先日、2020レッスン・オブ・ザ・イヤーが発表され、スマイリングシンデレラこと渋野日向子を指導する青木翔コーチが受賞した。青木コーチは渋野をたった1年で、42年ぶりの日本人選手メジャーチャンピオンに導いた。そのレッスン法は、今月20日に自信初となる著書「打ち方は教えない。」に惜しみなく語られている。今回は青木コーチに受賞インタビューならびにレッスン・コーチング法について、じっくり話を聞いた!
画像: 青木翔。1983年3月生まれ、福岡県出身。大学卒業後、プロを目指すも27歳で指導者を志す。2012年にアカデミー「ASGA」設立。渋野日向子など、ツアープロや全国レベルのアマチュアの育成に努めている。初著書「打ち方は教えない。」も好評発売中

青木翔。1983年3月生まれ、福岡県出身。大学卒業後、プロを目指すも27歳で指導者を志す。2012年にアカデミー「ASGA」設立。渋野日向子など、ツアープロや全国レベルのアマチュアの育成に努めている。初著書「打ち方は教えない。」も好評発売中

青木コーチってどんな人?

GD あらためてレッスン・オブ・ザ・イヤーの受賞、おめでとうございます。

青木 マジでいいですかね、僕で……。本当に光栄です!

GD 教え子のメジャー優勝から賞金女王争い、そして五輪出場を見据えたサポートなど、激動の1年でしたね。

青木 全英女子以降、メディアの方々に声をかけてもらうことも増えました。まさか自分がゴルフダイジェストで連載をやることになるとは。

GD ゴルフ雑誌を読んだりするんですか?

青木 しますよ! 自分がプレーヤーだったころから、情報収集させてもらっています。

GD ぶっちゃけた話、生活とか結構変わりましたか?

青木 かなり(笑)。まずツアー会場に行くことが増えました。教えていることは昔から変わらないんですけどね。

GD やっぱり基本が大事?

青木 はい。教え子がジュニアでもプロでも、それはずっと変わっていません。

GD 「基本をしっかり」という言葉自体は、ゴルフ以外でもよく聞くものです。ご自身でも、やっている練習は、特別画期的なことじゃないともおっしゃっていますが、なぜ多くの教え子が活躍できているんだと思いますか?

青木 口だけではなく、ちゃんとやるからです。しぶこは先日の海外合宿で、フェース面が削れるほどウェッジの練習をしていました。

GD すごい……。でも、どうしたら退屈な基礎練習を続けられるようになるんでしょうか?

青木 やる理由と、その結果のゴールイメージまで共有するようにしています。あとは飽きない練習法を考える(笑)。これからも思想は変えず、手法の部分はどんどんチャレンジしていきたいと思ってます。

青木コーチQ&A

Q、勉強は得意?
A、数学が得意。意外でしょ(笑)。正解にたどり着くまでの過程が好き

Q、自分を動物に例えると?
A、ライオン! かっこよくありたいという願いも込めて、です!

Q、明日、世界が終わるとしたら何をする?
A、家族と過ごす。家族がしたいことを自分もしたいと思う

Q、子どもにはゴルフをやらせたい?
A、自分でやりたいと言えばやらせるけど、強制はしない

Q、ゴルフ初心者の人になにから教える?
A、大人だったらクラブの握り方。子どもだったら「好きに打って」と言うかな

Q、好きなプロゴルファーは?
A、タイガー・ウッズ! 97年のマスターズを見て、衝撃を受けた

Q、好きな食べ物は?
A、とんこつラーメン。地元が福岡なんでね。苦手な食べ物は、トマト!

Q、好きな言葉は?
A、「大事なことは会って話せ!」です。こういう時代だからこそ、思う

Q、ゴルフ以外で好きなスポーツは?
A、高校野球。甲子園にすごく憧れがある。独特な雰囲気がいいよねぇ

Q、生まれ変わってもコーチになるか?
A、ゴルフのコーチかはわからないけど「指導者」にはなりたい

【クラブの動きを知る】
全ショット
ヘッド軌道は緩やかに

GD 先ほども、基本が大事ということ話されていましたが、そもそも青木コーチが考える基本ってなんですか?

青木 単純だけど、難しい質問ですね(笑)。ヘッドの動かし方と、体の使い方とふたつありますが、まずヘッドの動きについて簡単に言います。全番手、ヘッド軌道は緩やか(ゆるやか)であるべきということです。

GD ダウンからインパクトにかけて、ヘッドの入射角が緩やかということでしょうか?

青木 そうです。飛行機が着陸するときのように、ヘッドがソフトランディングしてくるイメージでダウンスウィングを行いたいんです。これができると、ボールを押し込めるので飛距離も出ますし、フェースが急激に返らないので方向性もよくなります。でも、前傾角度をキープし続ける必要があるので、基本的な体の動きも同時に覚える必要があるんです。

【ポイント】右手首の角度を変えず右ひじだけ伸ばす

トップで作られた右手首の角度をキープしたまま、右ひじだけ伸ばしてダウンを行う。これにより、ヘッドの入射角が緩やかになり、ボールを横から打ち抜くイメージになる。この動きは全ショットに共通する動き。

画像: 【クラブの動きを知る】 全ショット ヘッド軌道は緩やかに
画像: 入射角がきついと、バックスピン量やインパクトのフェースの向きが一定しない。安定したショットが打てなくなる

入射角がきついと、バックスピン量やインパクトのフェースの向きが一定しない。安定したショットが打てなくなる

【渋野日向子のドライバーショット】
インパクトまで右手首の角度が変わらない

画像: 【渋野日向子のドライバーショット】 インパクトまで右手首の角度が変わらない

【体の使い方】
腕力に頼らない
スウィングを作る

GD 次は体の基本的な動かし方について教えてください。

青木 僕は腹筋などのボディを使ってクラブを振れ、と指導しています。要するに、手打ちではダメということです。大きな筋肉を使って振ることで、当然飛距離も出ますし、小手先でクラブを操作しないので、再現性の高いスウィングができるようになり方向性もよくなります。

画像: 【〇】ボディから回すとタメができてヘッドが加速する、【✖】腕で振り下ろすと手首が伸びてすくい打ちに

【〇】ボディから回すとタメができてヘッドが加速する、【✖】腕で振り下ろすと手首が伸びてすくい打ちに

GD ボディを使って振るには、どうすればいいですか。

青木 つい先日までしぶこがやっていた練習ですが、タコのように腕をブラブラと脱力させて、体を左右に回転してみてください。すると、体が回った後に手がついてくる感覚がわかると思います。このボディを先行させて回転し、腕が遅れて振り戻される感覚、これこそ僕が基本としている体の使い方なんです。

ボディを回した後に腕がついてくるタコ体操

画像: 脱力してタコ体操

脱力してタコ体操

【ボール位置】
自分だけのボール位置を探す

GD 青木コーチが考えるヘッドと体の基本の動き、グリップについて教えてもらいましたが、ボール位置については、今までお伺いしたことがありませんでした。青木コーチは、ボールをセットするとき、何か基準などがあるのですか。

青木 ボール位置は、基本的にはどこでもいいですよ(笑)。

GD えッ! どこでもいいって、どういうことですか?

青木 ココ! という位置が人によって変わるからです。なぜなら、身長や体重、腕の長さや胴の長さなど、人によって違いますからね。

GD では、どうやって自分に合ったボール位置を見つければいいのですか?

画像: 【ボール位置】 自分だけのボール位置を探す

青木 左へ引っかけたり、上体が突っ込みやすい人は、普段よりボールを右側に置いてみる。逆に、プッシュアウトやスライスが出やすかったり、体が伸び上がるクセがある人は、左へズラしてみるといいでしょう。どこかで、真っすぐ飛び出すボール位置と必ず巡り会えます。

GD どれくらいズラすとかあるんですか?

青木 極端にやってみればいいんです。左へズラすなら左足つま先より左へ置いてみるとか、その逆も。でも、そこまで極端にズラしたら、身を持って打てないことがわかりますよね(笑)。それが大事なことです。まずは極端にやって、体感することが上達の第一歩になるんです。

GD まずは試すってことですね。

青木 そうです。頭で考えるより、体感するほうが必ず上手くなりますからね(笑)。

上体が起き上がる人はボール位置を左へ移動

上体が伸び上がりスライスする傾向にある人は、クラブが下から入ってくるため、右に置きがち。ボールを左へ移して練習することでフェースが開きにくくなり、曲がり幅が減る。

画像1: 【2020レッスン・オブ・ザ・イヤー受賞/青木翔コーチ】渋野日向子の先生が教える、本番に強くなるゴルフ

上体が突っ込む人はボール位置を右へ移動

上体や右肩が突っ込み、左へ引っかけクセがある人は、左に置かないと上手く当たらないため、もともとのボール位置が左すぎる可能性がある。右側へ移動して練習をすれば体の開きが直る。

画像2: 【2020レッスン・オブ・ザ・イヤー受賞/青木翔コーチ】渋野日向子の先生が教える、本番に強くなるゴルフ

打ち方は教えない。
ひたすら練習するから上手くなる!

アプローチのような小さな動きほど、手打ちにならないようボディを使って打つ練習に適しているという青木コーチ。

青木 ドライバーを打たなくてもアプローチの練習をすれば、どの番手も打ちこなせるはずです。だから、しぶこがドライバーを打ちたいと言っても、徹底してアプローチ練習をさせています。

青木 ぜんぜんドライバー打たせてくれない! ってしぶこに言われます(笑)

渋野日向子のウェッジのフェース面

画像: 渋野が愛用するピンのウェッジはステンレス製のもの。すなわち、変形しにくい硬めの素材だが、スコアラインが消え、よく見ると凹んでいるのがわかる

渋野が愛用するピンのウェッジはステンレス製のもの。すなわち、変形しにくい硬めの素材だが、スコアラインが消え、よく見ると凹んでいるのがわかる

画像: 打ち方は教えない。 ひたすら練習するから上手くなる!

【練習法】
飛距離がぐんぐんアップする!

GD 最後に、読者の方がすぐにできるような、飛距離アップのドリルを教えてもらえますか?

青木 飛距離アップのドリルですか? 了解しました(笑)。では、実際にしぶこもやっていたドリルというか、意識してやっていた練習をお伝えします。それは、スウィング中、首をすぼめず、伸ばしたまま振り抜く練習です。

画像: 飛ばそうとして肩や腕が力むと、あごと肩の距離が縮まりクラブがスムーズに振れなくなってしまう。首を意識することで肩や腕に余計な力が入らなくなり、スムーズに振れる

飛ばそうとして肩や腕が力むと、あごと肩の距離が縮まりクラブがスムーズに振れなくなってしまう。首を意識することで肩や腕に余計な力が入らなくなり、スムーズに振れる

GD 首を伸ばしたまま振る……ですか?

青木 そうです。僕はこれを「首がある」と表現して、しぶこをはじめ、教え子たちにも意識させています。首がある状態にするには、肩や腕などは脱力状態であるべきです。だからスウィング中、首があるとヘッドをスムーズに動かせるんです。一番いいのは、誰かに手で首を持ってもらって振ると、一発で体感できるので、ぜひ試してみてください。

【〇】首があると体が回転しやすくヘッドがスムーズに動く

あごと肩の距離をできるだけ遠くへ離したままスウィングすると、腕の力みが取れヘッドを走らせやすくなり飛距離が伸びる。力んでしまうという人は、首に原因がある可能性が高い。

画像3: 【2020レッスン・オブ・ザ・イヤー受賞/青木翔コーチ】渋野日向子の先生が教える、本番に強くなるゴルフ
画像1: 【練習法】 飛距離がぐんぐんアップする!

【✖】首がなくなると上体に力が入り伸び上がりの原因に

正面から見て首が見えないときは、力みによって肩が上がり、上体が伸び上がった状態になってる。当然、クラブを速く振ることができず、飛距離も出ない。寒さで縮こまってしまうケースもある。

画像4: 【2020レッスン・オブ・ザ・イヤー受賞/青木翔コーチ】渋野日向子の先生が教える、本番に強くなるゴルフ
画像2: 【練習法】 飛距離がぐんぐんアップする!

飛距離アップの体感ドリル!

クラブを杖にして腹筋を使って振り下ろす

ボディを使ってクラブを振り下ろす体感方法をひとつ紹介。体の右側にクラブを両手で持ってダウンの形を作る。そして腹筋だけ使って振り下ろす。このとき体感する腹筋の力感で振り下ろせれば、飛距離が確実に伸びる。

画像: 【〇】お腹が筋肉痛になれば最高!、【✖】シャフトを倒さないように注意!

【〇】お腹が筋肉痛になれば最高!、【✖】シャフトを倒さないように注意!

青木コーチのコーチングが本になりました!
「打ち方は教えない。」

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TEXT/SHOTANOW

PHOTO/Tadashi Anezaki、Shinji Osawa

週刊ゴルフダイジェスト2020年4月14日号より

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