数多くのクラブを手掛けてきた設計家・松尾好員と試打のスペシャリスト・堀越良和プロが最新クラブを打って測って研究する「ヘッドデータはウソつかない」。今回はタイトリストの「U510ユーティリティアイアン」です。

アイアンとUTのいいとこ取り

打ってみての感想としては、とにかく球がやさしく上がることに驚きました。これまでたくさんのアイアン型UTを試打してきましたが、この高さは群を抜いています。通常ロフトのアイアンで表現すると、#2は5I、#3は6I、#4は7Iぐらいの高さで飛んでいきます。(堀越)

画像: 左から2番(18度)、3番(20度)、4番(22度)

左から2番(18度)、3番(20度)、4番(22度)

初速が速く、低スピンで飛距離性能も高いですが、この弾道の高さなら、グリーンでもボールを止められます。上から打ち込む必要もなく、サラッと振っていくだけで、やさしく球が上がり、飛距離も出てくれます。

厚いソールは抜けが抜群によく、深いラフにボールが沈んでいる状況など、ウッド型UTではミスが出やすい、タイトなライに対する強さもあります。やさしいUTでありながら、アイアンの持つ優位性が、しっかり残されています。

画像: 芝を滑ってくれる幅広ソール。グースネックだがつかまりすぎるイメージはない

芝を滑ってくれる幅広ソール。グースネックだがつかまりすぎるイメージはない

重心距離が長めですが、しっかり球をつかまえられる人なら、HS42m/sぐらいでも使えます。FWやウッド型のUTが苦手な上級者から、ロングゲームで苦労しているアベレージまで、広くおすすめできます。

狭いホールや長いパー3のティショットなどで威力を発揮しますよ。(堀越)

安心感のあるアイアン型UT
慣性モーメントが大きい

3Uとしては、クラブレングス、クラブ重量ともに標準ですが、スウィングウェートがやや大きいので、クラブ慣性モーメントがやや大きくなっています。(松尾)

ヘッドはアイアン型UTらしくシャープな雰囲気で、フェースのトウ側が低いので、アドレスでは球をつかまえすぎないフラット感が出ています。

フェース長が長く、安心感があり、スコアラインがトウ寄りに入っているので、ややトウ側で打つイメージが出ています。3Uを標準Sフレックスで試打しましたが、HS43m/sくらいはあったほうがいいと思います。

画像: 安心感のあるアイアン型UT 慣性モーメントが大きい

ウッド形状が苦手な人、長い距離をラクに打ちたい人

重心距離が長く、ネック軸回りの慣性モーメントも大きいので、ヘッドの返りが遅く、球がつかまりすぎないようになっています。打感は硬め、インパクト音も高いですが、球の弾き感はいい感じです。(松尾)

画像: ウッド形状が苦手な人、長い距離をラクに打ちたい人

【総合評価】 飛距離性能 4/つかまり 3.5/上がりやすさ 4.5/ミス許容 3.5/操作性 4.5 ※5点満点

ヘッド/ステンレス17-4(ボディ)、SUP-10(フェース)、タングステン・ニッケル
ロフト角/18度(#2)、20度(#3)、22度(#4)
ライ角/60度(#3)
長さ/39.5㌅(#3)
シャフト/タイトリスト MCI マットブラック70(S)
総重量/約370g(#3)
価格(税別)/4万円
※メーカー公表値

解説:クラブ設計家 松尾好員
解説:プロゴルファー堀越良和

画像: 【総合評価】 飛距離性能 4/つかまり 3.5/上がりやすさ 4.5/ミス許容 3.5/操作性 4.5 ※5点満点

週刊GD2020年1月21日号より

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