スウィングタイプによって
地面反力の使い方は違います
ここ最近、飛ばしの最新理論として注目を集めているのが、地面反力を利用したスウィングだ。
平均飛距離が300㍎を超えるような世界のツアープロたちの多くが、この地面反力を使って効率よく飛ばしている。
自身が主宰するインドアレッスンスタジオに、スウィング中の詳細な足圧力のデータを測定できる最新機器「スウィングカタリスト」を導入している石井忍プロによると、スウィングは3つのタイプに分類できるという。
スイングカタリストって?
スウィング中の重心の動きや、地面に対する圧力を可視化できる。回転、横移動、反力の3つの詳細なデータが計測でき、スウィングの最適化に役立つ
①横移動系の「ホリゾンタル優位」
横の体重移動を使う松山英樹は、このタイプの代表的な選手。石川遼や星野陸也など、日本人は体重移動を使って飛ばすタイプが多い。
②回転系の「トルク優位」
M・クーチャーのようにその場でクルッと回転するのはこのタイプ。回転の数値が高く、横の移動は少なくなる。
③地面反力系「バーティカル優位」
世界のトッププレーヤーで飛ばし屋といわれる選手は、地面反力の数値がかなり高い。J・トーマスのように体が大きくなくても飛ばせるタイプに相当。
石井 タイプによって使い方は異なりますが、世界のツアープロの場合、地面から得られるパワーを利用しているという点では、すべてのタイプで共通しています。
この「スウィングカタリスト」で解析すると、スウィングタイプを判別することができ、地面からのパワーをどのくらい使えているかもわかるという。
そこで飛距離不足に悩むゴルルの板倉由姫乃がテスターになり、石井プロにスウィングを解析してもらった。
石井 板倉さんは地面反力や回転に比べて、横移動の数値が高いので「ホリゾンタル優位」ですね。実は一般アマチュアの80%はこのタイプなんです。
多くのアマチュアはどうしてもボールを強く叩こうとする意識が強いので、右から左への体重移動が過剰になりがちだ。
石井 そのため上体ごと目標方向に突っ込んだり、バックスウィングでは右ひざ、ダウンスウィング以降では左ひざが外に流れるスウェイといったエラー動作が起きやすいんです。板倉さんにも、その傾向が見られますね。力が横方向に逃げてしまっていて、地面反力を上手く使えていません。
マシンがなくてもタイプ判別は可能。
まずはチェックしてみよう
両足揃え、右足1本、左足1本のスタンスでボールを打ってみよう。バランスを崩さずに振れて、ボールにパワーが乗せられるスタンスがどれかで判別できる。
体重移動のホリゾンタル優位はコレ!%%
"ハの字"キープで地面反力が使えるように
もともと「バーティカル優位」タイプは地面反力の数値が高いが、横移動系の「ホリゾンタル優位と、回転系の「トルク優位」タイプが上手に地面反力を利用するにはどうすればいいのだろう。
石井 板倉さんを例に説明すると、バックスウィングでは右脚、ダウンスウィングでは左脚が地面と垂直になるぐらい横の移動が大きいんです。一見、体重移動がしっかり使えているように見えますが、地面を踏み込む圧力の数値はそれほど高くなりません。つまり、力を縦方向に使えず、横に逃がしてしまっているんです。
板倉と同じ「ホリゾンタル優位」のタイプは、アドレスで作った両足の「ハの字」のラインをスウィング中にキープする意識が必要だという。
両脚の「ハの字」をキープ!
ハの字を意識しただけで
地面反力の大きさは180%から199%へ。
(自分の体重が100%)
7番アイアンの飛距離は132.7Yから136.2Yにアップ!
板倉 体重移動で飛ばそうとしてスウェイ気味になっていたんですね。ハの字をキープする意識で、地面を使う感覚が分かりました。
石井 過剰な体重移動が制限され、縦方向に地面を強く踏み込めるようになったわけです。
実際に板倉が「ハの字」キープのイメージで打ってみると、バックスウィング、ダウンスウィングともに、地面を踏み込む圧力の数値が約20%アップ。そのぶん飛距離も伸びた。
回転系のトルク優位はコレ!
ダウンでお尻をストン! 反力効果で回転力がアップ
回転系の「トルク優位」タイプに起こりやすいエラーとしては、
石井 トップからの切り返しで、いきなり左に体を回してしまうことです。これもやはり、縦方向に体を使うことができません。このタイプの人は切り返しからダウンで一瞬、椅子に座るようなスクワット動作を入れることで、地面反力を使えるようになります。
回転重視タイプは、切り返しで体が早く回りすぎてしまうケースがある。それを防ぐにはダウンで一瞬、椅子に座るような動作を入れるといい。これにより地面反力を上手く利用することができる。
お尻を落として地面を踏んで回転するという順番を意識することで「バーティカル優位」タイプのスウィングに近づき、地面からのパワーをもらうことができるという。
石井 この動きを繰り返し練習すれば、地面を使って振る感覚が徐々につかめてきますよ。
飛ばないと悩んでいるゴルファーは、いちど、自分の足元を見つめなおしてみてはいかがだろう。
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