「フォローでヘッドを走らせろ」レッスンでよく聞く表現だが、その意識は危険だとクォン教授は指摘する。今週の通勤GDはDr.クォンの反力打法 Vol.42。

前回のお話

【通勤GD】
通勤GDとは‟通勤ゴルフダイジェスト”の略。世のサラリーマンゴルファーをシングルに導くために、月曜日から金曜日(土曜日)までの夕方に配信する上達企画。ワンテーマを3回~6回のシリーズでお届け。帰りの電車内で、もしくは翌朝の通勤中、スコアアップのヒントを見つけてください。

【語り手/クォン教授】
ヤン・フー・クォン。テキサス女子大学教授。専門はバイオメカニクス。生体力学的に理に適ったスウィングを研究。教え子にタイガーの元コーチ、クリス・コモらがいる
【聞き手/吉田洋一郎プロ】
よしだ・ひろいちろう。D・レッドベターをはじめ、世界の名だたるコーチのもとを訪れ、最新理論を直接吸収。日々探究・研鑽に余念がないゴルフスウィング研究家

吉田 レッスンではよく「フォローでヘッドを走らせろ」とか「インパクト後にヘッドスピードが最大になるように振れ」などと言われます。こうした教えについてはどうお考えですか?

クォン うーん、ちょっと誤解を招きやすい表現だね。

吉田 と言いますと?

クォン もしインパクト後にヘッドスピードが最大になったとしたら、その人は「最大ヘッドスピード」の恩恵を受けられていないことになる。

吉田 仮にインパクト直前のヘッドスピードが44m/sで、フォローが45m/sだったとしたら、肝心のボールに当たるときに最大スピードが出ていないことになりますね。

画像: アクセルは早めに!

アクセルは早めに!

クォン 飛距離を決めるのは、あくまでインパクトの瞬間のヘッドスピードだからね。それと、インパクト後にヘッドを加速させようとすると、どうしても手で引っ張ってしまいやすいという弊害もある。

吉田 手で引っ張る?

クォン 手の力でクラブを目標方向に動かそうとしてしまうんだね。

吉田 それだとヘッドは走らないですし、ヘッドを持ち上げるような動きになってトップのミスがやすくなります。

クォン あくまで〝結果的に〟インパクト付近でヘッドがもっとも走っていることが理想なのだが、我々はつい、インパクトで最大限に力を入れようとしてしまう。

吉田 力を入れることと、ヘッドが走ることは必ずしも一致しないと。

クォン うむ。以前も話したとおり、インパクトでヘッドがもっとも加速するためには、腰→胸→肩→腕→手首→クラブという回転の順序が重要になる。つまり腰とか胸といった体の中心部は、ダウンの早い段階で回っていなければならないんだ。

吉田 ふむふむ。

クォン ところがインパクトで力を入れようとすると、体全体の加速するタイミングが遅れてしまう。体が回るタイミングが遅れたら、クラブが最速になる前にインパクトを迎えてしまうことになる。

画像: アクセルを踏んでから、最高速に達するまでは時間がかかる。それと同じで、インパクトの瞬間に力を入れたところで、ヘッドがすぐに加速するわけではない。インパクトでヘッドが最大限に加速するためには、ダウンの早い段階で体を回し、順序よく末端部へと運動を連鎖させていく必要がある

アクセルを踏んでから、最高速に達するまでは時間がかかる。それと同じで、インパクトの瞬間に力を入れたところで、ヘッドがすぐに加速するわけではない。インパクトでヘッドが最大限に加速するためには、ダウンの早い段階で体を回し、順序よく末端部へと運動を連鎖させていく必要がある

吉田 クルマもアクセルを踏んですぐにスピードが最大になるわけではないですもんね。

クォン 「フォローで走らせる」意識は、まさにインパクトの瞬間にアクセルを踏み込んでいるようなもの。それでは後の祭り。切り返しでアクセルを踏み込まないと間に合わないよ。

週刊GDより

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