前回、第18話のお話
【通勤GD】
通勤GDとは‟通勤ゴルフダイジェスト”の略。世のサラリーマンゴルファーをシングルに導くために、月曜日から金曜日(土曜日)までの夕方に配信する上達企画。帰りの電車内で、もしくは翌朝の通勤中、スコアアップのヒントを見つけてください。
【湯原信光プロ】
ツアー7勝、シニアツアー1勝の日本を代表するショットメーカー。とくにアイアンショットの切れ味は、右に出るものはないと言われた。現在は東京国際大学ゴルフ部の監督も務め、後進の指導にも力を注いでいる。
草をスパッと斬るように打つ
GD 前回、バンカーもラフも必要とする技術は同じだとおっしやっていましたよね。だとすると、バンカーが苦手なアマチュアは、バンカーに入ったとしても、ラフから脱出するつもりで打てば、成功する確率が高くなるんじゃないですか?
湯原 その可能性はありますね。ただ、バンカーショットの基本的なことは、しっかり頭に人れておいたほうがいいですよ。
GD 私事ですが、ソールのバウンスが砂に跳ねて、ボールに直接当たるホームランをよくするんです。これってやっぱり基本がわかっていないということでしょうか?
湯原 意図しているところよりも手前にヘッドが下りているから、バウンスが跳ねてしまうのです。ボールの下までスーッとヘッドが入っていかなければ、そうなりますよ。きっと、「ボールの手前にヘッドを叩き込め」と教わっているからそうなるんでしょうね。ただ打ち込むだけだと、砂を押しているだけになってしまいます。
GD 砂を押しているだけですか?
湯原 砂は押すのではなく、切るんです。砂を押すような打ち方では、砂が軟らかいとヘッドは潜ってしまうし、硬ければ跳ねてしまいます。ラフではウェッジで草をスパッと刈るような打ち方をするでしょ。考え方はそれと同じで、SWのソールで砂を押すよりも、砂を切り取るように振れば、ミスはずつと少なくなります。
GD なるほど。やっぱりラフと同じイメージなんですね。
状況に応じて自分の体を合わせる
湯原 それから、アマチュアはフェースの開き方にも問題があると思います。フェースを開くということは、たとえばロフト58度のSWを60度とか62度にして使うということですが、ただ単にフェースを寝かせただけの状態で打つとヒールのほうから入ってしまうので、開いた意図とはまるで違った結果になってしまいます。
湯原 試しに、スクェアにアドレスした状態のままフェースを開いてみてください。フェース面をターゲット方向に向けたままにしておけば、グリップエンドは体の右サイドを指すはずです。
GD フェース面を目標方向に向けた状態にしておこうと思ったら、手の位置がハンドレートになった構えになりますね。
湯原 そのままの形でボールを打つには無理があります。だからグリップエンドが向いている方向に、自分の体を合わせなければならないんです。
GD そうすると必然的にオープンスタンスになりますね。
湯原 打ちたい高さに応じてフェースを開いたら、ボールを中心にして、フェースの向きとシャフトの向きに合わせて体の位置、つまりスタンスが決まるわけです。
GD なるほど。フェースを開いたら、ただ単純にオープンスタンスにするのではなくて、シャフトの傾きに応じたスタンスの開き具合というか、体の位置が必要だということですね。
湯原 それから、フェースを開<とヒール側が浮きやすく、ソールのトウ側から砂に当たりやすくなってしまうため、そのぶんハンドダウンにして、ソールのヒール側を使う意識を持つことも大切です。そういうことがわかっていてス夕ンスをオープンにするのと、ただ教わったままオープンにするのとでは、毎回変化するライヘの応用カがまるで違うはずです。
GD 反対に、フェースを閉じて使う場合も同じですね。
湯原 そうです。フェースを閉じればグリップエンドは体の左サイドに向きます。
GD 今度は、ハンドファーストに構えなければクラブが握れませんね。
湯原 フェースの開き具合に応じてシャフトの傾きが変化するのだから、その傾きに応じた体の位置があるわけです。
GD ボールをどこに置くのかではなく、ボールのライやクラブの機能に対して、自分の体の位置をどうするのかを考えるわけですね。
週刊GD2013年より
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