人気の「M」シリーズから新ブランド「SIM」へ。テーラーメイドはスウィング時の挙動からヘッドデザインを考える「Shape in Motion」へと舵を切った

エアロダイナミクスの専門家も唸った
「このヘッドは空力のツボを心得ている」

画像: 空気の流れが極めてスムーズ

空気の流れが極めてスムーズ

ソールに"尾翼"のような出っ張り「イナーシャジェネレーター」を搭載した、テーラーメイドの最新モデル「SIM」ドライバー。

寛容性の高い重心設計とエアロダイナミクスによる空気抵抗の低減を目指した形状だという。

かなり大胆なデザインだが、レーシングカーのデザイナーとして空力に造詣が深い由良拓也さんは一目見て絶賛。

画像: 「SIM」のイナーシャジェネレーターは、レーシングカーの車体下部と形状が似ている

「SIM」のイナーシャジェネレーターは、レーシングカーの車体下部と形状が似ている

由良 非常にきれいな流体設計。空気抵抗は見るからに少なそう。ソールの突起を斜めにしているのもよく研究している。

今までにも空気抵抗の低減化を謳ったクラブはあったが、そもそもクラブヘッドの動きにどれだけ影響があるのだろうか。

由良 ヘッド速度が40m/sもあれば、十分空気の影響を受けます。特にドライバーは以前に比べてヘッドが大きくなり、重量も軽くなってきている。発生する揚力の影響は無視できません。

画像: 「サンルーフ付きの車は、屋根を開けると小さなフィンが立ち上がる。あれがないと空気を室内に巻き込んでしまう。(この突起は)あれと同じ効果です。すごく緻密ですね」(由良)

「サンルーフ付きの車は、屋根を開けると小さなフィンが立ち上がる。あれがないと空気を室内に巻き込んでしまう。(この突起は)あれと同じ効果です。すごく緻密ですね」(由良)

画像: 「キレイな流体設計です。そうとう考えて作り込まれていますね」(由良)

「キレイな流体設計です。そうとう考えて作り込まれていますね」(由良)

由良拓也さん
”違いがわかる男”のCMで有名になった日本を代表するレーシングカーデザイナー。由良さんが取締役社長を務める「ムーンクラフト」はカヌーも開発・製作し、2020年東京五輪カヌー日本代表に内定した足立選手をサポートしている

なんて欲張りなドライバーなのか
SIMはテクノロジーの塊だ

空気抵抗対策によって軌道がブレにくい

「イナーシャジェネレーター」には、飛行機の尾翼のようにヘッド軌道やフェースの向きを安定させる効果もあるようだ。つまり、打点がズレにくい。

さらに「Mシリーズ」から引き継いだ、フェースの反発性能をルール適合の最大限にチューニングする「スピードインジェクション」と方向性のブレを最小限に押させる「ツイストフェース」も搭載。

空気抵抗を抑えてスピードアップしたからヘッド軌道はブレにくい。また多少打点がズレても曲がらずに、飛距離ロスも少ない。

これなら思い切って振れる場面が増えるはず。さらなる飛距離アップも夢ではない。

画像: 「ツイストフェース」、「スピードインジェクション」もMシリーズから継承

「ツイストフェース」、「スピードインジェクション」もMシリーズから継承

画像: クラウンだけでなくソールのトウ側にもカーボンを採用。より多くの余剰重量を生み出し、バックウェイトに集中

クラウンだけでなくソールのトウ側にもカーボンを採用。より多くの余剰重量を生み出し、バックウェイトに集中

弾道調整の幅がある「SIM」
深重心で高弾道の「SIM MAX」の2モデル

画像: 弾道調整が可能な「SIM」

弾道調整が可能な「SIM」

画像: 高弾道を生みやすく、高い寛容性を実現「SIM MAX」

高弾道を生みやすく、高い寛容性を実現「SIM MAX」

画像: 写真は「SIM」。フェースが開いて下りるダウンスウィング軌道に馴染むよう、ヒール後方のボリュームを減らしている

写真は「SIM」。フェースが開いて下りるダウンスウィング軌道に馴染むよう、ヒール後方のボリュームを減らしている

画像: 左が「SIM」、右が「SIM MAX」。形状はよく似ている。

左が「SIM」、右が「SIM MAX」。形状はよく似ている。

「ヘッドがスッと下りてくる」、「振りたい軌道に自然に乗る」といった声が、使用したプロから聞こえてくる「SIM」。

塩見好輝プロは、ソールに同様の出っ張りがあった旧モデル「M6」と比較して、「SIM」のほうがミート率が上がったという。

タイガーはSIM(9.0度)
D・ジョンソンはSIM MAX(10.5度)

画像: タイガー・ウッズは「SIM」の9.0度を使用

タイガー・ウッズは「SIM」の9.0度を使用

画像: タイガーはSIM(9.0度) D・ジョンソンはSIM MAX(10.5度)

ローリー・マキロイ 「SIM」10.5度
ダスティン・ジョンソン 「SIM MAX」10.5度
ジョン・ラーム 「SIM」10.5度
コリン・モリカワ 「SIM」8.0度

一流プレーヤーが、2つのSIMドライバーにあっという間に移行したことからも、その実力は折り紙付きと言えそうだ。

月刊GD2020年4月号より

歴代 名器のヘッドデータが比較できる、テーラーメイド ドライバー図鑑はこちら

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