前回のお話し
【通勤GD】
通勤GDとは‟通勤ゴルフダイジェスト”の略。世のサラリーマンゴルファーをシングルに導くために、月曜日から金曜日(土曜日)までの夕方に配信する上達企画。帰りの電車内で、もしくは翌朝の通勤中、スコアアップのヒントを見つけてください。
ねじれをつくらないアドレス
篠塚 従来の常識だと、みなさんまず球の位置を気にしますよね。たとえばドライバーなら左足かかと線上、アイアンなら真ん中の番手が両足のセンター、ウェッジなら右足寄りにとか。まず球ありきで、そこを基準に自分の体の各部を合わせていくセットアップ法です。しかし「桜美式」では、球の位置のことなどあまり気にしない。あくまでもスウィングにおける主役は、球ではなく自身のグリップです。
GD ということは、球の位置は細かく指導しない?
篠塚 シャフトの長さに合った打ちやすい位置に置けば、自然とドライバーは左足かかと線上に、ウェッジは右寄りになる。球の位置から自分の体を規定しようとすると、必ずや不自然でとても難しいスウィングになってしまう。
篠塚 どうしてもボール位置を決めたい人は、セオリーどおり、ドライバーなら左足かかと線上、アイアンは真ん中あたりと言っておきますが(笑)、神経質にならず、ボールは刀を「切って」いくイメージの線上にあればいいと考えましょう。
GD なるほど。インパクトが点ではなくなりますね。
篠塚 たとえばアイアンで、絶対両足の真ん中に球を置くと決めているとします。するとすべてを「センターに合わせる」という意識が生じてしまう。両手のひらをセンターで合わせ、両腕を一体にして動かし、再びセンターにインパクトを戻してこようとする。
GD 確かに、すべてをセンターに合わせることが大切に感じます。
篠塚 では球を基準にセンターに合わせるように、両手を垂直に立てて手のひらを重ねてみてください。つまり、球を拝むように合掌する。そのときの上腕を見てみると、両ひじは下を向いているのに、両手首から先だけが横を向いてしまうでしょ。これはどういう状態かというと、構えた時点ですでに両腕がねじれてしまっているということ。
篠塚 人間がねじれに弱い動物だということは、常にこの連載で説明してきました。腕をねじるのは合気道の「参った」の状態。つまりは、最も弱い状態でセットアップするという不自然なことを、これまでの常識ではさせられてきたわけです。
GD 両腕がねじれている従来の構えと、両腕がねじれていない「手刀グリップ」。なるほど。
篠塚 加えて従来の常識では、テークバックで腕だけでなく、肩、背中、腰までねじっていく。それはもはや、体全体を「参った」の状態に自ら痛めつけていくようなもの。ケガの危険性があるのはもちろん、ねじり戻してセンターに合わせてインパクトするなんて、再現性が悪すぎて練習不足のアマチュアには絶対に不向き。そうした諸悪の根源が、従来の球を基準にしたセットアップだということ。
GD そうすると、「桜美式」のセットアップは、球を基準にするでも、センターに合わせるでもなく、やはり利き手メインの「手刀グリップ」がまずありきだと。
時松隆光プロに安定感をもたらす「手刀グリップ」
篠塚 セットアップの際、まずなによりも先にあるのはカタチではなくイメージ。右手のひらを上に向け、右手が日本刀であることを想像する。その手のひらにグリップを乗せれば、おのずと腕がねじれていない状態になる。やってみてください。
GD 実際に構えてみると、「手刀グリップ」は、ハンドファーストの構えにも似ていますね。
篠塚 そうなんです。自然にハンドファーストでハンドアップの構えになる。ハンドアップに関しては以前もお話ししたように、手元を意識しやすい自然な構え。
篠塚 また、従来のハンドファーストは、球を基準にセンターに合わせて構えながら、カタチだけ無理にグリップを左にズラしているだけ。それでは、ダウンスウィングで手首の角度がほどけてハンドレートなインパクトになってしまうのを防ぐための応急処置にすぎない。逆に「手刀グリップ」は、イメージを基準にして、結果として得られるハンドファースト。従来のハンドファーストのように打ち込む意識などなくとも、横から切るように球をとらえられる。
篠塚 インパクトでロフトが立って飛距離が稼げるし、それでいて入射角はゆるやかで方向性にも優れている。これが、国体チャンピオンの出利葉くんが、テンフィンガーで曲がらずに飛ばせる秘訣です。
週刊GDより
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