ショートパットを入れるには「真っすぐ強めに」打つのがいいと言われる。確かにプロも強めだが、この打ち方は、カップまで何㍍まで通用するの?
画像: 【解説】小林大介プロ 日夜、世界のトッププロのスウィングを研究し、アマチュアへの指導経験も豊富。湘南衣笠ゴルフ所属

【解説】小林大介プロ
日夜、世界のトッププロのスウィングを研究し、アマチュアへの指導経験も豊富。湘南衣笠ゴルフ所属

ショートパットは
入れるのが目的

(昨今はツアー中止延期が続くものの)、テレビでトーナメント中継を観ていると、プロのパットはやはり驚くほどうまい。ロングパットはピタリと寄せ、ショートパットは決して外さない。そして、熱心なゴルファーなら、プロはショートパットをかなり強めに打っていることに気づくはず。

「ほとんどのプロが強めに打っていますが、それはショートパットは強めに打つほうが入るからです」と言うのは日夜、トッププロのプレーを研究しているという小林大介プロだ。

小林 ロングパットは距離感、ショートパットは方向性が大事と言われますが、方向性を上げるにはジャストタッチよりも強めのほうが有利です。グリーン上の小さな目標、たとえば差したティにボールを当てようとする場合、ジャストタッチでティに当てるより、勢いよくボールを当てるほうが当てやすいですよね。

画像: ショートパットは、カップの向こう側に当たって入るぐらい強めタッチがいい

ショートパットは、カップの向こう側に当たって入るぐらい強めタッチがいい

小林 強めのほうが、カップ際にも強くなります。さらに、強めに打つと決めるだけでストローク中の迷いも消せます。パットのミスの多くは、ジャストタッチで打つか、強めに打つか、ラインを膨らませて打つか、薄めに読むか、迷いながら打つことが原因の大半です。

小林 最初から強めに打つと決めれば迷うこともありませんし、そもそもタッチが決まらなければラインは決まりません。さらに言えばショートパットは寄せるのが目的ではなく、入れるのが目的。であれば、届かなければ意味はないので、強めに打つのが理に適っています。

★強めに打つメリット

【メリット①】
方向性がよくなる

グリーン上に差してあるティにボールを当てようとする場合、勢いよくヒットしたほうが当てやすい。一定のスピードを維持したほうが思ったところに打ち出しやすくなるからだ。

画像1: 【パット上達】プロゴルファーみたいに“パチン”と打ちたいショートパット。「強気に真っすぐ」の境界線は何メートル?

【メリット②】
カップ際に強くなる

ジャストタッチでカップに入れる場合、ボールの勢いが弱くなったときにグリーン上の微妙な凹凸や芝目の影響を受けやすい。強めに打てば影響を受けにくくカップ際に強くなる。

画像2: 【パット上達】プロゴルファーみたいに“パチン”と打ちたいショートパット。「強気に真っすぐ」の境界線は何メートル?

【メリット③】
“迷い”がなくなる

強めに打つかジャストタッチにするか、迷いながら打つとパットは入らない。そもそもタッチの強さが決まらなければラインは読めない。強めに打つと決めるだけで迷いが消える。

画像3: 【パット上達】プロゴルファーみたいに“パチン”と打ちたいショートパット。「強気に真っすぐ」の境界線は何メートル?

★強めのコツはこれ!

【コツ①】
カップ80㌢からピンに当ててみる

まずは80㌢の距離からピン(あるいはカップ奥の土手)に当てて入れる練習をしよう。意外に強く打っても入ることがわかる。

画像4: 【パット上達】プロゴルファーみたいに“パチン”と打ちたいショートパット。「強気に真っすぐ」の境界線は何メートル?

【コツ②】
テークバックせずにストロークする

方向性をよくするのが強く打つ目的。ヘッドが減速すると意味がない。フォローだけで転がす練習で加速させて打つ感覚を学ぼう。

画像5: 【パット上達】プロゴルファーみたいに“パチン”と打ちたいショートパット。「強気に真っすぐ」の境界線は何メートル?

【コツ③】
フォローまでしっかり顔を残して打つ

強めに打つことで方向性をよくしようとしても、ヘッドアップすれば台なし。フォローまでしっかり顔を残して打つことを意識しよう。

画像6: 【パット上達】プロゴルファーみたいに“パチン”と打ちたいショートパット。「強気に真っすぐ」の境界線は何メートル?

“強め真っすぐ”の境界線

「入れる」ことが目的のショートパットは強めに打つのがいいと言う小林プロに、強めに打つコツを聞いてみた。

小林 まずは80㌢の距離から、ピンに当てて入れる練習をしてみましょう。パットのときにピンを抜くという人は、カップ奥の土手に当てて入れてみましょう。すると、意外と強く打っても入るということがわかると思います。

小林 また、これ以上強いと入らないという加減もわかってきます。その上で、テークバックをせずにフォローだけでストロークをする練習をしましょう。インパクトでヘッドが減速すると、ヘッドはブレやすくなりますが、フォローで打つ練習をすることで、ヘッドを加速させて打つ感覚が身につきます。

画像: ピンに当てる練習

ピンに当てる練習

強め真っすぐ
上限は1.2㍍

では、この「強めに真っすぐ」のパットはどのくらいの距離まで効力を発揮するのだろうか。小林
プロに実際にグリーン上で様々なライン、距離で打ってもらいながら検証してみた。

小林 まずは距離ですが、これは1.2㍍が上限ですね。これ以上長くなると、なかなかピンに当てて入れるということができなくなってしまう。つまり、強めに打つことでオーバーするというデメリットのほうが大きくなってしまいます。

この1.2㍍は、統計データによるとアマチュアがカップインする確率が50%の距離。いわゆる「入れごろ外しごろ」の距離だ。

小林 強めに真っすぐの打ち方には、もうひとつ条件があります。それは狙いどころがカップの内側にあるということ。大きく曲がるラインでは、そのラインを消すためには相当な強さで打つことが必要になります。そうなると強すぎて入らないということになりますから強めに真っすぐの打ち方は通用しなくなります。

小林 基本的にはカップの中央にあるピンを狙って打ちますが、傾斜によっては狙いどころを変える必要があります。でも、その狙いがカップからはみ出す場合は、強めに真っすぐの打ち方よりもラインとタッチを合わせた打ち方を選択する必要があります。

“強めに真っすぐ”には条件が2つある!

【条件①】
カップまでの距離が1.2㍍以内

強めに打てばボールの打ち出しの方向性がよくなるが、距離が長くなればその効果も及ばなくなる。ピンに当てることができなければ意味はないので上限は1.2㍍までと考えよう。

画像7: 【パット上達】プロゴルファーみたいに“パチン”と打ちたいショートパット。「強気に真っすぐ」の境界線は何メートル?

【条件②】
狙いがカップからはみ出さないこと

そもそも大きく曲がるラインのときは、相当な強さで打たなければラインは消せないので、強すぎて入らない。狙いどころはパットの内側にあることが条件になる。

画像8: 【パット上達】プロゴルファーみたいに“パチン”と打ちたいショートパット。「強気に真っすぐ」の境界線は何メートル?

PHOTO/Yasuo Masuda

週刊ゴルフダイジェスト2020年4月7日号より

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