桜美式ゴルフが実践する「勾玉(まがたま)スウィング」は、自分の首元を中心に円を描く回転運動だとお話ししました。すると、多くの人が勘違いをしてしまうのは、回転運動だから「遠心力」を使って飛ばす、というイメージを抱いてしまうことだと篠塚武久先生は指摘。今週の通勤GDは「みんなの桜美式」Vol.19。

【通勤GD】
通勤GDとは‟通勤ゴルフダイジェスト”の略。世のサラリーマンゴルファーをシングルに導くために、月曜日から金曜日(土曜日)までの夕方に配信する上達企画。帰りの電車内で、もしくは翌朝の通勤中、スコアアップのヒントを見つけてください。

前回のお話し

画像: ゴルフ向学者 たけひさ先生 篠塚武久・73歳。福岡市で「桜美ゴルフハウス」主宰。福岡大学の大石迪夫教授と作り上げた「OSゴルフ理論」で多くのジュニアが結果を出す。「テンフィンガー研究ははや20年。今後『分担型グリップ』時代がくることを確信」

ゴルフ向学者
たけひさ先生
篠塚武久・73歳。福岡市で「桜美ゴルフハウス」主宰。福岡大学の大石迪夫教授と作り上げた「OSゴルフ理論」で多くのジュニアが結果を出す。「テンフィンガー研究ははや20年。今後『分担型グリップ』時代がくることを確信」

体の中心にクラブを引っ張る向心力
遠心力とは反対向きの力

GD よくレッスンで「遠心力」で飛ばす、と耳にします。

篠塚 遠心力とは、たとえば車が急カーブを曲がるとき、カーブの外側のほうに体が押しつけられる原理です。ゴルフでも、円を描いて体を回転させれば、握っているクラブの先についているヘッドには、自然と遠心力が生じています。

篠塚 しかし、遠心力が自然と生じていることと、ゴルファーが意識的に遠心力を使って飛ばそうとすることとは、まったく別。遠心力を使って飛ばそうとすることは、「勾玉スウィング」の回転運動においては弊害が大きいんです。

GD でも、「勾玉スウィング」も回転運動ですから、アーク(円弧)を大きくしてヘッドスピード(速度)を上げると遠心力が増加します。物理的には間違いなく遠心力で飛距離を稼げるのでは?

篠塚 もちろん計算上はそうなります。以前、シニアゴルファーが遠心力で飛ばそうと、48㌅級の長尺シャフトが流行しました。ところがそれでみなさんスコアが良くなったかといえば、そうではない。なぜなら、アークを大きくしてヘッドスピードを上げても、ゴルフの場合は飛距離には直結しにくい。

篠塚 それは、遠心力がクラブを押し出すように働くということは、同時にクラブを体の中心へと引っ張るように働く「向心力」も生じるからです。

GD 「遠心力」と「向心力」、物理の授業で習いました。

遠心力を大きくして飛ばすには
強靭な体力が求められる

篠塚 クラブが外へ外へと遠ざかろうとするのと拮抗して、クラブを内へ内へと向かわせる力も必要になる。つまり、遠心力をイメージして飛ばそうとする発想は、クラブが遠くへ投げ出されてしまわないように、強靱な体力が求められるということ。遠心力で飛ばすのは、シニアやジュニア、それにアマチュア全般に向かない発想なのです。

篠塚 アークを大きく、ヘッドスピードを速くすればするほど、筋力に頼らざるを得ない。筋力が足りずにバランスが崩れれば、ミート率が下がる。芯を外せば飛ばないし、ミスショットが増えるし、左右に曲がる。たとえ、たまに一発飛距離を稼げたとしても、スコアは散々ということになるわけです。

GD 遠心力で飛ばす、といえば、テークバックでヘッドを遠くへ引き、フォロースルーでもやはりヘッドを遠くへ放りだすように、と教わったこともあります。

篠塚 シャフトを長尺にするのではなく、両腕を遠くへ伸ばすことで、アークを大きくしようという教えですね。これも私は、もう古い考え方だと思っています。なぜなら、そのようなことをせずとも、現代のクラブは飛ばせる構造になっているから。むしろ、どれだけコンパクトに、そしてシャープに振るかを考えるべきですよ。

篠塚 クラブという長い棒を操るからゴルフは難しいのに、両腕までピンと伸ばして棒にしてしまうなんて、ゴルフを難しくしすぎるのにも程がある。その証拠に、両腕を棒にして遠心力で飛ばそうとするゴルファーは、テークバックが不自然なほどにゆっくりでしょ。あれほどゆっくりしなければ、球に当てられるか不安になるんです。

コンパクト&シャープに振る
現代版の飛ばし術

篠塚 体に過度に負担をかけるからケガにもつながる。だから、「勾玉スウィング」は、遠心力で飛ばすイメージではなく、「向心力」で飛ばすイメージを持ちましょうと、逆を教えています。

GD 「向心力」で飛ばす?

向心力スウィングとは?

篠塚 体をねじり、腕を遠くへ上げ、ヘッドを球にぶつけ、外に向かって打って飛ばそうとするのが遠心力。それが安定しない難しさの原因ならば、「勾玉(まがたま)スウィング」は、まったくその逆を考えればいいと。

篠塚 体をねじらず、腕をコンパクトに上げ、ヘッドではなく自分の体の中心に戻すように、内に向かって打って、結果飛んでしまうのが向心力をイメージしたスウィングです。力は、外にも内にも拮抗して働いているとすれば、向心力のほうをイメージし、勾玉の螺旋パワーで回転運動を、自然に、シンプルに、やさしく利用すればいい。

画像: 「外に向かう『遠心力』より、内に向かう『向心力』を使うほうが回転運動が安定します」(絵も先生)

「外に向かう『遠心力』より、内に向かう『向心力』を使うほうが回転運動が安定します」(絵も先生)

GD なるほど、アークはコンパクトになるけれども、安定性が増し、シャープになって、なおかつミート率も上がってミスが減ると。

篠塚 向心力をイメージして飛ばすためのドリルがあります。いきなりクラブを握ると、ヘッドが視界にあるので、どうしても遠心力を想起してしまう。クラブは持たず、右腕を丸めて左ひじのあたりにつけておく。つまり腕で勾玉(6の字)を描き、それを回すイメージでスウィングする。力を外に遠くへぶつけるのではなく、力を内に向けて戻してくる感じです。

画像: 「右腕を丸めて左ひじに付け、両腕で6の字状の勾玉を造る。それを回すようにシャドースウィング。向心力を使うイメージができます」

「右腕を丸めて左ひじに付け、両腕で6の字状の勾玉を造る。それを回すようにシャドースウィング。向心力を使うイメージができます」

篠塚 自分が流れる水のようになって、気持ちよく回ればいい。これならラウンド中にでもできますし、クラブを持って素振りをビュンビュン振るより遥かに効果がある。コンパクトに、シャープに、狙い所へ飛ばせるようになりますよ。

週刊GDより

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