渋野日向子プロのプレーに、みんなのゴルフダイジェストのプロゴルファー・中村修が密着取材した、週刊ゴルフダイジェストの連載企画「しぶこプレス」を再録。国内で開催された米ツアーとの共催試合「TOTOジャパンクラシック」をレポート。

日本開催の米ツアー、初日9位と好発進

米ツアーとの共催となる「TOTOジャパンクラシック」に出場した渋野選手。前週のスウィンギングスカート台湾LPGA選手権に続く、2週連続での米ツアーの強豪たちとの闘いとなりました。

渋野選手は初日を6バーディ3ボギーの3アンダーにまとめ、9位タイと上々の滑り出し。

本人は18番のバーディパットを外して3パットしたことを悔やみ、「悔しい。最後のパットを外したのでごずってん(50点)です」と言っていましたが、客観的には十分合格点の内容だったと思います。

2日目は1番、3番、4番と序盤からバーディを重ね、絶好の出だしを見せます。後半に入り少しアイアンショットにブレが出始めますが、グリーンを外すことは少なく、なんとかパーを重ねました。

この日はパッティングも上向きで、4バーディ1ボギーの69。トータル6アンダーの7一タイで最終日を迎えます。

しかしトップの鈴木愛選手は2日目を終わって12アンダーというビッグスコア。最終日はこの6打差をどこまで詰められるかという戦いでしたが、渋野選手は前日から兆候の出ていたアイアンショットのブレが大きくなり、スコアを伸ばせません。

画像: 大きく切れる下りのパットをナイスイン。ショートゲームに光

大きく切れる下りのパットをナイスイン。ショートゲームに光

17番、18番の2つのパー5を連続バーディで締めたものの、結局、最終日は5バーディ・4ボギーの1アンダーで、トータル7アンダー。

順位を13位タイまで下げる形となってしまいました。

本人も「(最後の2バーディ以外は)ポンコツです。今年の自分の流行語ですね」と自虐気味に語っていました。

最終日の渋野選手のアイアンショットは、普段の思い切りの良さが鳴りを潜め、インパクトでゆるみが生じていました。

その結果、フェースが開いたり体が止まったりして球が暴れ、グリーンを外すシーンが目立ちました。

原因は分かりませんが、こういう不調はボール位置のわずかなズレなどに起因することも多いので青木翔コーチとしっかり修整してほしいです。

一方でショートゲームに明らかな復調傾向が見られたのは光明といえます。

ピンパターのライ角を調整

とくに最終日の最終ホールで見せた、大きく切れる下りのラインをジャストタッチで沈めたバーディパットはお見事。2週前から使っているニューパターのライ角を調整したことも好転の理由かもしれません。

画像: 優勝は鈴木愛。左手痛で1ヵ月休養していたが、前週の三菱電機レディスでも優勝

優勝は鈴木愛。左手痛で1ヵ月休養していたが、前週の三菱電機レディスでも優勝

アプローチでも、最近多用しているフェースを開いてやわらかい球を打つ寄せが成功する場面が増えてきました。

またその波及効果か、50~60㍎のコントロールショットでもスウィングのやわらかさが増したように見えます。

実戦でどんどん経験知を蓄積していく様子は、まさに伸びしろがだらけ。見ていて本当にワクワクします。

ところで渋野選手は11月15日が誕生日。20歳最後の試合となったインタビューで、この1年を振り返ってどんな20歳だったかと問われた渋野選手は、1年前のQTでヒヤヒヤしていた状態からの大飛躍に「なんちゅう1年だ」と相変わらずの渋野節を炸裂。

さらにこの1年を漢字1文字で表してくれとのリクエストには「恥」との回答。

「みなさんに注目されてはずかしいという意味」と照れくさそうに答えていました。

国内ツアーは残り2戦。シン・ジエ選手、鈴木愛選手との賞金女王争いも佳境に入りますが、渋野選手はツアールーキー。メジャーに勝ったとはいえ、本人も青木コーチも、米ツアーのトップ選手たちとは、まだレベルの差があることは承知し、それを踏まえて3年後、5年後にそのレベルに到達するための土台作りを最優先しています。

もちろん賞金女王のタイトルは欲しいけれど、今は地力をつけ、経験を積むとき。

そんな渋野選手にとって2週続けて米ツアーの選手に混じってプレーをしたことは、非常に大きな経験になったはずです。

画像: レクシー・トンプソン(24位タイ)ドライバーの平均飛距離は276.17Y。初日に同組だった渋野を20~30Yアウトドライブするホールも。渋野いわく「置いていかれたのでビックリしました」

レクシー・トンプソン(24位タイ)ドライバーの平均飛距離は276.17Y。初日に同組だった渋野を20~30Yアウトドライブするホールも。渋野いわく「置いていかれたのでビックリしました」

初日に一緒だったレクシー・トンプソン選手やユ・ソヨン選手は明らかに不調でしたが、大崩れせずに踏みとどまるあたりはさすがですし、台湾でプレーしたハナ・グリーン選手やイ・ジョンウン6選手らの対応力などはまさにワールドクラス。

これらを間近で見て吸収した渋野選手が、残りの試合でどんなゴルフを見せてくれるか楽しみです。

週刊GDより

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