前回に続き、2008年、09年の世界ドラコン覇者ジェイミー・サドロウスキーのスウィングをクォン教授が分析。世界一効率的といわれる飛ばしの秘密が明らかになる。今週の通勤GDは「Dr.クォンの反力打法」第30話。

【通勤GD】通勤GDとは‟通勤ゴルフダイジェスト”の略。世のサラリーマンゴルファーをシングルに導くために、月曜日から金曜日(土曜日)までの夕方に配信する上達企画。ワンテーマを3回~6回のシリーズでお届け。帰りの電車内で、もしくは翌朝の通勤中、スコアアップのヒントを見つけてください。

【語り手/クォン教授】
ヤン・フー・クォン。テキサス女子大学教授。専門はバイオメカニクス。生体力学的に理に適ったスウィングを研究。教え子にタイガーの元コーチ、クリス・コモらがいる
【聞き手/吉田洋一郎プロ】
よしだ・ひろいちろう。D・レッドベターをはじめ、世界の名だたるコーチのもとを訪れ、最新理論を直接吸収。日々探究・研鑽に余念がないゴルフスウィング研究家

吉田 ジェイミー・サドロウスキーの飛ばしの秘密は、①地面反力が生み出す驚異的なトルク(回転力)と、②ダウンスウィングのリリースのタイミングということでした。今回は②のリリースについて伺います。

クォン 彼が素晴らしいのは、ダウンスウィングの初期段階で、クラブが常に体の近くを通っていること。下の図を見てもわかるように、トップでヘッドが腰の高さまで落ちるほどのオーバースウィングだが、ダウンでクラブが体から離れていない。

吉田 オーバースウィングの人はキャスティング(ダウンの早い段階で手首がリリース)しやすいと前々回おっしゃっていましたね。せっかくバックスウィングの反動が使えていても、キャスティングしてしまったらすべてが無駄になってしまいます。

画像: オーバースウィングだけどキャスティングは一切ない 超がつくほどのオーバースウィングから、クラブが体に巻きつくように下りてくる。クラブが遠回りすることなく体の近くを通るから、体がクルッと回りやすい。野球の「内角打ち」のイメージだ

オーバースウィングだけどキャスティングは一切ない
超がつくほどのオーバースウィングから、クラブが体に巻きつくように下りてくる。クラブが遠回りすることなく体の近くを通るから、体がクルッと回りやすい。野球の「内角打ち」のイメージだ

クォン ダウンの初期段階では、クラブヘッドを大きく動かすことよりも、体の回転力をできるだけ早く生じさせることが大事だからね。その意味でも、クラブを体の近くに保つことは有利に働く。野球のバッターも、内角の速いボールをさばくときは、腕をたたんで体の近くを通しているね。

吉田 なるほど。キャスティングしてしまうと、クラブが体から遠ざかる=回転の半径が大きくなるから、体を回そうにもなかなか回ってくれないわけですね。

クォン 少なくともダウンで左腕が地面と平行になるまでは、手首のコックをほどかないようにしたいね。そしてダウンスウィングの後半では、生み出された体の回転力を、クラブに伝えることが主眼になる。その主役が、手首のアンコックだ。

吉田 ここでようやく手の出番ですか。

画像: ぎりぎりまで溜めて一気に解放する

ぎりぎりまで溜めて一気に解放する

クォン クラブが体の近くを通って下りてきて、その後手首のコックが一気にリリースされれば、体の回転力がムダなくクラブへと伝わり、クラブスピードを急激に加速させることができる。

吉田 ギリギリまでタメて、タメて、最後に一気に解放する。たしかにヘッドが走るイメージが湧きます。

クォン 並外れた地面反力が強い回転力を生み、クラブが体の近くを通ることで回転速度を速め、手首のリリースを遅らせることでヘッドを効率的に加速させる。これがジェイミーの驚異的な飛ばしを生んでいるんだ。

これが“ジェイミー”の400Yスウィング

手元が胸の高さに下りている段階(3コマ目)でも、まだ手首のリリースが行われていない。ここから一気にコックを解放し、体の回転力をクラブの運動へと効率よく伝えている。左足を地面に踏み込んでダウンをスタートさせているから、手が遠回りしないのだ、とクォン教授。

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