最近の夏の異常気象ともいえる気候変動でベント一強時代に変化が出ている。コーライ並みに強くベント並みに転がる、最新のバミューダ芝だ。

近年、本州でも採用するコースが急増中

改良が進んだベントと芝管理技術の向上で、夏でもベントグリーンが使えるコースが増えてきたが、
近年は温暖化の影響なのか、夏の日本はもはや亜熱帯と言ってもいい。これまでの夏のベントの管理では通用しなくなってきた。

そこでベントに代わって注目を浴びているのが、これまで沖縄や九州など温暖な地域でしか使われていなかった暖地型の「バミューダ」。強い生命力を持ち、どんなに暑くても、踏まれて痛めつけられ
ても、青々とピンピンしている。

葉はベントより硬いものの短く刈り込めるので、ベントよりも速さが出せると評判だ。ただし、そのぶん、寒さには弱く、コーライより早く冬枯れしてしまう。

だが冬は「ベント」の出番。そこで2グリーンのコースでは「ベント」&「バミューダ」の組み合わせが増えてきて、いまや「バミューダ」を採用しているコースは全国で3割を超えるまでに。

これからは「バミューダ」の時代なのかもしれない。

画像: 越生(おごせ)CC/埼玉県 2019年の夏からバミューダを導入、ベントとの2グリーン

越生(おごせ)CC/埼玉県 2019年の夏からバミューダを導入、ベントとの2グリーン

画像: かつては沖縄などの亜熱帯でしか見られなかった暖地型の「バミューダ」。温暖化の影響だけでなく品種改良が進んだことで再評価され、古賀GCが導入したことでも話題に。採用するコースが続々と増えている

かつては沖縄などの亜熱帯でしか見られなかった暖地型の「バミューダ」。温暖化の影響だけでなく品種改良が進んだことで再評価され、古賀GCが導入したことでも話題に。採用するコースが続々と増えている

画像: 筑波東急GC/茨城県 バミューダとベントの2グリーン

筑波東急GC/茨城県 バミューダとベントの2グリーン

バミューダ芝の「KOSHIGAYAゴルフクラブ」が人気

バミューダってこんな芝

コーライと同じで暑さに強い「暖地型」

かつてベントと比べて茎葉が太い「バミューダ」は、芝目が生じやすく、順目、逆目のボールの転がりの差が大きいと敬遠されたこともあった。

だがグリーン用に開発された最新の「バミューダ」は、暑さに強いという利点は活かしながら、ベントに負けない転がりとスピードを作り出せるようになり採用コースが急増中。

画像: ベントに負けないスムーズな転がりを可能にする最新バミューダ

ベントに負けないスムーズな転がりを可能にする最新バミューダ

【バミューダの種類】
“ハイブリッド・バミューダ”の登場でゴルフ芝の勢力図に異変が起きている
●ティフトン328(ティフグリーン)
極細で柔らかく密度大。生長が早く踏圧からの回復も早い。「ティフトン」とは米ジョージア州の地名
●チャンピオンドワーフ
「ティフドワーフ」から選抜された“ハイブリッド・バミューダ”でベント並みのクオリティを実現。埼玉県の鴻巣CC、武蔵松山CC、清澄GCなど近年導入
●ティフイーグル
バミューダのなかでも葉が細く、ボールの転がりが素直。短く刈り込めるのでスピードが出せる。沖縄県や東南アジアのトーナメントコースではすでにお馴染み。ハワイのカパルアGCもそう

ベストコンディションは一日にしてならず

「箱根CCでは現在12の品種をコース内で育て試験しています」とグリーンキーパーの金澤さん。

画像: 箱根CCグリーンキーパー金澤仁史さん 箱根CCでは肥料やりから池のメンテナンスまで全てコース管理 部で行う。全25人の所属員を束ねる

箱根CCグリーンキーパー金澤仁史さん
箱根CCでは肥料やりから池のメンテナンスまで全てコース管理
部で行う。全25人の所属員を束ねる

「たとえ芝が決まったとしても、肥料、目土の種類、水の量や刈り込む回数、それらを万全に行うための道具選び……。どれが欠けてもベストなコースコンディションにはなりません。グリーンも『速さ』だけではなく、いつ来られても『毎回仕上がっている』と思われるように目を配っています。でも気持ちのいいコースでプレーするには、ゴルファーの皆さんの協力も必要なんです」

夏以外はディボット跡にターフは戻さず目土する
「とれたターフをそのまま元の場所に戻す人も多いと思いますが、これからの季節はなかなか根付かず、そのまま枯れて、逆に日照の妨げとなります。ターフ屑を片づけて、目土をするのが最善策。目土の量は少し多めに盛って、上から軽く踏んでならしてください」

画像1: ベストコンディションは一日にしてならず

ピッチマークは親指の腹で押し戻す
「盛り上がっている土手側からフォークを刺して芝を寄せながら、親指の腹で土手を元の場所へ押し戻してください。最後にパターのソールで整えればOK。凹んだ部分を持ち上げると根が切れるし、せっかく直してもならさないと芝を刈るときにムラになるんです」

画像2: ベストコンディションは一日にしてならず

コース管理にはかなりの手間がかかっています

「グリーンだけでも、朝は見た目をきれいに仕上げるために、夕方は芝を立たせて成長させるために1日2回、2種類の芝刈り機を使い分けて刈っています。芝の管理はとにかく手間と時間がかかるので大切にしてもらえるとうれしいです」(金澤)

画像: コース管理にはかなりの手間がかかっています

「箱根CC」を造った古の名手・赤星四郎

コースメンテナンス最前線:「ターフショー」で見つけた最新コース管理機器

ゴルフ場で一番お金がかかっているのがコース管理費。芝の状態を維持するための人件費、肥料、薬剤、整備機材など、コースによって多少の違いはあるが平均で年間7000万円ともいわれている。1コースの年間売上げ平均約4 億円に対して占める割合がいかに大きいかわかるだろう。

「ゴルフはプレー料金が高い」とよく言われるが、サッカー場や野球場と違い、芝で覆われた面積が広いので、それだけコースを管理する費用や人件費がかかってしまうのだ。

そこで少しでもコース管理を効率よく楽にしようと様々なアイデアが実践に移されている。すべてが実現した暁には、もしかしたらプレーフィがいまよりちょっと安くなるのかもしれない。

GPSで自動運転「無人芝刈機」

バロネス社の無人芝刈機「ULM720」は、芝の刈り高、道筋を一度記憶させればGPSで自走する最新機種。誤差も±5㎝と正確。安全センサー、緊急スイッチもついており安全性能も高い。テスト販売が始まっている。

画像: コースメンテナンス最前線:「ターフショー」で見つけた最新コース管理機器

【ゴルフの芝を研究①】ゴルファーなら知っておきたいゴルフ場の芝生…はこちら↓

まるで芝のルンバ「ロボット芝刈機」

ハスクバーナ社のロボット芝刈機「オートモア」。あらかじめワイヤーで指定された箇所の芝を常に管理。電池が減れば自ら充電器に戻り、再び刈り始める。コースの練習場なら夜の間に仕上げることも可能。

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17種類のアタッチメント多機能「バンカーレーキ」

TORO社の「SAND PRO 5040」はどんな場所でも確実な走行で作業ができる3WD。油圧昇降式のフレックスブレードなど、17種類のアタッチメントが着脱自在。ブラッシングだけでなくバンカーのエッジングもこなす。

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50度の傾斜もへっちゃら「ラジコン草刈機」

ブリッグス&スラットン社のラジコン芝刈り機「アグリア9600」。最大50度の傾斜まで対応し、低重心で安定性が高く、エンジン式で出力も十分。人力では重労働な作業も機械が安全に簡単にやってくれる。

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ドローンで農薬空中散布「液体散布用マルチコプター」

丸山製作所の新型散布用ドローン「M375」は、従来の1.5倍の飛行時間を実現。1回の飛行で2ホール分のフェアウェイをあっという間に飛び回り農薬散布。これで作業は早くなり、コストも削減できるはず。

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軽量&ハイパワー「5連ロータリーモア」

ジョンディア社の「8800AF」はロータリー式モアを5基搭載した芝刈り機。ジョンディア社のお家芸、油圧ポンプが電気制御になりボタンで簡単操作。高馬力の水冷直噴4気筒ディーゼルターボエンジンを搭載。

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「腕利きキーパーインタビュー」。2019日本プロ開催、いぶすきGC

PHOTO/Hiroyuki Okazawa、Yasuo Masuda

週刊GD2019年12月3日号より

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