI:7627gcm²(大きい)
TW747 460(本間ゴルフ)
大型(460cc)でありながら、重心深度が標準でネック軸回りMOIは小さめ。見た目のわりにコントロールしやすい。
重心距離:39.6mm(長い)
重心深度:37.4mm(標準)
ヘッド左右MOI:4363gcm²(標準)
ネック軸回りMOI:6841gcm²(やや小さい)
次回の第2回は、増田哲仁プロが教える、いまどきのドライバーで一番飛ばせる「振り上手」なスウィングの仕方です。
月刊GD2019年10月号より
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